5月9日(土)午後3~7時まで、水道橋YMCAにて熊本一規教授の講演(学習)会がありました。
熊本さんは、明治学院大学 国際学部教員で、環境問題、ごみ問題、共同体の権利(漁業権、水利権等)、埋立問題等, 学問的な方法論を駆使しながら、問題に直面する市民の要請に応えて、実践的な解決に関わることを長年続けてこられた稀有な研修者です。また現在、上関原発を止めてきた法的根拠を辺野古でも活用できないかを現地で研究されています。諫早湾の問題も漁民の要請に応え具体的な戦術・戦略まで学習会を通して提案されています。
そのようなあくまでも実践的な解決を問題に直面する市民と共に戦って来られた熊本さんを囲んで、私たちの目指す原発をなくしていく運動、そして訴訟はどのようなものであるべきか、大変、
示唆に富むお話を伺うことができました。詳細は以下熊本さんの二つのレジュメをごらんください。
1.原発は失脚電源に関しては、これまで反原発を唱える運動体・マスコミの多くは、政府の唱える、原発をベースロード電源にするという主張に明確な反論ができていません。熊本さんは他の電源に比べて原発の方が安いと主張する政府の論拠を明確、正確に指摘し批判されています。政府は恣意的に、原発の設備利用率を設定し、実際にそぐわない数値をあげている点を明らかにしたことが決定的だと思われます。この事実をどうして運動側もマスコミも自分たちの主張として主張しないのか、不思議に思います。原発はベースロードとしてしか使えず、かつ、ベースロードとしては失脚であるということがよく理解できました。
熊本一規氏の『電力改革と脱原発』を読むー(その1)原発をベースロード電源にする誤り
http://oklos-che.blogspot.jp/2015/04/blog-post_24.html
2、私たちの原発メーカー訴訟の訴状の最大の主張は、原賠法の「責任集中の原則」の問題点を衝いているのですが、それは実際には機構法(原子力損害賠償支援機構法)によってすでに「責任集中」(すなわち、東電1社が責任を取る)の原則は破られているという事実を明らかにされました。「相互扶助」という概念で、電力9社・日本電源・日本源燃・電源開発の12社が参加して金をだしているのです。東電が破産せず、国に支援要請をして作られた機構法ですが、この法律が原賠法と矛盾するという批判をしたマスコミ、運動体はありませんでした。この機構法によって、今後の放射能の除去などの巨大なビジネスもすべて「利害関係者」(原子力村)に回されます。結局、機構法で支払われるお金はすべて、国民・市民のおかねで賄われます。
3.熊本さんのアドバイス:①原賠法で、メーカーがPL法の適用をされないのであれば、機構法附則6条2項の「利害関係者」としてメーカーを追求できるのではないか、②メーカー訴訟を通してNPT(核不拡散条約)体制の問題点を衝くことは非常に価値あることであり、裁判に限定せず、並行して関係各省に原賠法と機構法の矛盾だとかを問う直接行動をしてみてはどうか、ということでした。訴訟の会としても他の市民グループと共同でその可能性について検討すべきだと思います。
熊本一規氏『電力改革と脱原発』を読む ー(その2)原子力村を優遇する法体系の問題点ー原賠法と機構法
http://oklos-che.blogspot.jp/2015/04/blog-post_30.html
原発は失脚電源
熊本一規
1 原発は「重要なベースロード電源」どころか失格電源
・国はエネルギー基本計画(2014.4)で「原発は重要なベースロード電源」と位置づけた。
燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる低炭素の準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である。(下線・太字は引用者)
・エネルギー基本計画(2014年4月)におけるベースロード電源の説明は次のようである。
各エネルギー源は、電源として以下のように位置付けられる。
1)発電(運転)コストが、低廉で、安定的に発電することができ、昼夜を問わず継続的に稼働できる電源となる「ベースロード電源」として、地熱、一般水力(流れ込み式)、原子力、石炭。
2)発電(運転)コストがベースロード電源の次に安価で、電力需要の動向に応じて、出力を機動的に調整できる電源となる「ミドル電源」として、天然ガスなど。
3)発電(運転)コストは高いが、電力需要の動向に応じて、出力を機動的に調整できる電源となる「ピーク電源」として、石油、揚水式水力など。
………
電力供給においては、低廉で安定的なベースロード電源と、需要動向に応じ出力を機動的に調整できるミドル電源、ピーク電源を適切なバランスで確保するとともに、再生可能エネルギー等の分散電源も組み合わせていくことが重要である。(太字は引用者)
・しかし、上掲の「ベースロード電源」の説明は誤っている。
