2013年9月3日火曜日

「原発メーカー訴訟」記者会見の様子をお伝えします

本日、9月2日、日比谷図書館で「原発メーカー訴訟」の会の総会を開き、規約・役員を承認して正式発足してから、記者会見に臨みました。「臨時総会」にするとの案も出ましたが、正式の総会と承諾してこの日から出発することが決定されました(HPにて公開予定:http://ermite.just-size.net/makersosho/ )。NNAA(No Nukes Asia Actions)は原発運動全般に関わり、「原発メーカー訴訟」に関することのみ「原発メーカー訴訟」の会は関わるという、それぞれの役割分担を明確にすることが確認されました。

東京高裁の建物のなかにある司法記者クラブで3時から1時間の「原発メーカー訴訟」の会主催の記者会見が持たれました(通常は30分だそうです)。IWJとテレビ東京の映像関係者の他、約20名ばかりの各メディア関係者が集まりました。

IWJの以下のサイトで映像(約1時間)が見られます。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/99518#more-99518


以下の写真は全てIWJの映像から取り出したものです。
司会のひでさんから壇上の5名が紹介され、冒頭、「原発メーカー訴訟」の会事務局の大久保徹夫さんからは、これまでのNNAAから提起されメーカー訴訟に至る経過と訴訟で問うべき内容が説明されました。下記資料参照。

弁護団長の島昭宏さんからは、今回の訴訟の内容についてどのような観点から取り組むのか、その法理論の概要が説明されました。原子力損害賠償法(原賠法)のもつ、メーカーを免責にする「責任集中」の憲法上の問題点、PL法との関係、民法との関係、また原賠法のなかに記された論点を逆にこちらの主張に転換していく訴訟の方向性が語られました。資料として下記に記します。

次に河合弘之弁護士からは、この訴訟のもつ意義ということで、訴訟に関わる人はまさに無謀にも風車に立ち向かうドン・キホーテのような人たちで、今まで誰も原賠法が定めたメーカーの免責について裁判を起こそうともせず当たり前のこととしていたが、政府と東電にのみ向けられていた矛先をメーカーにもその責任を問うということは全世界にとってもととても大きな意味がある、仮に、日本がトルコに原発輸出をするに際して免罪を謳った法律を作らせても、その法律そのものが無効であるという闘いがトルコでも起こり世界各地で起こる可能性がある、だから自分は当初、勝てっこないと思っていたが、この弁護団に入り、一緒にやって行こうと決心した、ということを話されました。

私は、3・11以降、再稼働反対一本に絞る原発反対運動について疑問に思い、日本でだめなものをどうして海外に売るのか、再稼働反対と共に、原発輸出反対も運動の課題にすべきであると考え、モンゴル、韓国、台湾を回りその実情を知る中で「原発メーカー訴訟」を決断し、市民の国際連帯運動として、全世界から1万人の原告を募り、反核(反核兵器、反核発電=原発)運動を進めていきたいと語りました。この「原発メーカー訴訟」は世界で初めてのことであり、福島原発事故を知り精神的ショックを受けた人は誰でも国籍を問わず原告になれ、慰謝料として一人100円を請求することになるという説明をしました。

最後に「原発メーカー訴訟」の会の会長で、NPO法人NNAA(申請中)の理事長に就任される渡辺信夫牧師は、私は今年90歳で、戦争の経験があり、その後平和運動、人権運動に関わってきたが、この闘いがドン・キホーテであると知り、敢えて理想に向かって問題提起をし邁進するその役を最後の仕事として担いきりたいと力強く話されました。

資料:
 (1)「原発メーカー訴訟」の会結成までの経
                 大久保徹夫

1.   核(発電・兵器)廃絶のために、世界市民との連携が必要
2012年、そして今もそうですが、国内の原発再稼動に反対する活動は盛んです。しかし、すでに原発メーカー各社は、ベトナム、ヨルダン、トルコ、フィンランド(当時)その他への原発輸出に取り組んでいました。国内の原発の廃炉を求めることは当然ですが、同時に「福島を破壊し、太平洋を汚し、今もメルトダウンを続けているような危険物を、輸出することが見逃されて良いのか?」という当然の疑問を私たちは持ちました。何回かの議論を踏まえ、私たちが得た結論は

