2015年3月13日金曜日

モンゴルでのウラン鉱山の現場を訪ねその功罪を議論するセミナーに参加ー私の発題内容

明日14日から19日までモンゴルでのセミナー参加に行って来ます。

SEMINAR/WORKSHOP ON "URANIUM EXPLORATION AND EXCAVATION AND THEIR POSITIVE AND NEGATIVE CONSEQUENCES"

ウランの探求と発掘及びそのプラス面マイナス面の影響についてのセミナーとワークショップです。
今回実はモンゴルの運動圏内において大きな波紋を及ぼしています。賛否両論です。というのは、中央政府と地方政府、及びウラン開発の関わるアレバや科学者も関わっているということで、反原発運動に関わる活動家はこのセミナー自体を激しく批判しボイコットを私たちに求めてきました。

しかし私は現代モンゴル社会に関して最も詳しい一人である大阪大学の今岡良子さんと話し合いを重ね、そのセミナーに参加することに意義があるという結論に達しました。ウラン鉱山の現実の功罪を直視し、いわゆる政府を含めた推進派の人達とも意見の交換をすることは有意義だと判断したのです。今岡さんも現地の活動家とFBで厳しい議論をしてその意義を主張し、結果として多くの賛同者が出たようです。セミナーに参加したいという希望者まで現れました。私はFBでも書きましたが、さらに今岡さんを通してセミナー開催に反対の活動家と話しあうことを提案します。

日本からは私を含め4名参加します。いずれもこのような「混乱」する事態に入り込むことを喜ぶ人たちのようで、安心しています。ウランバートルからソウルにで報告会を開き、21日に帰国します。日本では4月4日(土)午後6時から大井町のきゅりあんで報告会を行います。原発メーカー訴訟の会事務局の主催です。関心のある方は是非、ご参加ください。では行ってまいります。

以下、セミナーで発表する私の発題内容を掲載します。英文のプログラムでは次のように紹介しています。Lawsuit against the NPPs, Toshiba, Hitachi and GE which had caused  the                                       Fukushima disaster. 
                         Presenter: Vice President, No Nukes Asia Actions Japan 

 原発メーカー訴訟についてー国際連帯運動の広がりを求めてー
                                  Seungkoo CHOI

先日の金鉱山の発掘に反対するハンストがあり、ウランの採掘にも多くのひとが反対するここモンゴルにおいて発題をする機会を与えられまして、ありがとうございます。このような機会を作ってくださったBeejinに感謝します。

私が初めてモンゴルを訪れましたのは、2011年3月11日の福島事故が起こったあと、毎日新聞のスクープで、日米モンゴルの3ヶ国(その後、UAE、実質的には韓国が参加か)がCFS(Comprehensive Fuel Service)包括的燃料サービス構想に合意した秘密契約があることを知ったからです。すなわち、モンゴルでウランを採掘、精錬、輸出し、輸出先で出る核ゴミを輸入し処置・保管してそれを砂漠地帯に埋蔵するという構想です。それはNPT(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons核不拡散条約を前提にする、核物質の安全管理という勝手な理屈です。

もちろん、各国とも否定しましたが、一昨年、モンゴルの政権が変わる直前、CFS構想の投資計画予算案が国会で承認されました。私はモンゴルで反原発運動をする人たちがそれに抗議する記者会見ビデオを見てすぐに、モンゴルに飛びました。その後、小型原子炉を作り、4ヶ箇所の核ゴミを埋蔵する施設を作るというプロジェクトがどのようになったのかはよくわかりません。これはとても重要なことですので、必ず注意をしておく必要があると思います。日本や韓国で核ゴミの最終処理場が決定されなかった場合にどうするのか、私は何度か日本の原子力関係の官僚と話し合う機会がありましたが、彼らはモンゴルとの秘密契約を保持したまま様子をみていると確信しています。

さてモンゴルはウランの埋蔵量は世界の15%になると推測されていますが、このウラン濃縮技術は簡単に持てない高度なものです。「燃えるウラン」(U-235)は天然ウランの中には0.7%しか存在せず、「燃えないウラン」(U-238)は99.3%です。モンゴルで採掘されたウランは精錬され、このウラン235は高度な技術で濃縮され「濃縮ウラン」になります。プルトニウムはウラン238の原子核に中性子をぶっつけることで作られます。
広島原発はウラン235、長崎原発はプルトニウムを使ったものです。