図1 電源のベストミックス論
出典:『電力改革と脱原発』23頁
図2 設備利用率と電源別発電原価
出典:『脱原発の経済学』89頁
・ベストミックス論で肝腎なのは、設備利用率の大きさによって安い電源が変わること
ベースロードとしては原発が一番安い。
ミドルロードとしては石炭が一番安い。
ピークロードとしては石油が一番安い。
・「ベースロード電源」とは優れた電源ではなく劣った電源。
・原発は、技術的にも経済的にも「ベースロード電源」として使わざるを得ない劣った電源。
・ところが、「ベースロード電源」たるには設備利用率80%以上という要件を満たさなければならないが、原発はその要件を満たせない。
2010年までの5年平均で64.7%,10年平均で67.8%(2012年までだとそれぞれ47.1%,56.7%)
・要するに、原発は失格電源。
・原発の電気が高いことは、経産省が「差額決済付固定価格制度」を提唱したことで明白となった。
・地震大国で原発をつくってきたこと自体が間違い。
2 「原発の電気が一番安い」は誤り
・1980年代以来、「原発の電気が一番安い」の根拠とされてきたのはモデル試算だが、福島原発事
故後に設けられたコスト等検証委員会では、2004年モデル試算に、依拠しながら、次の①、②のように新たに社会的費用を導入して、やはり「原発の電気が一番安い」とした。
①
原発については、事故リスク費用、政策経費(交付金や研究開発費)を導入
②
火力については、CO2対策費用を導入
要するに①だけでは原発と火力のコスト差が逆転するために②を導入したということ
・事故リスク費用は、福島原発事故の損害費用が約6兆円の時に0.5円/kWh、さらに1兆円増加するごとに0.1円/kWh上昇するとされた。
図3 主な電源の発電コスト
しかし、「設備利用率70%」に替えて2012年までの直近十年平均設備利用率56.7%を用いるだけで原発の発電コスト「8.9円~」は「10.99円~」になり、原発と石炭火力の優位性は逆転する。
また、図3ではCO2対策費用(現在5-6$/トン)に極めて高い予測値(40$/トン)を用いている。以上の検討結果を踏まえれば、電源別発電原価は表1のようになる。
表1 検討結果を踏まえた電源別発電原価
出典:『電力改革と脱原発』42頁
原発事故と原発メーカーの責任
1.原子力損害賠償法の仕組み
<原賠法の原則>
原子力損害賠償法(1961年、以下「原賠法」)は、原発事故の損害賠償について、次の原則を規定し
ている。
①
無過失責任の原則
原子炉の運転等により生じた原子力損害については、故意・過失を問わず、運転等を行なっていた
原子力事業者が賠償責任を負う(3条)。
②
無限責任の原則
原子力事業者の賠償責任の限度額は、特に規定せず。
③
責任集中の原則
損害賠償責任は原子力損害を与えた当該原子力事業者のみが負い、それ以外の者は損害賠償責任を
負わない(4条)。
<損害賠償措置と国の措置>
原賠法は、原子力事業者が損害賠償を支払うことが困難にならないよう、二つの措置を講じている。
1. 損害賠償措置
①民間の責任保険
②国との間の補償契約
・自動車の強制保険と同様に、原子力事業者は損害賠償措置(民間の責任保険及び国との間の補償
契約)を講じていなければ原子炉の運転をしてはならない、とされている。
・原子力事故が起きた場合、その性質に応じ、一般的な事故の場合は民間の責任保険から、他方、
天災や正常運転時や後発損害の場合には国から、それぞれ一事業所あたり最大1200億円が当該原
子力事業者に支払われる。
2. 国の措置
・損害賠償措置を超える損害が発生した場合、「この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、国会の議決の範囲内で原子力事業者に対し必要な援助を行なう」(16条)とされている。
・要するに、損害賠償措置を超える損害については国が原子力事業者に対して援助を行ない得ると
いうこと。
表1 原賠法に基づく損害賠償制度
被害の原因
|
A一般的な事故
|
B 天災,正常運転,後発損害
|
C異常に巨大な天災地変、社会的動乱
|
原子力事業者の責任
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無過失責任,無限責任,責任の集中
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免責
|
|
損害賠償措置の形態
|
責任保険
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補償契約
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なし
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損害賠償措置の額
|
