2016年7月9日土曜日

安冨歩との出会いから考えたこと

実は恥ずかしながら、安冨歩なる人物のことを私は全く知りませんでした。8月4~8日の韓国訪問ツアーを準備する過程で、ある友人から紹介されて彼の本を読み始めました。
そして私たち在日がこの裁判を提訴することの意味、法廷内外の闘いの意義についてなるほどと思うところがあり、安冨歩の紹介をはじめました。

原発メーカー訴訟のはじまり
私たちは参加者の多くは、福島事故を起こしながらその責任をもったく問われることなく、原発輸出を進める東芝、日立、それに原発なるものの原型を作り、日本に事故責任をメーカーに負わせない法律を作らせながら(原子力損害賠償法)原発を買わせたアメリカのジェネラル エレクトリック社(GE)の3社を相手にはじめた、世界初の原発メーカー訴訟を提起して全世界から39ヶ国、4000人の原告を集めました。そして法廷闘争を進めながら、国際連帯運動の重要性を認識してこの間、その準備をしてきました。
        HP:  http://www.nonukes-maker.com/
        英文: http://out-lounge2ito.jimdo.com/
しかし3月23日、東京地裁は審議の途中で弁論の中止を宣言し、裁判長の声が聞こえないほどの喧騒のなかで判決日を7月13日4時と決めた(らしい)のです。原発の違憲と、原発メーカーの製造と輸出に関するビジネス契約は公序良俗に反して無効を主張する、私たち本人訴訟団(弁護団は、メーカーの責任を問わない原賠法は違憲という主張)の主張にまったく反論もないまま、突然、結審を迎えたわけです。
私たちは東京地裁のその姿勢を見て、敗訴を確信しました。
   メーカー訴訟の敗訴は決定的、私たちの課題を考える
   http://oklos-che.blogspot.jp/2016/03/blog-post_28.html
法廷から街頭に!
それで控訴はをして判決の不当性を訴え、1審でした主張をさらに展開しますが、運動の主力は法廷外の東芝に対する不買運動に的を絞ることを考えています。東芝は、15年間で64基の原発の製造・輸出を公表し、スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマの大事故にもかかわらずその原因の追求も十分でないなか、原発輸出を進めようとする世界の原子力村の象徴であるととらえ、東芝に対する世界的なBDS運動(Boycott不買、Divest投資引き上げ、Sanction制裁)を検討しました。
   韓国の知異山(Chilisan)でもたれたPeace for Lifeのワークショップの様子
   http://oklos-che.blogspot.jp/2016/06/blog-post_16.html
その第一弾が、7月13日午後12時から、有楽町駅前のビックカメラ店頭での原発輸出反対、東芝製品ボイコットのデモストレーションです。是非、多くの方の参加をお願いします。

安冨歩みとの出会い
安冨歩のことはこれまで全く知りませんでした。それで『原発危機と東大話法』、『原発ゼロをあきらめない』、『幻影からの脱出』を読み進ました。その他親鸞や論語、経済に関する本などもアマゾンに注文しています。
高史明の親鸞を通して深く思索された本を読み、小倉紀蔵の『朱子学化する日本近代』を読んだばかりなので、安冨歩の本を楽しみにしています。西川長夫から多くを学んだ者として深尾葉子の『魂の脱植民地化とは何か』からも学びたいと思っています。
   高史明の『月愛三昧ー親鸞に聞く』を読んでー在日を超える思想を学ぶ
   http://oklos-che.blogspot.jp/2016/05/blog-post_19.html

安冨歩の著作のなかから心に残った一節を紹介します
「原子力のオカルト性」
安冨歩の『原発危機と東大話法』を興味深く読みました。最後の章で、「原子力のオカルト性」は私とっては圧巻でした。それは、反原発を得々と科学的に語る人がオカルトを信じているということを、ここ日本でも、台湾、ドイツでも多くいることを私自身、経験したからです。
「原発事故は意図的に起こされた」、「ユダヤ資本の陰謀」などなど、そのバリエーションも多いようです。安冨は、「原子力とオカルトは共に、熱力学第二法則を乗り越えようとする幻想という点で同じ論理構想をもっている」と看破します。

