5月27日の朝日新聞は政府の2030年度の電気をどう賄うかを決めるという電源構成(エネルギーミックス)案がかたまったことを報じています。経済産業省の発表では、原発の割合は20~22
%で、それは、原発の再稼働は大前提で、かつ、40年を超える古くなった原発の「延命」を前提、
かつ「電力会社が原発を維持できるよう、国の関与を強める方向」と報じています。
政府案は、それでも原発の比率を「可能な限り限り低減させた結果」として、自然エネルギー派に意見に配慮したポーズを示しています。しかしこの政府案は真っ赤な嘘の上で作成されたものです。なんとしても原発を再可動、「延命」させることを至上命令にして作成されているのです。
その真っ赤な嘘とは、原発は発電コストが最も安いと位置づけているのですが、そのように言い切り嘘を正当化する論理と操作の誤りを熊本一規教授は公に指摘されています。私たちも熊本さんをお呼びしてその内容を学習しました。
2015年5月14日木曜日
原発問題の本質を衝く熊本さんとの学習会で学んだこと
http://oklos-che.blogspot.jp/2015/05/ymca-httpoklos-che.html
熊本一規氏の『電力改革と脱原発』を読むー(その1)原発をベースロード電源にする誤り
http://oklos-che.blogspot.jp/2015/04/blog-post_24.html
上記のURLから熊本さんの主張をご確認ください。
原発が一番安いという神話を正当化するために政府が用いている方法は、原発の設備利用率を一定、ないしは実際より高く算定することです。しかしそれは高度なテクニックではなく、誰もが見破ることのできる簡単なことなのです。2012年までの最近の10年間の平均設備利用率は56.7%ですが、政府はこれまで一律70%で計算していました。
政府は実際は原発は他の電源に比べて高くつくことを知りながら、操作をして安く見せているのですが、原発はその不安定さと電気供給の柔軟性のなさにもかかわらず、低廉と安定さが条件であるべき「ベースロード電源」に位置づけます。彼らとすれば原発はやめるわけにはいかず、そう位置づるしかないのです。しかし実態としては原発はベースロード電源としては失格であることを熊本さんは証明されています。
朝日が、このからくりを暴露して批判することなく、ただただ政府の方針の情報伝達のみに終始していることに大いなる疑問を持ちます。
民主党政権下で原発の運転期間を「原則40年」に決めたことを、現政府は「原子力規制委員会が安全性に問題がないと判断すれば、最長20年わたって運転を続けられる延長規定」を設け、このあくまでも「例外的な措置」として盛り込まれたものを、電源構成(エネルギーミックス)案を維持するために事業者が「例外的な措置」を望むのなら、政府は「例外措置を適用できるように後押しする」そうです。朝日新聞の若干批判なコメントはここまでです。
政府は広くパブリックコメントを求め、7月にはこの案を正式決定するそうです。すべて出来レースというものです。川内や福井での再可動反対運動がおくら展開されても、政府はそれを無視して、発表される電源構成(エネルギーミックス)案を貫徹するでしょう。すなわち、原発の電源構成20-22%は決定され、その計画に従って邁進するという既定路線です。
このような嘘がまかり通り、背後で原発を一定の割合残すことが政府にとっては「潜在的核兵器所有国」であることを維持し、原発を世界に輸出することで背後からNPT体制を維持・保管するためであろうと推測されます。その状況下で、河合弁護士のように司法の範囲内で頑張ると主張することも重要ですが、私は一つ一つの事実を確実に知り、戦いの戦略をいまいちど、検討しなおす必要があるのではないかと考えます。その一歩が、政府の電源構成(エネルギーミックス)案の嘘をまず知ることです。
河合弁護士の批判(「週刊 金曜日」)に応えるー(1)拝啓、河合弁護士殿
http://oklos-che.blogspot.jp/2015/05/blog-post_17.html
0 件のコメント:
コメントを投稿