2014年8月12日火曜日

日米原子力協定の真相とはー小出裕章ジャーナルより

小出裕章ジャーナルをご紹介します。

http://www.rafjp.org/koidejournal/

京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんは一貫して、原発への異議を唱えてこられました。
311・福島第一原発事故をきっかけに、事実を報じないマスコミ報道に代わって、小出さんによる事故や原発に関する解説は、多くの人々からの関心と支持を集めています。
当コーナー「小出裕章ジャーナル」では原発をはじめ、核兵器や放射能などさまざまなテーマを取り上げ、日本、そして世界の原子力のあり方について、小出さんとともに問い続けます。


日米原子力協定の真相とは?「日本はなんとしても自力で核兵器をつくる力を身につけておきたいと思ったわけです」~第31回小出裕章ジャーナル

http://www.rafjp.org/koidejournal/no31/

聞き手
今日は、ズバリ、「日米原子力協定」についてお伺いします。1955年に結ばれて、68年に旧協定が結ばれて、88年に今の協定が中曽根内閣の時に結ばれました。この協定が今も有効なわけですね?
小出さん
そうですね。確か、30年だったですかね?
聞き手
そうです。だから、2018年まで日米原子力協定が今もあるわけですね?
小出さん
もちろんです。
聞き手:
この協定は、どんな内容でどんな問題点がありますか?
小出さん
原子力協定だけを特別、歴史の流れから切り離すというのは、もちろん間違いなのであって、日本というこの国がサンフランシスコ講和条約で一応、米軍から解放された時からの流れの中で理解するべきだと思います。
日本には、日米安全保障条約があるわけですし、日米地位協定というものもあるわけですね。そういうものの基本的な枠組みは何かというと、日本というものが米国の属国になっていく、そういうことなのですね。
原子力協定ももちろんその一部をなしているわけで、米国の指導の下というか、米国の思惑の枠組みの中で原子力をやってきた。米国に付き従っている限りは一定の自由を与えてやろう、そういう協定です。
聞き手:
例えば、核燃料サイクルですが、日本はやめたいと思っても、この協定がある限りはやめれないでしょ?
小出さん
もともとは、米国も日本には核燃料サイクルはやらせたくなかったのです。というのは、核燃料サイクルというのは、いわゆる核兵器製造サイクルというべきものでして、原子炉で出来たプルトニウムを取り出すということが一番の眼目なのですね。
でも、日本はなんとしても自力で核兵器をつくる力、技術的な能力を身につけておきたいと思ったわけで、その中心的な技術である再処理ということをやりたかったわけです。やはり、米国としては、日本にそれをやらせるのはまずいと思ったわけで、日本が再処理に手をつけるということに関しては、米国の中で随分反対があったのです。その反対を押し切って、1977年に東海の再処理工場というのが動き出したわけで、ようやく、日本としては、米国から了承を取り付けて、核燃料サイクルに踏み込むことが出来たということなのです。
それをもちろん、簡単に手放すことが出来ないわけですし、世界で唯一なのですね、核保有国以外に再処理工場を認めたというのは日本だけなのであって、日本が属国である限り、認めておいてやろう、というそういう枠組みの中で原子力協定があるのです。
ですから、歴史の流れの中で考える限りは、日本は自分でも抜けたくないだろうし、米国としても今も枠組みが維持できている限りは、日本はその枠組みで利用したいと思っていると思います。
聞き手:
私は逆に考えてまして、核燃料サイクルというのはアメリカが日本に実験させてそれを見ていると思っていたのですが、日本も核兵器をつくりたいからやりたいのですか?
小出さん
そうです。
小出裕章ジャーナル
聞き手:
単刀直入にいうと、野田内閣の時に20万人が官邸を取り囲みました。野田さんは「大きな音だね」と言いましたが、野田内閣が再稼働せざるを得なかったのは、日米原子力協定があるからですか?
小出さん