原子力施設の規模などに応じ、1200億円、240億円、40億円
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||
国の措置
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損害賠償措置を超える損害が発生した場合、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、国会の議決の範囲内で原子力事業者に対し必要な援助を行なう(原賠法16条)
|
被災者救助及び被害の拡大防止のため必要な措置を講ずる
|
2.福島原発事故の補償
<補償の根拠は原賠法>
・まず、東日本大震災が「B天災」なのか、「C異常に巨大な天災」なのかの判断が問われた。
→結局「C異常に巨大な天災地変」に該当しないということになった。
→福島原発事故は表1Bに当たることになり、国は1200億円を東電に支払った(2011年11月22日)。
・しかし、福島原発事故の被害総額は1200億円よりもはるかに多い。そのため、東電は、会社更生法を申請するか、または、原賠法16条に基づく国の支援を要請するかの選択を迫られた。
前者の場合には、東電はJAL等と同様に破綻処理され、東電の利害関係者(銀行、株主、ゼネコン、
原子炉メーカーなど)が損失を受けることになる。
<原子力損害賠償支援機構法>
・東電は、2011年5月、原賠法16条に基づく資金援助を国に要請。
→これを受け、政府は、2011年6月 東電支援の仕組みを関係閣僚会議が決定し、2011年8月 原子力損害賠償支援機構法(以下「機構法」)が制定された。
→機構法に基づき、2011年9月には原子力損害賠償支援機構(以下「機構」)が設立された。
資本金は140億円(国70億円、電力9社・日本原電・日本原燃・電源開発の12社で70億円)で、発足時に国から国債5兆円の交付を受けた。
・機構を通じた支援の仕組みは、次の①〜⑤のとおりである。
① 賠償措置を超える原子力損害が生じたときは、事業者は機構に資金援助を申し込むことができる。
② 機構は、事業者とともに作成した「特別事業計画」に基づき、必要な資金を国から交付国債や資金交付をつうじて受け取り、これを資金の交付や貸付け、社債の購入、株式引受け、融資に係る債務保証などをつうじて当該事業者に援助する。
③ 業務に必要な費用には、原子力事業者が機構に納付する「一般負担金」が充てられる。
④ 援助を受けた事業者は、機構に対して「特別負担金」を支払う。
⑤ 機構は、負担金(一般負担金・特別負担金)により国債の償還額に達するまで国庫納付を行なう。
図1 原子力損害賠償支援機構法の仕組み
出所:原子力損害賠償支援機構ホームページ
http://www.ndf.go.jp/gyomu/tokujikei/betten20120509_P1_P29.pdf
要するに、損害賠償の資金は機構が国から基本的に交付国債の形で受け取り、それを現金化して東電に渡す。国への返済は、原子力事業者の負担する一般負担金及び東電の負担する特別負担金から国庫納付金として支払う、という仕組みである。
・機構法に基づけば、損害賠償の主体は、結局、東京電力、その他の原子力事業者及び国となるが、その他の原子力事業者が負担することに関しては、「相互扶助の仕組みを導入した」と説明されている。
<「相互扶助の仕組み」と「責任集中の原則」との矛盾>
・機構法の「相互扶助の仕組み」は、原賠法の「責任集中の原則」と明らかに矛盾する。
原賠法の「責任集中の原則」に基づけば、東電のみが賠償責任を負い、東電が負担しきれない場合に国が援助をするという仕組みになるはずであり、東電以外の原子力事業者が負担する仕組みになるはずがない。
・もしも、機構法が福島原発事故に限定して適用される法律であり、したがって機構法と原賠法の関係が特別法と一般法の関係にあるならば、「相互扶助の仕組み」と「責任集中の原則」との矛盾の説明はつく。その場合には、福島原発事故に関しては機構法が原賠法に優先して適用されるから、機構法の「相互扶助の仕組み」が優先的に適用され得る。
しかし、機構法は、福島原発事故のみならず、将来起こり得る原発事故全てについて適用される法律であり、機構法と原賠法は特別法と一般法の関係にはない。したがって、「相互扶助の仕組み」と「責任集中の原則」との矛盾は法的に説明できず、機構法は原賠法に違反しているというほかはない。
・この点に関する資源エネルギー庁電力ガス事業部政策課F氏と筆者とのやり取り(2013年7月5日)は、以下のよう。
熊本:原賠法の「責任集中の原則」と機構法の「原子力事業者による相互扶助」とは矛盾するのではないか。
F:原賠法の所管は文科省なので、また、機構法は特別法的存在なので。
熊本:機構法をつくるときに、当然「責任集中の原則」は知っていたのでしょう。
知っていて、それと矛盾する規定を「特別法」として作ったのか?