「私は、この戦争を経て、日本社会は、人間ではなく、「立場」で構成されるようになった、と考えています。そうすると人間は、それ自身として尊重されることはなく、「立場」に立って、「義務」を果たすことによってのみ、尊重されるようになります。もちろん、そういうムードは戦前からあったことはまちがいないでしょうが、この戦争によって、それが体制として、いやそれ以上に、日本社会の背景となる哲学として成立したのです。」安冨歩『原発危機と東大話法ー傍観者の論理・欺瞞の言語』(213頁 明石書店)
 『幻影からの脱出 Escape from Illusion』安冨歩(明石書店、2012)より
「私たちが為すべきことは、新たな解決策を考えだすことではありません。・・・必要なことは、自らの心の蓋を外し、気付くこと、感じることであり、その上で自らの進むべき道へと踏む出すことなのです。」
7月13日、午後12時から、有楽町駅前のビックカメラ店頭で、15年間で64基の原発を輸出するという東芝の製品のボイコットを訴える声をあげ、全世界に呼びかけます。私たちは、原発の製造・輸出に反対したちあがります。それがわたしたちの進むべき道だと信じて。

安冨歩「私が重要だと思う「違った感受性」の持ち主とは、いわゆる「弱者」です。弱者とは、身体機能に障害を帯びた人、様々な理由で差別されている人、少数民族、外国人、貧困な人、子ども、身体の弱った老人、などなどです。(中略)社会が安全に運営されるために必要なことはそういった「違った感受性を」持った人の声を、社会全体にとってどういう意味があるのかを考えて解釈するということです。」(『幻影からの脱出』75頁)

私が安冨さんの著書の中からこの箇所を紹介したのは、在日である私たちが原発に反対し、原発メーカーの責任を追及し、東芝製品の不買運動を提唱したことに賛同し、行動を共にしようとする日本人が多く出て来てほしいと願うからです。残念ながら、原発体制は差別の上で成り立っているという私たち在日の主張を間違いだとして、私たちを排斥しようとする人が多いからです。

私のメッセージ 
安冨歩を読みながら、選挙の結果が自公有利と報道される中で、私がFBで流したメッセージは次のものでした。

選挙権のない日本生まれの在日として思う、日本どうなってんの?
その1、なんで経済も憲法改悪のこともこれだけ問題がでてきて、さらに原発の再稼働・輸出を決め、福島住民を切り捨てる安倍政権が支持されるのか、私たちには理解できません。
その2、イラク参戦、英国の独立調査委員会が批判。ブレア元首相は「深い悲しみと遺憾の意、謝罪を表明」しています。何で日本は、小泉は謝罪しないの?
その3、議会制民主主義が絶対なら、選挙権のない在日はどうするのか?国民国家の決めた枠から外れた者として、疎外を生み出した社会の根本問題を指摘し、自分たちが立ち上がり、賛同してくれる人と一緒に直接行動するしかないでしょう。

まもなく選挙の結果がでるでしょう。都知事選も混沌としてきました。野党の力を結集して自公、安倍政権を倒して、改憲ををさせない、戦後作り上げた「平和と民主主義」を守り抜く、当然です。しかし、しかしです。選挙権のない私たち在日は、議会制民主主義だけに頼らず、その国民国家の枠にこだわらず、日本で生きる者として自分のできることを模索し、提案し、行動に移すしかありません。

疎外を生み出した社会の根本問題を指摘し、自分たちが立ち上がり、賛同してくれる人と一緒に直接行動するしかないのです。その、日本の一般的な人とは「「違った感受性を」持った人の声を、社会全体にとってどういう意味があるのかを考えて解釈する」(安冨歩する人と一緒に歩もうと思います。

「国籍、民族を超えて「協働して」日本社会を変えていこう」とネットで訴えた私は、「クソ朝鮮人!日本社会から出ていけ!!」という大きな声によって、グーグルを3度も使えなくされました(その因果関係は証明できませんが)。しかし7月13日の有楽町での結集はグーグルを通して世界に伝わっていきます。「歴史の転換点」に皆さんも参加され、ご自分の仲間に広げていってくださいませんか。


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