原発メーカー訴訟の「混乱」の解決に向けて

今朝、原発メーカー訴訟の会員に送ったメッセージです。

原発メーカーの責任を問う裁判は私たちの訴訟が世界ではじめてのことで、昨年、福島事故の際に米軍の「ともだち作戦」で福島沖に駆けつけたロナルド・レーガン号の乗組員たちがおこしたアメリカでの、賠償金１０００億円という裁判が続きました。彼らとの共闘を実現しまさに国際連帯運動にしていかなければならないのです。

原発メーカー訴訟もようやく口頭弁論の日程を６月３日に話う段階に来ました。原告から選任された弁護団が原告を「排除」しようとしたことで惹起した混乱もようやく最終段階に来ました。弁護団は公言通り、原告の代理人辞任を裁判所に通知してその「排除」の論理を貫徹するのか、ここで原告と弁護団がひとつになって原発メーカー訴訟をどう進めるのかを協議するために代理人辞任を中止するのかを決断しなければならない状況に追い込まれています。

弁護団に提出する私の「提案書」について

http://oklos-che.blogspot.jp/2015/05/blog-post.html

現在弁護団は、代理人辞任を通告した原告（私）に、自分たちが理由にならない理由で原告との契約解除したことを認め、再委任契約の締結の要望書を弁護団に提出することを要請してきています。その要請の問題点を深く考察するためにも昨年の島弁護士の「謝罪」と彼の私を非難してきた内容を「撤回」すると言ってきたメールを公開することにしました。そのこととで現在の彼らの動向の実態を理解する手助けになると判断しました。　　　　　　　　崔　勝久

原発メーカー訴訟の会の会員に送ったメッセージ

３・１１以降、誰もが東電の責任にのみ目を向けている時に、メーカーの責任を問おうとした私たちの主張に耳を傾け原告になってくださったことに感謝し、同時にみなさんの高い見識、真実を求めこの社会をよくしたいという熱い思いと行動に移す勇気に心からの敬意を表します。

事務局長からの報告と私のメールでもお知らせしたように、昨年の３月１０日にGE・日立・東芝を被告とする世界初の原発メーカー訴訟をはじめて１年半近くになり、ようやく原告が確定し、６月３日に今後の裁判をどのように進めるのかを協議する話しあいがようやく原告と被告代理人の間で始まります。

そして長かったこの間の「混乱」にもようやく終止符を打つ状況になりました。代理人辞任という、選任された弁護団が選任した原告を「排除」するという、集団訴訟ではおそらく日本の裁判史上例のない事態をめぐって「混乱」があったのですが、弁護団がそのような事態を避け原告とひとつになって原告と弁護団のあり方を一緒に模索しようとするのか、それとも原告の「排除」を決行するのかを弁護団は決断しなければならない最終時期が近づきました。

いろんな噂が広がりみなさんも当惑され、驚かれることも多いことでしょう。どうぞ最後までこの歴史的な裁判を提起し、世界に向けて国際連帯運動によって原発体制に抗おうと決断した私たちを信じて率直なご意見を寄せてくださり、最後の最後まで徹底的に諸悪の根源であるこの原発体制をなくしていく戦いを共にしてくださるように願います。

人のなすことです、いくつもの誤りがあることでしょう。しかしそれを指摘しつつもお互いを許し合い、一緒に歩もうではありませんか。原告になることを決断した時の、あの熱い思い、熱い心を思い出し、この難局を一緒に乗り越えていこうではありませんか。自分の名誉、利益を求めてこの戦いを進めることはできません。私たちは巨大な敵を前にして、歴史の審判を仰ぎ歩みたいと願います。

再稼働を具体化し原発輸出に邁進する狂気の政策が進められています。私たちはあまりに微力です。しかし歴史の審判がどのように下されるのかは誰にもわかりません。私たちは勝利を信じ、自分たちで何ができるのか英知を集めて原発体制をなくす戦いに臨みます。

みなさんの関わるさまざまな勇気ある戦いが進展し、それを続ける健康がみなさんに与えられますように祈ります。

島弁護士が要求する「混乱の解決案」の問題点についての解説

今回、私が委任再契約締結の要望書をだせば弁護団で代理人辞任の中止を「検討」するという弁護団の言い分は甘言であり、島弁護士の「罠」だと理解した背景をお知らせします。

弁護団は半年以上も私との委任契約は解除したと言いながら、東京地裁にはその通知を提出しておらず、吾郷さんが指摘されているように、弁護団が代理人辞任をしないということを通知しなければそれで済むことです。なにも私から再委任契約要望書なるものを求める必要はないのです。正式な文書による委任契約そのものが存在しないのですから、彼らは口頭であれ、私の委任契約を「復活」したと言えばすむことです。

委任再契約を必要としているのは弁護団であってそれは実質的に何の意味もなく、結果として私たちの弁護団への懲戒申請、名誉毀損の訴えを封印し、こちらの分断を図るためだと思われ、その点は既に何人もの原告が同様の意見を出しています。ですから事務局からの、弁護団に私からの再委任契約要望書の提出の要請に対して、私はこれからの弁護団と原告とのあるべき関係を明示する正式な委任契約の締結を提案しています。従って、要望書ではなく、提案書にしました。

島弁護士が関係修復の甘言に私が懐疑的なのは、昨年、弁護団と事務局の合同会議があったその夜中（この会議の内容は、ママデモの皆さんがツイキャスで放映し、全文、文字化しています。本当にありがとうございました！）、私が島弁護士から受け取った、これまでの私への非難の「撤回」と「謝罪」を求めてきたときの経験があるからです。これは事務局及び一部の人には公開しましたが、会員のみなさんに初めて公開します。そのときの彼の甘言と今回の代理人辞任を「検討」するので私に再委任契約を直接弁護団に提出すように要求した島弁護士の意図を考えるのに参考になるでしょう。