F:原賠法16条にもとづく「国の援助」の方法として、また福島原発事故だけでな く、今後起こり得る事故などにも適用する原子力事業者間の「相互扶助」の方法として作った(特別法か否かについては明言せず)。
熊本:原賠法16条は、東電に対して国が援助できることを規定しているだけである。他の原子力事業者が責任を負うのは「責任集中の原則」に反する。原子力事業者間の「相互扶助」の方法として作るのであれば、原賠法に基づく「国の援助」の方法としては作れない。
F:お考えはわかりましたが、国の考えとしては以上述べた通り。
<実質的負担者は国民>
・機構法に基づけば、機構-東電は、国から機構に交付される国債を原資にして損害賠償を支払うが、交付国債に対し、機構は国に国庫納付金として返済しなければならない。
・他方、機構から東電への交付金は贈与であり(会計上は特別利益)、貸付ではないので返済義務はない。機構を介在させることで、東電の返済義務を免除しているのである。
・機構自体は収益を生む事業を行なっていないため、機構が国庫納付金を支払う際の原資は原子力事業者からの一般負担金及び東電からの特別負担金に頼るしかない。したがって、東電を含む原子力事業者が国庫納付金を負担することになる。
しかし、電力会社が負担する「一般負担金」は「料金原価」に「営業費」として含まれ、かつ電気料金への算入が認められているため、結局は、国民(各電力会社の需要者)が電気料金を通じて負担することになる。
他方、東電が負担する「特別負担金」は、原子力事故を起こした当該企業(福島原発事故の場合は東電)の経営努力によって賄うべきとされ、「営業費」には含まれるが、「料金原価」には含まれない。そのため、電気料金を通じて直接的に国民負担となることはない。ただし、東電の経営が悪化して電気料金が上げられる場合には間接的に国民が負担することになる。
・機構法によれば、国は、次の三つの場合に資金交付ができるとされているが、図1には、国が機構に対し必要な資金の交付を行ない得ることが記されていない。
①
国債が交付されても損害賠償のための資金が不足する恐れがあるとき(51条)
②
過大な負担金によって電気の安定供給等に支障を来すとき(68条)
③
利用者に著しい負担を及ぼすような過大な負担金を定めることとなるとき(68条)
つまり、東電や他の電力会社の負担が重くなったとき、あるいは電気料金が著しく上がるようなときには、いつでも国が機構に資金を交付できるのである。
この資金交付に関しては、機構は国に対して返済の義務はない。したがって、この資金交付は「国の負担」となるが、「国の負担」は、いいかえれば税金負担であり、やはり国民負担となる。
結局、福島原発事故に伴う損害賠償は、特別負担金を除けば、電気料金または税金を通じて、すべて国民が負担することになる。
<機構法の問題点>
①
原賠法における「無限責任」・「責任の集中」の原則に反している。
②
国から機構への交付国債に関し、機構による国への返済(国庫納付)は義務づけられているが、機構からの東電への交付金については返済義務はない。
③
国庫納付金は「一般負担金」及び「特別負担金」を元に支払われるが、「一般負担金」は電気料金を通じて国民が負担する。
④
過大な負担金により電気料金が上がりすぎる場合には機構に税金を注げる。いいかえれば、機構による国庫納付金、ひいては負担金を軽減できる。しかし、それは、電気料金軽減の代わりに税金を充てるだけのことで国民負担には変わりない。