・ 核は人類/生物と共存できないものであり、その核を生み出した人間、とりわけ現世代の人間が、その責任において廃絶しなければならない。
・原発事故/未解決の原発の放射性廃棄物(死の灰)処理問題の影響は全地球的、かつ半永久的であり、一国だけで解決できる問題ではない。
・ 原子力(核)発電と核兵器の技術/原材料は同一であり、いわばコインの裏表である。核廃絶とは核兵器と核発電の廃絶を意味する。
・核兵器保有国主導の核拡散防止(NPT)体制は軍事転用禁止、核査察受け入れ等(原子力協定)の受諾を条件に非核保有国に原発輸出をビジネスとして推進しているが、NPT体制に入らない国々の核疑惑も生じ、各国の利害対立が激しく、国家間での合意による核廃絶を期待することはできない。
・この核廃絶を達成するためには、遠回りのようだが、既にこの事実に気がついている世界の市民と連携をし、その理解者を増やして各国市民レベルからその政府に核廃絶を迫り、それを達成するしか道はない。
こうした問題意識から、それを実現するための具体的な一歩を検討しました。

2.  No Nukes Asia Actions(略称NNAA)の結成(201211月)
-なぜ原発メーカーは責任を問われないのか?-
NNAAはモンゴル(核燃料廃棄場の建設が問題になっている)、台湾(第四原発が「日の丸原発」と呼ばれ、国民投票が予定されている)、韓国(日本と同様、原発輸出に取り組んでいる)、北米、ドイツ、その他諸国の反原発市民有志と連帯、国際的なネットワークであるNo Nukes Asia Actionsを立ち上げました。

201211月、東京の信濃町教会にて、これら諸国からの方々も参加する中、結成記者会見を開きました。
このとき既に、本「原発メーカー訴訟」の弁護団長である島 昭宏(しま あきひろ)弁護士による、日本の「原子力損害賠償法(通称:原倍法)」に関する講演をいただきました。
その問題点とは、①同法が損害賠償責任を事業者(電力会社)に一極集中させているが同法は今回の福島事故のような大事故を想定しておらず、結果的に補償を遅延させ、かつ税金投入など不当な国民負担を増大させている。一極集中により、事業者以外の、特に原発メーカーは本来、製造者責任法によって負うべき補償負担を免れ、かつ市民からの非難、告発から逃れているその上、それを良いことに日本での原発ビジネスダウンを見越して海外輸出に血眼になっている福島事故の真の原因が不明確のまま、このような海外原発輸出を進めることはいわば「福島事故の輸出」につながりかねない。しかるに日本および原発輸出関連企業は更に原発輸出国に対して「原子力協定」の一部として日本と同様に事故の賠償責任をその国の電力会社に一極集中させるその国の「原倍法」成立を要求して、事故発生時のメーカー責任を免れようとしている。

1-3.「原発メーカー訴訟」の会(原告団)の結成(20138月)
日本の日立、東芝、三菱、が過去の経緯により、世界的な原発メーカーとなっている現在、この福島事故を起点として、原発メーカーの責任を問うための訴訟を起こすことが妥当と判断し、NNAAが中心となって原告参加者を募り、また弁護団を結成し、実体面そして法理論の両面での準備を進め、本日を迎えることとなりました。


 (2)原発メーカー訴訟
                             島 昭宏 
                    
 本来、電力会社と共に原発事故の責任主体となるべき原発メーカーは、原賠法が責任集中の原則を採用しているため、何ら責任を問われないばかりか、今なお海外への輸出によってさらなる利益拡大を図っている。このあからさまな原子力産業保護を優先する不合理な構造の修正を迫ることが本訴訟の目的である。

