現在、日本ではこれまで原発を運転してきた高レベルの核廃棄物は処理されることなく、全て、原子炉の中に保存されています。しかしそれも時間の問題で、トイレのないマンションと言われてきましたが、いよいよどうするのか、政府としても今さらながらその処理方法、埋蔵場所を決定さざるをえなくなりました。
これまでは、政府の方で各地方自治体から高レベルの核ゴミを埋めてもいいと自主的に言い出したところから多額の交付金をだし文献調査を始めるという方針だったのですが、高知県のある地方を除いてはどこも手をあげる自治体はなく、結局、その高知の自治体も断ってきたために、現在全く見通しがたたなくなっていたのです。
そこで政府は、自主的に手をあげるのは心理的に負担が大きかろうということで、全国の中から85ヶ所(内、北海道11、東北25)の候補地を選び(集会では政府側官僚はそのような数字を公表したことはないと否定)、科学的根拠を示して、科学的有望地を全国的にマッピングをし、地方自治体に説明をして受け入れてくれたところから、文献調査、ボーリング、地下施設建設にとりかかるそうです。各段階ごと、決して住民の意志に反して工事を推進することはないと、彼らは強調していました。すなわち、国が地層処分を行う候補地域を提示する方針に転換したということです。
キャスクも地下での力学的圧力、ガンマ線の水分解の実態、かびによる腐食を考え、外側の厚みを厚くすること、またキャスクを埋めた場所での天然のバリヤの実態を調査しながら、「永久に」埋めることはしないで、知見の拡がり、キャスクの状況を見ながら、埋蔵方法は(移転を含めて)変わりうる、つまり、高レベル核ゴミに関しては何も決定的な放射能防止方法はいまだないなかで模索をする、しかしその模索を始めることは決定しているということのようです。
しかしここにきて、キャスクに入れた核ゴミを地層に埋めるのでなく、地下1000メートルのところに、高レベル廃棄物を直接埋蔵することもありうるとの発表があり、その点に関しても説明がありました。完全に地下に埋め込んだときに地表への影響はどうなるのか、地下水はどうかなど、絶対問題はないと言い切れるわけでもなく、あくまでも問題は残り続けます。
北海道の活動家の最後の振り絞るような声での質問が耳に残ります。「科学的根拠に基づいて指名されることは〈住民の心理的負担はないと思うのですか」。また司会をされた女性ができるだけ感情を抑えて、官僚との対話を試み、皆さんと一緒になって考えていきたいという一貫した誠意ある姿勢には納得させられました。次回も同じような担当部が揃う(13人参加)話し合いの場に出てみたいと思います。瑞穂議員は北海道に視察に行き、この問題の深刻さに敏感に応じていらっしゃるようでした。また北海道選出の鈴木たかこ議員も地元の声に応えるということで最後の挨拶をされていました。
最後に、私が質問したことなのですが、参加した官僚は自分たちの与えられた範囲内で、それなりに誠実に対応しようとしているのでしょうが、私は外務省が推し進めたアメリカとモンゴルと日本によるCFS(包括的燃料サービス)構想、即ち、モンゴルからウランを採掘、精錬、輸出し、輸出国から核ゴミをモンゴルに輸入して埋蔵するという、NPT(核不拡散条約)精神に基づく国際的な高レベル廃棄物処理場建設はどうなったのか、頭をよぎりました。官僚は何もわからないという回答でした。会場からの出口で彼らに再度同じ質問をしたのですが、いや、外務省にきいてください、外務省は何も答えない?それでは自分たちはもっとわかりませんね、ということでした。
彼らは自分の仕事に忠実なだけで、本当にこの問題の解決をどうするのか考えている人ではないのでしょう。彼らは、日本の僻地のなかから高レベル核ゴミを処分する候補地を指名しそのプロジェクトを進めようとしています。しかし今、それを日本の地域住民は受け入れるでしょうか。私はモンゴルでの埋蔵計画は死んでいないと確信しました。絶えず、オータナテイブとして(或いは本命なのかも)モンゴルの線は残しておきたいのだと思います。
モンゴル大統領が来日して安倍と話し会い、日本とモンゴル両政府は、経済連携協定(EPA)の締結に向けて合意したのですが、昨今は、ウランも原子力に関することも完全に沈黙をまもっているもことがかえって不気味に感じます。
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