2015年11月1日日曜日

10月28日の第2回口頭弁論の報告ー伊藤明彦

10月28日の第2回口頭弁論の報告ー伊藤明彦

原発メーカー訴訟の会本人訴訟団のメンバーで、30名の選定者から「代理人」として選ばれた7名の「選定当事者」の一人である伊藤明彦さんの報告を掲載します。

参考資料:原発メーカー訴訟の会「本人訴訟」と「選定当事者制度」について
http://nonukes.eyedia.com/jp/selection/docs/151028_%E9%81%B8%E5%AE%9A%E5%BD%93%E4%BA%8B%E8%80%85%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E8%AA%AC%E6%98%8E.pdf …

選定当事者の伊藤明彦です。

2回口頭弁論の報告です。
これは伊藤のメモによる伊藤の報告です。
間違えや認識の違うところは、ご指摘して下さり訂正されるとよいと思います。場合によっては裁判所に確認する必要があるかと思います。また、他に参加された方が報告や感想を投稿してくださることで、裁判の様子がより理解できると思いますので、よろしくお願いします。


1028()東京地方裁判所103法廷 午前10時開廷
傍聴席100人ほぼ満席、被告弁護団10人くらい、原告弁護団及び原告20人強、そして選定当事者6名

1)訴えの取り下げ者1名、休止満了者1名の確認
 つまりこの2人は原告ではなくなったことを確認

2)選定当事者の提出書類の確認、選定者の確認、印紙の確認
「選定者」30名に関しては賠償金を100円から100万円に増額にしたことによる処置の確認

3)裁判長から選定当事者への質問(東京地裁は、この口頭弁論で初めて、「選定当事者制度」に基づく「選定者」及び「代理人」である「選定当事者」の存在を承認したことになります)
 遅延損害金が派生する日付の確定
 「請求の内容」の明確化
 「請求の原因」は被告の「不法行為」でいいのか
 訴状の原賠法を前提にした「代位求償」の対する対応
注(崔):崔は、裁判長の「代位求償」はどうするのかと問われ、「私たちは使いません。原賠法を前提にしているからです」という趣旨の返事をしました。この点は、書記官と協議したうえで、選定当事者間で再確認します。

 裁判長と選定当事者とのやりとりは調書にするようにとの被告代理人からの要望

 書面からは、請求額100万円は、原告の二人だけか選定者全員に対してか確認できない。また請求開始日も2通りに読み取れる。
  これについては、選定者同士で協議し、年内に裁判所に報告することになった。
   事前に東京地裁の書記官と打ち合わせをすることで合意

専門用語が飛び交いますが、裁判長も素人集団である選定当事者に配慮し、言葉を選び詳しく説明してくださり、理解することができました。

4)原告弁護団からの準備書面の扱いについて確認
 原告代理人からの追加の主張がある。以下、被告代理人と原告代理人のやり取り

・ここで被告GEの弁護士から「次回(1月)には終結可能」の旨の発言があり、河合弁護士が反論
 河合弁護士「福島原発は重大事故を起こし、日本滅亡の危機でもあった。重大内容を3回で終結するなどとんでもない」
 GE弁護士「重大であることは認める。しかし原賠法は、福島の事故も想定している」
  その後、両弁護士は感情的に言い合い、傍聴席も大きくざわつく
 裁判長が制止し、改めて原告弁護団からの準備書面の扱いについて確認

・被告弁護団からの提出書類の確認

・原告弁護団から準備書面について陳述させて欲しいとの要望。
 原告弁護団「パワーポイントを使って陳述したい」
 被告弁護団「準備書面の内容の範囲での陳述なのか。パワポを使う意味、長時間陳述する意味はあるのか」
 河合弁護士「(他の原発関係訴訟を例にあげ)これらの裁判で行なっている」
 
河合弁護士が例にあげた裁判は、全て電力会社と国や自治体が被告。河合弁護士は様々な原発関係裁判で苦労されていると感じる一方、この裁判は被告がメーカーなので、その点、混乱しなければいいと感じました。
 
・原告弁護団の準備書面の陳述時間について
 島弁護士から「40分+40分で80分、パワーポイント使用」との要望
 裁判長から「その資料はいつまで提出できるか」とのことで、島弁護士は「次回の口頭弁論の2週間前」と答える。
 この辺でGE弁護団士から「前回は年内といったじゃないか」「次回第3回で終結」の旨の発言があると、両弁護団感情的になる。
 けっこう長い感情的な攻防。