  原子力損害賠償法 - 責任集中の原則
1条(目的)被害者の保護+原子力事業の健全な発達
  第31項本文:原子力事業者の無過失責任、無限責任
  第41項  :責任集中
        3    PL法の適用除外
  cf.1999年 JCO東海事業所における臨海事故の裁判例
   ― JCO100%親会社・住友金属鉱山を被告
  原賠法は民法の特則であり、債務不履行又は不法行為の規定を排除
  原賠法4Ⅰは、明確な規定であり、電力会社以外に損害賠償責任を負わせる余地はない
  しかし、同条項は、日本が原子力推進のために当時独占的に核燃料を供給していたアメリカやイギリスからの理不尽な免責要求に応じざるを得ず制定されたもので、不合理なものであることは明らか。

被 告 :1号機・GE2号機・GE+東芝/3号機・東芝/4号機・日立
法的根拠:
   責任集中を定める原賠法4条の違憲無効を前提に、PL法での損害賠償請求
a)    法令違憲
b)    適用違憲;事故及び被害の規模、範囲、継続性
 製造物の「瑕疵」:通常有すべき安全性を欠いていること
  地震、津波が想定されたものであったこと
  1970年代から欠陥が指摘されていたマークⅠ型の格納容器
   民法709
メーカーの「過失」;注意義務違反
   原賠法51項に基づく求償の代位請求
メーカーの「故意」;事故の発生を認識しつつそれを認容する心理状態


 (2)「原発メーカー訴訟」の会結成までの経
                 大久保徹夫

1.   核(発電・兵器)廃絶のために、世界市民との連携が必要
2012年、そして今もそうですが、国内の原発再稼動に反対する活動は盛んです。しかし、すでに原発メーカー各社は、ベトナム、ヨルダン、トルコ、フィンランド(当時)その他への原発輸出に取り組んでいました。国内の原発の廃炉を求めることは当然ですが、同時に「福島を破壊し、太平洋を汚し、今もメルトダウンを続けているような危険物を、輸出することが見逃されて良いのか?」という当然の疑問を私たちは持ちました。何回かの議論を踏まえ、私たちが得た結論は

・ 核は人類/生物と共存できないものであり、その核を生み出した人間、とりわけ現世代の人間が、その責任において廃絶しなければならない。
・原発事故/未解決の原発の放射性廃棄物(死の灰)処理問題の影響は全地球的、かつ半永久的であり、一国だけで解決できる問題ではない。
・ 原子力(核)発電と核兵器の技術/原材料は同一であり、いわばコインの裏表である。核廃絶とは核兵器と核発電の廃絶を意味する。
・核兵器保有国主導の核拡散防止(NPT)体制は軍事転用禁止、核査察受け入れ等(原子力協定)の受諾を条件に非核保有国に原発輸出をビジネスとして推進しているが、NPT体制に入らない国々の核疑惑も生じ、各国の利害対立が激しく、国家間での合意による核廃絶を期待することはできない。
・この核廃絶を達成するためには、遠回りのようだが、既にこの事実に気がついている世界の市民と連携をし、その理解者を増やして各国市民レベルからその政府に核廃絶を迫り、それを達成するしか道はない。
こうした問題意識から、それを実現するための具体的な一歩を検討しました。

2.  No Nukes Asia Actions(略称NNAA)の結成(201211月)
-なぜ原発メーカーは責任を問われないのか?-
NNAAはモンゴル(核燃料廃棄場の建設が問題になっている)、台湾(第四原発が「日の丸原発」と呼ばれ、国民投票が予定されている)、韓国(日本と同様、原発輸出に取り組んでいる)、北米、ドイツ、その他諸国の反原発市民有志と連帯、国際的なネットワークであるNo Nukes Asia Actionsを立ち上げました。
201211月、東京の信濃町教会にて、これら諸国からの方々も参加する中、結成記者会見を開きました。