従ってモンゴルで採掘されたウランは、軍事用と原子力の平和利用とされる原発に使われます。しかしそれはウラン235の濃度の違いであり、原子力(核)発電の過程で作られるプルトニウムはいつでも軍事利用されるのです。従って、54基の原発をもつ日本は既に潜在的核保有国です。日本は分離プルトニウムを48トンもち、これは長崎原爆の4000発分に相当します。世界は日本のもつ大量のプルトニウムに注目しています。MOX燃料にすると云われていますが、私は、日本はロケット技術をもち大量のプルトニウムを所有しており、いつでも核兵器を作れる状態にあると見ます。事実、日本の政治家は潜在的核保有国であることが安全保障につながると公言しています。だから原発を廃止するとは言わないのです。そこが同じ第二次世界大戦の敗戦国であってもドイツと日本の決定的な違いです。

日本は戦後の経済復興ということで工業化のエネルギー源として原子力発電所(原発)の比重を高める政策を続けてきました。それを最初に提唱したのは、インドネシアで従軍慰安婦を集めた慰安場を戦争中に作った中曽根元首相であり、CIAのスパイであったことが明らかになった元読売新聞社主であり政治家になった正力松太郎です。広島・長崎の原爆被害の経験者をもつ日本がどうして54基もの原発を作るようになったのか、これは日本の国民が科学信仰と経済最優先主義に陥ったからにほかなりません。アメリカは原子力の平和利用を訴え、原発を作ることを日本に求め、日本はそれに保守政党だけでなく、共産党や社会党といった野党もまた賛同していきました。

しかしアメリカは日本に原発を輸出するにあたって、万が一、事故があっても原発メーカーに責任を負わせない法律を作ることを日本政府に要求しました。それが原子力損害賠償法です。日米原子力協定及び日米安全保障条約がその根底にあります。日本は独立したものの、アメリカの植民下にあるということは最近とみに言いだされています。沖縄の基地の問題や、安全保障に関することは裁判の場でも裁くことはできないということが明らかにされてきているからです。

原子力()発電も同様、これまで多くの原発に反対する裁判がありましたが、最高裁まで行って勝った例がありません。それは、最近日本が原子力基本法を改正し、「安全保障に質する」と言い出したことと関係しているでしょう。原発問題はエネルギー問題という視点だけでなく、安全保障の視点から捉えられているのです。従って、原発に反対する運動は、エネルギー問題にとどまらず、平和と民主主義を唱えて経済を最優先してきた日本社会のあり方を根底から見直し、原発は差別の上で作られているという実態を直視することが重要になってきます。

さて福島の現実を見てみましょう。安倍首相はオリンピックを東京にもってくるために大嘘をつき、「Under Control(福島は完全な管理下にある)と言って東京は安全であることを世界に訴えたのですが、福島事故後は、汚染水の問題は何ら解決されず50万トンの汚染水がタンクに詰められています。そして毎日汚染水は太平洋に流れています。いずれ国際問題になるでしょう。
東日本大震災から4年が経ち、亡くなった方15889人、行方不明者の方 2584人、その後の関連死した方3194人、避難者の方239000人とネットで報道されています。
広島・長崎で被ばくした人は60万人といわれていますが、70年経って2世、3世が圧倒的に多くなりました。被ばくした症状は遺伝して次の世代に現れているはずですが、カミングアウトする人がいないのです。それはカミングアウトすると社会的な差別に遭うからです。日本政府は遺伝の問題を承認していません。しかし福島の人はそのことを恐れています。自分は結婚できないのではないかと悩む女性が多くいると聞いています。既に甲状腺ガンを患った110名の子どもの例が報告されています。

私は日本の反原発運動が再稼働反対一本に絞られたことを非常に残念に思っていました。原発事故の原因が地震か津波によるものかはっきりしていないのに、どうして再稼働をし、そして原発輸出をしようとするのか。輸出先で原発事故が起こったらどうするのか。それでわかったことは、日本では、原発事故に対してメーカーは免責されている、PL法の適応をうけないという法律、原子力損害賠償法があるということでした。だからメーカーは福島事故の後もどんどんと輸出を進めているのです。それは、実は日本だけでなく、韓国、台湾、世界どこでも同じようにメーカーは事故の責任をとらなくともよいとする法律が作られているのです。これはアメリカを中心にした核兵器をもつ国が作ったNPT体制(核不拡散条約体制)に関連します。核兵器はなくしましょうと言いながら、どんどん原発は世界で作られています。私はモンゴルも原発建設の計画があると聞きました。絶対にそれを許してはいけません。

メーカーというものは事故が起こったら責任をとるものです。どうして原発はそうでないのか、私は原発を作ることを決定した日本政府と、運営会社の東電とともに、原発メーカーにも福島事故の責任があると考えました。そしてアメリカのGE,日立、東芝を相手に彼らの責任を問う裁判を提起しました。原告は世界中に39ヶ国4000名います。モンゴルは338名になります。世界初の原発メーカー訴訟です。原発は事故の危険性があるということだけでなく、存在そのものが地域住民の健康を害し、自然を汚染するのです。