以下、島弁護士について簡単に言及します。

まず、植民地主義とNPP体制は左翼用語であり、メーカー訴訟の運動の中では使うべきでないと言ってきた彼の当初の言葉に彼の思想性、本質が伺えます。

第一の「罠」であった、彼の「謝罪」と「撤回」についての彼からのメールを公開します。

１０月５日（弁護団と事務局との、あの混乱した合同会議のあったその夜のメールであることに注目）

崔さん
おはようございます。
よく眠れないまま、昨日の会議について、考えていました。
会計報告のための通帳等資料の預りと、事務局長辞任の確認を要求したこと、そしてそれらが受け入れられなければ代理人を辞任するという弁護団としての決定それ自体は、客観的に考えても間違ってはいなかったと思います。
しかし、崔さんの立場を考えてみると、このような一方的な要求を受け入れることが難しいのはよく分かります。そのことに今、思い至ったので、こんな時間ですがメールを送ることにしました。
崔さん、僕は、あなたが自分の民族差別闘争のために、この訴訟を利用しようとしていると断定したことを撤回し、謝罪します。申し訳ありませんでした。
どうか、この度の弁護団の要求を受け入れるとともに、今後も一原告として、この訴訟に勝利できるよう一緒に闘ってください。言うまでもなく、我々の敵は外にあります。本当に前に進むために、力を合わせましょう。
そして、今後の訴訟の会の在り方等については、当面、大久保さんと太田さんに委ねてはどうでしょうか。もちろん、本人たちの意向を確認もせず、勝手に決めてしまうことはできませんが、僕らが一歩引いて、新しいスタートを切るために、お二人にお願いすることを提案したいと思います。
世界中から結集した4200人の原告の皆さんの思いを実現するため、悔いを残すことのないよう僕はこのメールを送ります。納得し難い部分もあるでしょうが、崔さんも、最後にもう一度考えてみてください。
よろしくお願いいたします。
島 昭宏

PS. なお、僕の考えに同意していただけるなら、このメールを公開してもらって結構です。その場合は、一部ではなく、必ず全文でお願いします。

１０月７日

崔さん
「謝罪と撤回」は条件闘争ではありません、と言われますが、崔さんがこれを条件に即時辞任すると言ったのではないですか？
僕は、謝罪も撤回も必要はないと思っていますが、メールで書いたとおり、崔さんの立場に配慮して、歩み寄りやすいように提案しただけですので、その気がないのであれば、残念ですが仕方ないですね。

みなさんはこの二つのメールから何を読み取りますか？

本当に、彼の私への非難の言葉の「撤回」と「謝罪」をするのであれば、事務局長辞任の確認を要求したこと、そしてそれらが受け入れられなければ代理人を辞任するという弁護団としての決定それ自体を撤回すべきです。しかし彼はそれ自体は客観的に考えても間違ってはいなかったと書いています。そして、その翌日には、「謝罪も撤回も必要はないと思っていますが、メールで書いたとおり、崔さんの立場に配慮して、歩み寄りやすいように提案しただけです」と本音を表しました。つまり、事務局長辞任をしやすいように、手を差し伸べただけだというのです。この件で、私と大久保さんとは見解が別れ、結局、彼は島さんについていくことになりました。

今回の、島及び笠原両弁護士からの言い分はこれと全く同じ構造をもっています。人は言葉を変えても思考構造を変えることはできません。そのためには、真の「悔い改め」すなわち、自己批判が必要です。

弁護団は代理人辞任届を裁判所に提出しない以上、いつまでたっても、彼らは原告の一人である私が選任した弁護士です。混乱を避けるために代理人辞任を中止すると決断すれば、それを私に伝え(口頭でも有効です）、裁判所に代理人辞任届けを提出しなければすむことです。そこに何も私からの再委任契約の要望書などは全く必要でないのです。それはこちらの「分裂」を恐れる気持ちを逆手にとった「罠」で、別の目的にしようとしているとしか考えられません。目的のひとつに、訴訟の会、事務局の分断がはいっていることは間違いありません。

島弁護士たちの提案は、こちらからその要望書をださせるために、あたかもこちらの「分裂」を避ける気持ちに手を差し伸べているような体裁をとる、悪質なものです。私が極端な理解をしているということでしたら、どうぞ、裁判所のシステムを踏まえたうえで、弁護団が半年以上も裁判所に代理人辞任届けをださなかった理由を解明し、彼らが要求することは正当だということを説明ください。良かれと思う、こちらのナイーブな気持ちや行動は島弁護士には全く通用しないと私は考えています。

しかし事務局の中では、先ほど朴事務局が明らかにしたように、最終的に私が弁護団に出す文書に関して意見が分かれています。この問題は訴訟の会全体に決定的な影響を与えるものなので、訴訟の会のみなさんのご意見をお願いします。そしてその議論を通して、訴訟の会と弁護団の協力関係のあり方を徹底的に議論してくべきだと考えます。

完全に理由にならない理由で弁護団が私の契約解除を公開したのですが、いかなる理由をつけようと、私が再委任契約の要望書を弁護団に出すことは、その契約解除の理由を承諾したことになります。これまでのことは白紙にして新しい一歩を踏み出そうというのであれば、新しい、あるべき弁護団と原告との関係を明記した委任契約を作ることが不可欠です。そのために、要望書ではなく、委任契約の締結提案書にしました。

私と島弁護士との「出来レース」「共謀説」がもっともらしく出回り、そのようなことを私が画策するのは「崔が北朝鮮のエージェント」だからという説まで出始めており、まことに笑止千万です。私の全人格をかけた抗議の言葉として、私の良心をかけて「共謀説」を否定します。