2013年9月2日月曜日

9・1日比谷公会堂での大江健三郎の「遺言」

昨日、日比谷公会堂で行われた集会に行きました。

大江健三郎、小出さんの講演はまるで遺言のように聞こえました。大江さんのスピーチはいつもアジるような口調でなく、淡々と、ぼそぼそと話されるのですが、昨日もその口調でしたが、私は彼が、加藤周一と井上ひさしの故人を引き合いにだし、その故人との想像の対話を書いてみることの重要性を話していました。

英語ではEssentialなMoralという単語をフランスで語り始め、加藤周一のエピソードからその単語を故人との対話として引き出し、それがどのような意味があるのかを語りました。

Essential であるというのは、一番大切なもの、自分にとって最も中心になるものという意味だそうです。そしてフランス語のモラルは倫理という意味と共にさらに人間らしさ、人間のあり方を示すものとしてその単語を説明していました。

その前にフランスに亡命したチェコの文学者が最後の評論で、次の世代が生きていける環境を残していくことを書いたそうですが、そのことに触れながら、今の日本で憲法をそれなりに守ってきた国民として、この右に向いた好ましくない状況であっても自分はあきらめない、日本では多くの女性が女性が原発に反対しているということは、日本人も必ずドイツのように原発を破棄するように動く、そして安倍などは静かに去っていくようになるだろうと語っていました。

遅まきながらドイツから学び、次の世代に彼らが生きて行ける環境を残すこと、それを自分自身の生きる最も重要な倫理、人間としての生き方として、即ちEssential Moralとして残していきたいというのです。この楽観的にも聞こえるメッセージは、彼のまさに遺言です。井上ひさしとの心温まるエピソードで会場を沸かしながら、最後に大江健三郎が語ったこと、しかと受けとめたいと思います。

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