2015年3月23日月曜日

モンゴルを訪問してーその① ゴビ砂漠で見たアレバのウラン採掘地周辺の実態

ドルノゴビ地方の砂漠の中にある、アレバがウラン採掘する現場を訪れて

3月14~19日までモンゴルでのワークショップとセミナーに参加しました首都のウランバートルは3月中旬なのに、零下15度という寒さでした。そこから車で8時間くらいのところにあるドルノゴビ(砂漠の東という意味)という広大なゴビ砂漠が広がる「県」にはフランスのアレバのウラン採掘場があり、アレバが採掘をはじめてから家畜が死に、奇形の家畜が生まれるという現場を見てきました。実際、アレバがウラン採掘の際に出た土を放置している現場では異常に高い放射線が検出されました。


                      ドルノゴビ「県」の入り口

ウラン採掘の方法
その砂が風で広く吹き飛ばされたせいなのか、地下500メートルの深さにパイプを埋め、抽出液(主に硫酸)を流し込み、ウランが溶け込んだ浸出液を汲出す仕組みになっており、それが地下水に溶け込んだせいなのか、私たちにはわかりませんが、遊牧民は家畜の死と異常出産はアレバがウランの採掘をはじめてから起こったと言っていました。家畜と遊牧民は地下から吸い上げた同じ水を飲んでいるのです。

遊牧民の受けている被害―家畜の現状

巨漢の家畜を2000頭持つという遊牧民は、元はアレバの採掘場のすぐそばで生活していたらしいのですが、家畜が死に、奇形の家畜が生まれはじめ、また自分の膝にも異常な突起物で歩行困難になり、離れたところに移ったそうです。彼からアレバヘの抗議、アレバからの回答書などを見せてもらいました。遊牧民の中にも流産する女性がいるという話も聞きました。

アレバや政府側の人は、この遊牧民は中国から入手した、動物を活性化させる注射を打ったため家畜に異常な事態が起こったと言い、流産した女性は中国で売春行為をしたからだという噂を流しているとのことでした。

砂漠の中のアレバの敷地周辺の高放射能
アレバの敷地は広大で中に何があるのかわかりませんでした。敷地内に入れろと交渉しましたがそれは叶わず、結局フェンスの周辺でガイガーカウンターで放射線がどの程度のものかを測るしかありませんでした。計測器はほとんど0.10-0.15、高いところで0.30の数値を示していました。しかしパイプを埋めるときに出たものか定かでないのですが、土や砂が放置されている現場では13.62という異常に高い数値がでました。何よりも、ガンマー線だけを計測する計量機では、警告音が出るくらいの高さであると、ドイツで放射線を学ぶモンゴルの研究者が説明してくれました。初めて聞くその警告音に、ここに長くいいては危険だなと正直、感じました。
             ガイガーカウンターは0、329の高い数値を示している

私たちが見た家畜の実態
ちょうど家畜(馬、牛、羊、ヤギ)の出産時期であったため、砂漠の簡易フェンスの中で生まれたばかりのヤギを私たちは見ました。その中に足が曲がりその部分で歩くという奇形の子ヤギを数匹見ました。昨日出産して子馬は死に、親馬も先ほど死んだという現場も見ました。
アレバのフェンスのすぐ横のところでは、野ねずみが死んでいました。元々は草が生えているところだったらしいのですが、見えるのは所々にある野ねずみの巣と思われる穴だけで、今はもう全く野ねずみは見られないということでした。

                    砂漠の中で固まって死ぬ4匹の牛

アレバの影響
結局、地方の獣医に実情を話してもらちはあかず、アレバは金で解決すると約束しながらそのまま放置されているということであったのですが、仮にアレバのウラン採掘のために放射線汚染が発生したのだとしてもそれがどの範囲に広がっているのか、その原因は何か、最初にこれらの実態を発表した獣医学の博士はデーターをもっているということでしたのが実態はわかりません。ドイツのジャーナリストは家畜の実態を撮影し、またアレバのフェンス周辺の放射能数値の高いこともカメラで映しながらも、その因果関係がどうなのかわからないという話をしていました。

アレバの採掘したウランは何処に送られているのか?
私としては、そもそもこの砂漠の真ん中で採掘されたウランはどのよう形でどこに運搬されるのか、その量は公開されているのか、汚染はどこまで広がっているのか、地下水はどのようになっているのか、地方・中央政府はなぜ実態調査をしないのか、マスコミはどうして徹底した報道をしないのか、わからないことばかりでした。
                  アレバの敷地を囲むフェンスの前で
 




ドイツのジャーナリストはこのドルノゴビから得たウランはドイツにあるアレバの工場に運んでいるのではないかという意見を言ってましたが、地元の人は中国に持って行ってるという人もおり、それはどのような形態で運ばれているのか、今後、モンゴルの人に調べてもらいます。

砂漠でおこっている事実をどのように受け止めるべきか
今回のセミナーは運動圏の活動家からは政府やアレバのような企業、原発推進論者を招いているということで、活動家にボイコットするように働きかけるような事態になりました。
        Dr.Tserenchimed さん、ドルノゴビのウラン鉱毒を最初に公言した博士

しかし主催者側はドルノゴビで家畜に起こっている事態を科学的に調査、評価したうえで、プラス面・マイナス面を明らかにした上で話し合った結果を地方自治体、中央政府に具体的な申し入れ書をだそうと考えていました。最初から政府・アレバ批判を打ち出していてはまず海外からの参加者にビザが発給されない可能性があるという判断で、そのことは私たちはモンゴルの実情としてよく理解したのです。

しかし砂漠で起こっていることが実際どのようなことか、この実態把握があまりになされておらず、個別に起こった問題点だけが取り上げられているという印象はなきにしもあらずです。しかしそれがまたモンゴルの抱える実態なのでしょう。私が話し合った科学者はそのことを誰よりもよく知っていると思いました。彼らはもっと調査をし、実態を明らかにしていきたいのです。

しかし例え事実の一端であっても私たちは自分の目で家畜が死に、奇形の家畜が歩くのを見ました。野生のネズミや牛が固まって砂漠の真ん中で死んでいるのを見ました。そしてアレバ周辺が異常に高い放射線に汚染されていることも確認しました。噂ではそこで働く労働者の家族が流産したということも聞きました。早急に、今ゴビの砂漠で起こっている事態を総合的に調査し、被害者への救済を行い、具体的運動に結びつける必要があると強く思うようになりました。

ヤギの解体です。腎臓、肝臓は毒物を食べた特徴が表れていました。

注:写真はすべて同行した仁宮早苗さんの提供です。

追加:ヤギは蹄のところが曲がって生まれ、すねで歩いています。それはウラン採掘を始めたアレバの責任とは証明されていません。アレバの現地法人の株を三菱が
34%所有しています。彼れはモンゴルに一定期間の試験採掘という名目で金を払い、硫酸を使う方法でウランを吸い出し膨大な量を採掘しています。その残土は砂漠に放置されたままで高い放射線量が検出されました。ガンマー線探知機では危険音が鳴り続けました。

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