2015年4月25日土曜日

福島の子供の高い甲状腺がん発症にたいして具体的に何をすべきなのでしょうか?

『通販生活』夏号です。福島の子供たちの甲状腺検査の結果に対する福島県(国?)の、「多発ではない、放射線の影響もない」の見解は本当にただしいのでしょうか?チェルノブイリの経験から、現在判明している37万にうち、「ガンと確定」の子は87人、「がんの疑い」は30人という数字に対して運動側からも具体的にどうするのかという対案はでてきていません。どうすればいいのでしょうか?




37万人の調査で、117人が「がん」と「その疑い」と診断されました。37万人で117名だと100万人では316名になります。従来、小児甲状腺がんは「100万人に1~2程度の割合」だとされていますから、確かに異女に高い数字です。

福島県側はいろいろと理由をあげます。「福島では高性能の機械による大規模検査で、『先取りして甲状腺がんを見つけている』」から、それまでの数字がでた検査方法ででた数字と違うのは当たり前という見解のようです。しかし県民の要請は、県がなんと言おうと子供のことが心配で、「検査の回数を増やしてほしい」というものですが、県側は甲状腺がんは成長が遅いことを理由に、その要望に応えていません。

それに対してチェルノブイリで甲状腺がんの外科治療をした、現松本市長の菅谷昭氏の見解は以下のようです。

がん発生には主に三つの原因が考えられ、放射線などによってガンを発症する「物理的要因」、喫煙などの「化学的要因」、それと「ウイルスや細菌感染」です。福島の子供の発症率の高さが後者の二つが原因によると考えられない以上、「放射能の影響とは考えにくい」で片付けるわけにはいかない、と暗に県の見解を否定するのですが、それも断定的なことは言いません。「現段階では放射線の影響かどうかは『分からない』という方がベターではないかと思います。

結局、彼もまた、検査体制を充実させること、「全国から甲状腺の専門医を集めて、丁寧な説明は当然のこと、手術後のフォローもきちんとすることを強く求め」るということのようです。

しかし、実は、かれはインタビューの前半に実は具体的に県や国がやるべきこと、市民が求めることの回答をだしているのです。

「確かに、同じ条件のもとで他県でも検査をして比較しない限り、多発かどうかの結論は出せませんし、放射能の影響と判断することもできません。」、そうなんです、「同じ条件のもとで他県でも検査をして比較」すればいいのです。そしてまず、その責任が東電にあることを明確にし、検査・治療の全責任を担わせすべきだと考えます。

私たちはその責任を東電だけでなく、原子力ムラの関係者、特に、原発メーカーにも責任の一端を担わすべきではないかと思います。

韓国のイ・ジンソプさんは家族で、古里原発のせいで妻は甲状腺がんに罹り、自分は直腸がん、息子は先天性発達障害で悩んできたと訴え、一部勝利判決を勝ち取りました。直腸がんと先天性障害は調査例がないが、甲状腺がんに対してはソウル大学の疫学調査例があり、それを地裁は認め、古里原発と甲状腺がんの因果関係を認めたのです。

韓国の原発裁判で勝利したイ・ジンソプさんの資料
http://oklos-che.blogspot.jp/2015/01/blog-post_5.html

後でわかったことですが、被告も原告もソウル大の同じ調査結果を証拠として裁判所に提出していました。同じ調査結果なのに、そのリーダーと助手であった人はまったく逆の結論をだしていたのです。そして釜山地裁は、この助手の見解を受け入れたということになります。

これは日本においても有益な韓国の戦いの経験だと思います。まず調査をしなければなりません。その調査を県及び国に要求すべきなのです。そうでないと先に進めないのではないでしょうか。反原発運動側も、ただただ反対のスローガンを叫ぶだけでなく、原発をベースロード電源にして再稼働を宣言している政府の根本的な誤り(私には議論が分かれることのないくらいに明確な誤りだと思います)を学んだり、疫学調査を実際に求めるなどの具体的、複合的な活動をするべきだと思うのですが、みなさん、いかがでしょうか。

熊本一規氏の『電力改革と脱原発』を読むー(その1)原発をベースロード電源にする誤り

http://oklos-che.blogspot.jp/2015/04/blog-post_24.html

韓国の戦いに関しては以下の内容を参照下さい。
韓国の原発裁判で勝利したイ・ジンソプさんの資料
http://oklos-che.blogspot.jp/2015/01/blog-post_5.html

これから病院費は原発に請求しなければならないねー韓国イ・ジンソプさんの闘い
http://oklos-che.blogspot.jp/2015/03/blog-post_4.html

韓国、聯合ニュースより(2014年10月30日)
原発近隣住民を対象にした疫学調査は国内では1990年に初めて始まった。1989年、ある言論に霊光原発警備員の夫人が'脳の無い胎児'を2回も、死産または流産したという報道がされた。原発安全性をめぐって論議が拡大し、当時原発運営を担当した韓国電力がソウル大病院に住民健康実態調査を依頼した。韓電は調査結果として、住民たちの発病と原発の放射線との間には関連がないと発表した。だが、その後にも安全性に対する住民たちの不安感は弱まらなかった。そこで、政府が発注したコホート調査が本格的に始まったのだ。

ソウル大医学研究所は、原発周辺地域(5km以内)、近距離対照地域(5~30km)、遠距離対照地域(30km以上)を選定し、満20才以上の住民を調査対象とした。研究チームは「原発周辺地域のすべての部位の癌だけでなく、放射線関連癌(胃、肝臓、肺、骨、乳房、甲状腺、多発性骨髄腫、白血病)の発病危険度が対照地域に比べて男女ともに統計的に留意する差異がなかった」と結論を出した。また「原発放射線と周辺地域住民の癌発病危険度の間にも、因果的に関連があるということを示唆する証拠もない」と表明した。

ところがこの報告書には、結論と違う解釈ができる様々な端緒(糸口)が隠されていた。2011年、この報告書が初めて公開された時から学者たちの間では論争が起こった。現在、原子力安全委員会非常任委員を受け持っているキム・イクチュン(Kim IkJung)教授(東国大医大)たちは、政府に原資料公開を要求した【原資料=Raw data】。当時、教育科学部などが公開を拒否し、国会を通じて原資料を入手した【国会議員を通して入手した。誰かは不明】。ペク・ドミョン(Paek DoMyeong)ソウル大教授(保健大学院)とチュ・ヨンス(Ju YeongSu)翰林(ハンリム)大教授(医大)等が再検討した【チュ・ヨンス教授は、元の調査に学生として参加していると聞きました】。再検討結果をチュ教授が2012年、大韓職業環境医学会春季定期学会で発表した。世界人口年齢標準化発生率で調べてみたところ、遠距離甲状腺癌発生率を1とすれば、近距離に居住する女性(パク・クムソン氏が居住する地域)は1.8倍、5km以内の近隣に居住する女性は2.5倍高い発病率が出てきた。


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