アメリカのロナルド・レーガン号という船は「トモダチ作戦」で福島沖に停留し多くの乗組員が被曝しました。中には死亡した人もいます。彼らは被曝の責任を求め東電とメーカーを相手に裁判を始めました。1000億円の賠償金を求めています。世界の原発は437基あります。原発をなくしていくには国際連帯運動が必要不可欠です。原発は人類と共存できません。使用した核ゴミは処理の方法がないのです。私はアジアにおいてモンゴルの動向に期待します。入口のウランを発掘させない運動と、出口の核ゴミを埋蔵させないという運動ができるのは世界でモンゴルだけでしょう。モンゴルのみなさんと一緒になって世界から原発をなくしていく運動を一緒にやれることをうれしく思います。ありがとう
ございました。




SEMINAR/WORKSHOP ON "URANIUM EXPLORATION AND EXCAVATION AND THEIR POSITIVE AND NEGATIVE CONSEQUENCES"

Organizers: DMNN, Mongolian National Council Scientists and Mongolian State University of Agriculture

Objective: Introduce and discuss the scientific researches and studies on uranium exploration and excavation, their positive and negative consequences on environment and human and animal health. Issue guidelines and recommendations based on scientific research and distribute them to government agencies and local communities. 

Results: Issue scientific research and studies-based guidelines and recommendations on issues related to exploration and excavation of uranium and other minerals and distribute them to government agencies, law enforcement agencies, business entities and local governments and communities. 

Period: March 15-19, 2015

Presenters: Representatives of the Mongolian government agencies, nonprofit organizations, researchers and scientists from universities, local governments, business entities and foreign researchers (Japan, Korea, Canada, Germany, Russia and China)  

Attendees and targeted audience: Parliament, Government, Ministry of Environment, Green Development and Tourism, Ministry of Food and Agriculture, Ministry of Health and Sports, Ministry of Mining, their agencies, universities, scientific institutes, provincial representatives (Sukhbaatar, Dornogovi, Dundgovi, Omnogovi and Arkhangai), law enforcement agencies, uranium mining and exploration companies, press and media and foreign researchers and scientists.

Number of attendees: 100-500

Location of the workshop: Mongolian State University of Agriculture

PROGRAM

March 15, 2015

10:00    Leave Ulaanbaatar for Dornogobi province

16:00    Arrive in Khamryn Temple

19:00    Sleep in yurts

March 16, 2015

07:00    Breakfast

07:30    Khamryn Temple

11:00 Areva site, visit herders            

13:00  Lunch

18:00  Dinner in Sainshand

19:00  Leave Sainshand for Ulaanbaatar

March 19, 2015

Mongolian State University of Agriculture and Mongolian National Council of Scientists will serve as moderators.

9:30 – 10:00      Registration

10:00 – 10:10 Opening speech by Dr. Gantulga Gombo, Vice President of Science, MSUA  

10:10 – 10:25    Presentation by Areva company  

10:25 – 10:40    Q & A

10:40 – 11:00 Uranium exploration and excavation impacts on animal health and its consequences
Presenter: Batzorig B., Head of the State Central Veterinary Laboratory and Department for Environment Induced Animal Disease Diagnosis and Surveillance 

11:00 – 11:15    Q and A

11:15 – 11:30    Radiation effects on bio-organisms
Presenter: Myagmarjargal D., Researcher and graduate of the Karl's University, Prague, Czech Republic

11:30 – 11:45    Q and A

11:45 – 12:00    Presentation by Mon - Atom, state-owned company

12:15 – 12:30   Q and A

12:30 – 13:15   Lunch

13:15 – 13:30    In situ-leaching mining of uranium  
Presenter: Dr. Norov N., Professor of Nuclear physics, National University of   Mongolia

13:30 – 13:45   Q and A

13:45 – 14:05 "How to make your citizens inspect exploration sites", a direct action on the investors of the mining companies
Presenter: Mark Fafard, Researcher and graduate of University of Quebec

14:05 – 14:25    Q and A

14:25 – 14:35    Current health situation of communities in Ulaanbadrakh and Zuunbayan
                          Presenter: Head of the Health Department, Dornogobi province

14:35 – 14:50    Q and A

14:50 – 15:05    Possibility of uranium consumption in Mongolia and consequences
                          Presenter: Mendbayar B., Physics and Technological Institute, Science Academy,                                    graduate of NUM

15:05 – 15:20    Q and A

15:20 – 15:30     Lawsuit against the NPPs, Toshiba, Hitachi and GE which had caused  the                                         Fukushima disaster. 
                         Presenter: Vice President, No Nukes Asia Actions Japan

15:30 – 16:00 Discussion about scientific research and studies-based guidelines and                                                     recommendations on issues related to exploration and excavation of uranium and                                other minerals for the use of government agencies, law enforcement agencies,                               business entities and local governments and communities. 










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