先ほどから聞いて頂いているように原子力協定も歴史の枠組みの中で考えるべきだと思っていまして、米国という国は日本が属国である限りは、それなりの自由を与えて、原子力あるいは核という世界に留めておこうと思っているわけですね。
ですから、核燃料サイクルというものもそれなりに認めておいてやろうと思っているわけですし、原子力という、そういう世界につなげとめておくことによって、米国は原子力発電所を売りつけたりすることで、利益、つまり、金が自分の懐に入ってくるというために、日本は逃がさないと思っているのだと思います。
聞き手:
例えば、日本がアメリカの原子炉を購入することで、ウランやプルトニウムの燃料で儲けていこう、そういう考えもあったんですか?
小出さん
ウランを売りつける。或いは、原子力発電所というのは、天然のウランでは日本の原子力発電所は動かないわけで、濃縮という大変厄介なことをしなければいけないのですが、米国はウラン濃縮、つまり原爆をつくるためのウラン濃縮工場をたくさん作りすぎてしまって、そこから出てくる濃縮ウランをどこかへ売らなければ儲からないのですね。
聞き手:
アメリカは余ってたんですか?
小出さん
そうです。山ほど余ってますので、とにかく原子炉を売りつけて、燃料を売りつけることで金儲けをする、そして、原子炉自身も米国がパテント(特許、特許権)を持っているわけですから、売れば売るほど儲かる。ただし、米国自身はゼネラルエレクトリック(GE)もウエスティングハウスも、すでに生産ラインと失ってしまっていますので。
聞き手:
スリーマイルの時からですね?
小出さん
それより前から1974年から米国は原子力から撤退しているのです。生産ラインがないので・・・
聞き手:
米国の方が賢いのですね?
小出さん
遥かに賢いです。それで、日本の生産ラインを動かして、それでまた金儲けをしようと企んでいるのです。
聞き手:
危険は日本任せで、利益はアメリカが取ろうとしているわけですね。
小出さん
そうです。
聞き手:
日本も原子力ムラはそれで儲けたいし、核兵器をつくりたいという思惑もあるので、日米ムラがお互いいいだろうということでつくったような協定ですよね?
小出さん
まあ、国家としての思惑、企業としての思惑というのが複雑に絡み合って、もちろん米国は利益を求めるわけですし、日本の企業もすでにつくってしまった生産ラインがあるので、もう抜けることができないことで儲けることに走っているわけです。
聞き手:
日米安保がある限り、沖縄や横須賀に基地があるわけです。だから、沖縄の人が声をあげても基地はなかなか撤去できませんよね?
小出さん
そうです。
聞き手:
これと同じ構図が原子力にもあって、結局、日本政府も基地ビジネスで儲けたい人がいて、軍産複合体もそれで儲けたい人がいるし、アメリカだって、日米安保条約の中で沖縄に基地を置きたい、という両者の野合みたいなものが安保条約であって、結局、沖縄の人が苦しんでいるわけですよね?
小出さん
そうです。
聞き手:
今回、再稼働を申請している原発というのはほとんどプルサーマルが出来る能力があるものが多いですよね?
小出さん
はい。それが多いですね。
聞き手:
日本政府も電力会社も前のめりになっているのは、プルトニウムを回し続けたいという思いがあるのですか?
小出さん
プルトニウムを回し続けることはもうできません。高速増殖炉が動きませんので。しかし、日本はすでにプルトニウムを分離した形で、45トンも持っていて、それを使うと長崎原爆が4000発も出来てしまうという量なのですね。そんなものを世界が容認してくれるわけはなくて、日本は使い道のないプルトニウムは持たないという国際公約をすでにさせられてしまっているのです。
そうなれば、なんとしても燃やすしかないということで、無理に無理を重ねて、プルサーマルということをやらざるえないところに押し込められてしまっているのです。
聞き手:
この日米原子力協定は2018年に期限が切れます。
小出さん
これは破棄するべきだと思いますし、原子力協定だけでなく、地位協定だって破棄させるべきですし、日米安保条約だって破棄するべきだと思います。
聞き手:
本当の意味で独立していかなければいけませんね?
小出さん
そうです。
ラジオフォーラムは特定秘密保護法に反対します
ラジオフォーラムのアーカイブ
ラジオフォーラムをご支援ください
小出裕章ジャーナル

0 件のコメント:

コメントを投稿