2013年6月4日火曜日

原発事業からの撤退と原発輸出中止を、日立製作所会長・社長への要望書ー朴 鐘碩

世界中に放射能を撒き散らしている日本は、原発事故の教訓を活かすことなく原発を輸出しようとしています。原発輸出は、台湾、インド、日本などの反原発運動でわかるように住民を騙し続け、差別と人権弾圧を前提にした植民地の略奪です。

安倍首相の中東訪問で原発メ-カは、輸出で莫大な利益を得ようとしています。事故を起こした原発メ-カの一つである日立製作所は、「人権尊重、環境保護」を謳っていますが、原発被害で生活を奪われた人々の悲痛な声を聞こうとしないのでしょうか。経営者幹部は、企業としての社会的、道義的責任を感じないのでしょうか。

日立製作所会長、社長に、再度原発事業からの撤退と原発輸出中止を求める要望書を提出しました。  朴 鐘碩

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(株)日立製作所 
会長 川村 隆様
社長 中西宏明様

2013年6月3日
日立製作所 ITプラットフォーム事業本部  朴 鐘碩(パク・チョンソク)

要 望 書
 
福島原発の水素(核)爆発事故から3年目になりますが、事故は収束するのでしょうか?大量の汚染水が海に流出していますが、現場の状況、被曝労働の実態は、隠されたままです。収束するまで何年かかるのか、どれだけの労働者が被曝するのか、炉心はどうなっているか、原発を納入した日立はじめ原発メ-カのエンジニアたちも確認できず、推測するしかない状況です。わかっているのは放射能を世界中に拡散し続けているということです。

日立および関連会社で働くエンジニアたちは、原発事故について疑問を感じても話すことはできずタブ-となっているようです。ものを言わない、言わせない環境です。収束作業に関わる日立労働者がいるのか、その実態もわかりません。「原発推進を凍結」宣言した連合に加盟する日立労組(幹部)は沈黙しています。

事故原因、収束、賠償、汚染、使用済核燃料処理など、先が見えない難問が山積みされていますが、安倍晋三首相は、5月経団連役員を伴い中東を訪問し、「原発の信頼性・安全性」を強調し、輸出をアピールしました。

事故の教訓を活かそうとせず、ヨルダン、UAE、トルコ、インド、ベトナム、リトアニア、英国、フィンランドなど、世界に原子力を輸出する計画です。
原発輸出は、「安全神話」で住民を騙し、弱者への人権弾圧・差別を前提にした新たな植民地略奪と私は理解します。

東京電力、原発メ-カである日立、東芝、三菱は、「差別体質の払拭に取り組む」「あらゆる差別をなくす」(東京)人権啓発企業連絡会(人企連)に加盟しています。人企連は、「人権尊重は人類普遍の原理であり、また世界共通の価値観でもあり」、「一人ひとりの基本的人権は、侵されることのない永久の権利である」と宣言しています。

原発被害によって20万人近い住民が故郷から離れ、過酷な避難生活を強いられています。経営者である川村会長、中西社長は、生活を奪われた人たちの人権、メ-カとしての社会的・道義的責任をどのように考えているのでしょうか?
日立製作所は、「子どもたちに美しい地球を受け継いでいくために」「日立グループが地球環境に対して重大な問題意識を持って取り組んでいる企業集団であることをそれぞれの国のみなさまに知っていただくことです」と、地球環境保護にも積極的に活動しています。最も敏感に放射能に影響される「子どもたちに美しい地球を受け継いでいくために」は、人類・自然環境と共存できない原発を造らない、輸出しないことです。

反・脱原発を求めるNo Nukes Asia Actions(NNAA)のメンバ-として、私はメ-カに植民地主義に繋がる原発輸出中止と事故を起こした原発メ-カ日立・東芝・GEに社会的・道義的責任に求めていきます。

昨年12月18日、日立製作所の(リトアニアへの)原発輸出に反対する抗議行動に参加し、東京・丸の内本社前で「日立は原発事業から撤退し、輸出するな!」と、私は本社ビルに向かって大きな声で叫びました。私たちの声は、会長・社長に届いたでしょうか?「日立製作所は、反原発を訴える市民と真摯に対話する開かれた企業になる」と私は信じています。
アジア、欧米など各国から参加した人たちは、「日立で働いている人が参加した!」と驚いていました。労使一体で労働者に沈黙を強いる「企業内植民地主義」と向き合ってきた私は、原発メ-カで働く一人の人間としておかしいことはおかしいと言い続けなければならないという使命感をより強く持ちました。今年4月13日、日立だけでなく東芝、三菱、日本製鋼所の本社にも抗議しました。

私は、約40年前の1973年12月、旧新丸ビルにあった日立本社で始まった「日立就職差別糾弾闘争」を回想しました。裁判所は、国籍を理由にした日立の(就職)差別は違法であると認めました。
日立製作所は、差別解消のために具体的措置をとると約束しましたが、定年まで働いてわかったことは、(日本人)労働者の沈黙と差別、排外主義は深く繋がっているということです。エンジニアにものを言わせない植民地的経営は続いています。定年退職しても私自身の「日立闘争」は、終わっていません。

確かに「一人ひとりの基本的人権は、侵されることのない永久の権利」です。私は「あらゆる差別をなくす」ために、世界の人々と連帯していきます。
日立の労働者・経営者幹部の「子どもたちに美しい地球を受け継いで」もらうためにも、人類・自然を破滅させる原発(=核)は造らない、輸出しないことです。

私は、日立製作所の植民地的経営に抗議し、地球環境保護を訴える川村会長、中西社長に再度原発事業からの撤退と輸出中止の英断を要請します。
No.331 - 2013/06/03(Mon) 20:18:44

1 件のコメント:

  1. 原発製造の汚点と矛盾に日立社自ら気づいて、一刻も早く勇退してくれることを望みます。
    朴鐘硯さんの存在は、日本に人権と民主主義の実現を望んでいる人々にとって、大きな救いです。

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