感情的になると、どうしても話の本筋を見失ってしまいます。

・感情的な攻防が終わり、改めて裁判長が期日・時間について確認。
 河合弁護士が「島弁護士が次回80分、資料提出2週間前とお願いしたが、この件について弁護団で協議させてほしい」と要望し、一時原告弁護団は退席して協議。
 協議後、河合弁護士島弁護士の提案は撤回し「次回は40分。そして次々回40分」と要望。

5)河合弁護士が選定者の裁判と分離することを要望する。
 それに対して選定当事者から、望むところであり、分離裁判の要望書を提出すると発言
 それぞれの主張内容を確認し、次回以降検討することになる。
 これに伴い、原告弁護団と選定当事者の間で準備書面をお互いに交換することにした。

6)選定当事者から朴鐘碩氏の陳述と、準備書面の説明する場が確定
 選定当事者「20分+20分、2名計40分でお願いしたい」
 裁判長「もう少し短く、10分+10分にならないか」ということで30分になる。
 陳述のダイジェスト資料を事前に提出する


7)次回口頭弁論
 1月27日() 午後10時半時開廷。場所は101号法廷に変更。
 内容 原告弁護団40分、選定当事者30分の陳述(2名)
 資料は1月13日まで提出

・次々回口頭弁論
 3月23日() 午後2時30分 103号法廷

後半、一部、順序を入れ替えたりしてまとめています。

8)原告代理人の中での河合弁護士の発言の特徴(この項は、崔が追加)
今回の法廷で際立ったことは、河合弁護士の発言の多さです。被告弁護団、裁判長に対してもほぼ一人で、原告弁護団を代表する形での発言が目立ちました。
被告弁護団が、島弁護士が前回約束した年内の準備書面の提出期限を再度延長したことに対して島弁護士を批判する事態となりましたが、河合弁護士は5分間の原告弁護士同士の話し合いの場を要求し、その結果、島発言を撤回するということがおこりました。それに対して被告弁護団は、島弁護士が弁護団長ではないのかと質問したところ、河合さんは私が弁護団長だと答えました。
しかし実は河合弁護士と島弁護士は弁護団の共同代表であり、河合弁護士は代理人を辞任し、島弁護士が指名した復代理人という立場なのです。
河合弁護士によって、原告代理人と選定当事者間で、すべての情報の共有化を図るようにとの指示があり、早速、翌日、原告弁護団と選定当事者の朴鐘碩氏との間で資料が交換されました。大きな進展で、今後、ますます情報の共有化、そしてメーカー責任を明らかにさせるための両者の協議が行われることは必要不可欠だと思われます。

9)今後の進展の可能性について(この項は、崔は追加)
被告弁護団は、河合弁護士の私たち選定当事者との分離裁判を求めたとき、選定当事者たちの準備書面を読んだが、基本的に原告代理人と同じ主張であるということを言い、敢えて、分離裁判の必要性には答えませんでした。
これは、被告代理人が、原告代理人の主張の根幹に据える原賠法の違憲論と現実論に移行するための「適用違憲」論の中に私たちの主張を一緒にして葬り去るということの宣言でしょう。
弁護団の第2準備書面はよく書かれていますが、最大の問題点は、東電が「無資力であること」の主張です。これは「支援機構法」が「相互扶助の原理」によって東電の破産を助け、他の原子力事業社が政府からの支援金に返済することになったため、実質的に、原賠法の「責任集中」と「無限責任」の原則は実質破綻になっていることを無視しているからです。
当面は、原告弁護団と被告弁護団の、原賠法の違憲論をめぐっての法理論の攻防が続くでしょう。そのとき、その原賠法の法律論に与しない私たちが分離裁判を求めたときに、裁判所がどのような判断をくだすのかが、今、最も注意しなければならない点だと思われます。そのことは、分離裁判の要望書の提出時期とも関連するでしょう。
原告代理人が取り組みたい、実際の原子炉の問題点(ここでどのようにメーカーの責任があると主張するのかが問題ですが)での論争と、私たちの主張はシンクロしていますから、この点での原告代理人と私たちとの協議が必要になってくるでしょう。


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