このとき既に、本「原発メーカー訴訟」の弁護団長である島 昭宏(しま あきひろ)弁護士による、日本の「原子力損害賠償法(通称:原倍法)」に関する講演をいただきました。
その問題点とは、①同法が損害賠償責任を事業者(電力会社)に一極集中させているが同法は今回の福島事故のような大事故を想定しておらず、結果的に補償を遅延させ、かつ税金投入など不当な国民負担を増大させている。一極集中により、事業者以外の、特に原発メーカーは本来、製造者責任法によって負うべき補償負担を免れ、かつ市民からの非難、告発から逃れているその上、それを良いことに日本での原発ビジネスダウンを見越して海外輸出に血眼になっている福島事故の真の原因が不明確のまま、このような海外原発輸出を進めることはいわば「福島事故の輸出」につながりかねない。しかるに日本および原発輸出関連企業は更に原発輸出国に対して「原子力協定」の一部として日本と同様に事故の賠償責任をその国の電力会社に一極集中させるその国の「原倍法」成立を要求して、事故発生時のメーカー責任を免れようとしている。

1-3.「原発メーカー訴訟」の会(原告団)の結成(20138月)
日本の日立、東芝、三菱、が過去の経緯により、世界的な原発メーカーとなっている現在、この福島事故を起点として、原発メーカーの責任を問うための訴訟を起こすことが妥当と判断し、NNAAが中心となって原告参加者を募り、また弁護団を結成し、実体面そして法理論の両面での準備を進め、本日を迎えることとなりました。

(3)「原発輸出を考える」集会
の呼びかけ人になっていただけませんか?
「原発メーカー訴訟」の会 会長 渡辺信夫

私たちは、「原発メーカー訴訟」の会を設立し、以下のような理由で原発メーカーを訴える訴状を2013.1111に提出します。それに先立ち、下記要領で原発メーカーの問題点について考える会を開催します。貴団体におかれましては、是非、上記集会の呼びかけ人になっていただけませんでしょうか。多くの市民に参加していただき、「原発輸出を考える」集会を成功させ、次の行動につなげていければと考えています。よろしくご検討ください。

1.     日時
1019日(土) 14001630
2.     場所
信濃町教会
3.     プログラム(概要)
集会名:「原発輸出を考える」
講師予定者:渡辺信夫(「原発メーカー訴訟」の会 会長)、島昭宏(弁護士、「原発メーカー訴訟」弁護団代表)、河合 弘之(弁護士 脱原発弁護団全国連絡会会長)、山本太郎(参議院議員)

【私たちが原発メーカーを訴える理由】
2011311日に発生した福島第1原発の水素爆発を伴う巨大事故は、かつて我々が経験したことがない規模で放射線被害を拡大させ、世界中の人々を震撼させた。そして現在、東京電力に対し数多くの損害賠償請求訴訟が提起されている。

しかし、自動車の排気ガスによる喘息被害に対して、運転手や所有者以上にメーカーが賠償責任を問われるように、原発事故被害については、電力会社だけではなく、原発メーカーも当然に責任を追及されるべきである。 ところが、原発メーカーはこれまでほとんど非難の対象とさえされていない。

その原因は、原子力損害賠償法が事業者(電力会社)のみに責任を集中させ、通常問われるべき製造者責任法を適用除外としている制度を採用しているためだ。
しかも、原発メーカーは、福島原発事故の機器上の瑕疵調査もせず、真の原因不明確のまま国内での原発ビジネスのトーンダウンを補うがごとく、トルコ、インド、台湾、ヨルダン、フィンランド、リトアニア、ベトナム、・・ など海外への輸出によってさらなる利益拡大を図ろうとしている。これは正に海外にフクシマ事故を輸出する可能性を否定できない。

このように原子力損害賠償法による、事業者への責任集中制度はまさに原子力産業保護を優先する不合理な構造を作り出しているのであり、ここには、いかなる正義も存在しない。
我々はこのような極めて不合理な原子力産業保護構造の修正を迫るために、本訴訟を提起することとした。   (訴訟の詳細内容については原発メーカー訴訟 検索で確認ください)
  呼びかけ人になったくださる方、または団体は下記にe-mailを送っていただければさいわいです。またはお電話での申し込みでも結構ですので、よろしくお願いいたします。

                  「原発メーカー訴訟」の会事務局長  崔 勝久
                       Che.kawasaki@gmail.com





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