機構法について、マスコミは「機構が東電を公的管理下に置く」と高評価したが、それは全く見当違いの評価である。実態は、当該原子力事業者の「無限責任の原則」・「責任集中の原則」に反し、税金・電気料金をつうじて原発事故の損害賠償を国民に負担させる仕組みをつくったのである。
3.「原子力村救済」のための仕組み
機構法附則6条2項:早期に、事故原因の検証、賠償実施の状況、経済金融情勢等を踏まえ、東京電力と政府・他の電力会社との間の負担の在り方、東京電力の株主その他の利害関係者の負担の在り方等を含め、法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずる(下線引用者)
・しかし、今日に至るまで、一切見直しは行なわれておらず、利害関係者の負担はゼロのまま。
・要するに、機構法に基づく仕組みは、「原子力村の救済」を至上命題とした仕組み。そのツケが電気料金や税金を通じて国民に押し付けられている。
・この仕組みは、がれき処理や除染や廃炉においても同様につくられている。
がれき処理
・財源は復興財源(所得税2.1%の増税2013年1月から25年間+個人住民税2014年6月から年額1000円で10年間)。税金をゼネコン等に注ぐ仕組み
除染
・放射性物質汚染対処特措法(2011.8)によれば、国が負担→東電に請求→財源は電気料金。国の負担は、特措法施行等のための予算(2013年2月時点で総額約1兆5351億円)。
・電気料金をゼネコン等に注ぐ仕組み。
廃炉
・財源は電気料金。89年より「原子力発電施設解体費」として電気料金に算入。
40年計画(平均設備利用率76%)で算入。
積立額=(総見積額×累積発電電力量/想定総発電電力量)-前年度積立額
想定総発電電力量=認可出力×40年×365日×24時間×設備利用率(76%)
・東海原発16.6万kWでは約930億円もの見積もり。
・130601廃炉費用 電気料金に40年計画(平均設備利用率76%)で算入するが その前
に廃炉になる場合に備える必要。
・拡大生産者責任に基づけば、原子炉の生産者(原発メーカー)が廃炉の費用負担をしなければならない。
・除染・廃炉・損害賠償に要する費用は少なくとも20兆円、最大で250兆円と見込まれている(2012年3月、日本経済研究センター試算)が、その殆どが電気料金や税金を通じて国民に負担させられる。
そのうえ、除染や廃炉では原発を建設してきたゼネコンが莫大な利権にあずかっている。
・その事業で利益にあずかってきた者たちが事業に伴う損害を負担すべき、というのは資本主義社会
の大原則。しかるに、機構法の仕組みは、その大原則を踏みにじり、損害を国民に押し付けている。
4.原発メーカーの責任を問うには
<原発メーカーの責任の問い方>
①「責任集中制度」が機構法によって既に崩されていることや「1988年日米原子力協定には原発メ
ーカー免責の規定はない」との外務省解釈(OCHLOS2015年2月16日号参照)を活用できるのでは
ないか。
②「製造物責任法の規定は適用しない」(原賠法4条3項)とされていることから「製造者」として
の責任を問うのは難しいが、「利害関係者」としての責任を問うのは可能ではないか。
<電力システム改革後の原発メーカーの責任>
①電力システム改革後は、原賠法・機構法は存続しえず、新たな賠償制度になるはず。そこに製造物
責任を盛り込む取組みが必要。
②数ある発電事業者のうちの単なる一企業に過ぎなくなる電力会社は、原発事故を起こせば、潰れるだけ。
→銀行・株主は損害を被る。
→原発メーカーは、電力会社及び銀行・株主等により損害賠償を請求される可能性が高くなる。
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