2012年9月12日水曜日

川崎市長の暴論ー微量なセシウムが検出された食品を給食にだすことの是非について


(1)阿部市長の暴論ー東京新聞のスクープ
横浜市や鎌倉市が放射性物質の検出の結果から、学校給食で冷凍ミカンの使用を見合わせたのですが、川崎市は国の基準を下回っていることから実際に使用をしているようです。阿部市長は他の市では使用を見合わせていることに質問をされ、あろうことか、「このレベルでビクビクする教育をすることが間違い」「道路では車にぶっつかる危険性があり、すれ違ったあかの他人に刺される可能性もある。だから人とすれ違うな、と教育しますか?」、納得していない保護者には「ビクビクしなさんな」と応えたというのです(2012年9月5日(水)東京新聞朝刊 山本哲正記者)。

どのような状況で阿部市長がこのような発言をしたのかわかりませんが、川崎市に問い合わせをした主婦に対して当局は事実を認めたそうです。受け答えをした人は多少、困惑しているような様子ですが、そのやり取りがツイター上で公開されています。市長は謝罪や弁明をする予定はないそうです。私たちの仲間は、市長の意見をそのまま取り入れた教育委員会のあり方が問題と指摘しています。

内部被曝の問題、特に子供への影響は国や国際機関が定めた数値で安全ということはあり得ないということが、はっきりと言われだしたこのときに、阿部市長の発言はいかにも不注意であり、市長の姿勢として問題があります。私たちは市長の発言の揚げ足をとるのではなく、川崎市の首長として市民の安全にどのような対策をとろうとしていうのか、なによりも市民の要望、声をどのように聴こうとしているのか、この点を問題にしなければならないと思います。

(2)自治基本条例で作られた「区民会議」の形骸化
そもそも川崎は川崎市自治基本条例をいち早く制定して、市民の市政運営への参加を市民の「責務」としてきました。「区における課題の解決を目的として調査審議」を目的とする「区民会議」鳴り物入りでつくられたのですが、その作成の全過程に市民側の代表として参加して来られた新井敬八さんは、9月8日の市民フォーラムの場で、「区民会議」が完全に形骸化し、住民の声を反映し、住民が自らの課題を解決していく場ではない、重要なことは全て市の意向に沿って進められているということを強烈に批判されていました。来年の市長選においては、「区民会議」のあり方は勿論、自治基本条例そのものの在り方をめぐっても活発な議論をしなければならないと思います。

しかし残念ながら既成政党は、来年の市長選を前にしても政令都市川崎の中で区を単位にしてどのような住民自治を進めるのかという準備をしていないように見えます。前回2位であった民主党の福田候補は今回は党と労働組合の分裂なく選挙戦をいち早くスタートさせているのですが、彼もまた維新の会やみんなの党との関係を深め道州制を強調するでしょうから、以前の「区民議会」の設立を改めて提案するかどうか不明です。他党は市議会での議席数を取ることにやっきになっており、超党派での災害対策とか、「区民会議」の改編ということには関心がないように見えます。

(3)川崎市における市民参加の災害対策の必要性
川崎市においては3・11を経験して、地震・津波対策は火急の問題となっています。一般ゴミ、下水道の汚泥はすべて焼却されるのですがその焼却灰は放射線量が高くて処理ができず、臨海部に積み置きにされたままという非常事態であることをマスコミは取り上げず、多くの市民には知らされていません。今の防潮堤の高さでは国と神奈川県が予測する津波の高さからしても、それを乗り越えて津波が川崎駅まで来ることになっています。それは海水だけでなく、石油タンクから流される油や、劣化ウランをはじめとした危険物、放射線量の高い焼却灰までが流されて来ることであり、死傷者の数は数十万人に及ぶでしょう。

川崎北部においても崖下に作られた「急傾斜地崩壊危険箇所は506箇所」にも及んでいます(川崎市地域防災計画(防災対策編)」より)。これらの災害の危険性が予測される川崎市においては、早急に市民、超党派の議員、有識者たちが行政と一堂に会して話し合う場が保障されるべきです。市議が市民の意見を代弁して行政に働きかけるとか、市民が行政に働きかけるとかという次元ではもはや、災害対策は講じることはできないのです。

阿部市長は、市政への参加は「市民の責務」と言いながら、市民の声は聴き置くだけでした。それは災害対策において明確に現れており、先の市の「防災計画」では市民の「自助」「共助」が強調されるばかりで、行政が本気になって市民と話し合う場は全く保障されていないのです。まさにお上が民の声を聴いてあげるという姿勢です。

私は今回の阿部市長の失言を捉えて子供の給食の問題を取り上げるときに、そこでとどまらず、市民が市議(「区民会議」では市議の立場は曖昧なままです)、行政と一緒になって話し合うことの重要性を行政側に認識させる必要があると考えます。

参考までに:
●「脱原発かわさき市民」のメンバーの谷田部さんからMLで流された情報です。
 横浜市や鎌倉市が冷凍ミカンの使用を見合わせ(まさに正しい判断!)ていることへ、阿部市長は「このレベルでビクビクする教育をすることが間違い」と、川崎市民がおとなしいことをかさにきて教育委員会に「教育的側面からの使用」を強要したのであれば、まさに教育委員会の中立性など吹き飛んでしまうのではないでしょうか。
 たとえ少量?であれ子どもたちにわざわざセシウムが検出されたものを給食に出すなど、内部被爆を恐れぬその見識を疑いますが、もともとこれは阿部市長がうんぬんすることではありません。
 この問題こそ私たち市民から要望を、教育委員会に「陳情」という形でが出せますし、10分程度の陳述が委員会の場で出来ます。 それに対しては教育委員の皆さんの議論そして決定がなされます。これが本来の教育委員会の姿であり、行政の長や議会からの一切の政治的な干渉は許されるものでは有りません。

●市長セシウム給食発言について川崎市に問い合わせをした3児の母あいりみっち
@airimichさんのTweet。

川崎市に問い合わせたこといろいろ。 (1)川崎市長発言について。まず報道担当に、発言の事実と内容を確認。「事実です」とのこと。今後、この発言について謝罪や弁明の予定は?「ありません。市長の考えは変わっていないので」。

“健康に影響ない”“危険の中で生活していることを知ることが大事”という発言の間に違和感を感じるが?「私個人としても感じる。ご意見は上に伝えるが、『市長の部屋』へのメールは、市長は必ず目を通すので、そちらへも一筆お願いします」とのこと。ありがとうございました。

教育委員会へ電話。まずは市長発言について。「微量であれば問題ないので提供するという立場は変わらない。保護者へ周知し、ご理解頂きながら提供する。強制はしない」周知と選択権が与えられたことに感謝するが、担任へ連絡帳で報告しろというのが疑問。本人の意志で残したい場合は?

「確かにその問題はある。子どもの自主性という観点からももう一度考えたい」交通事故と並べて論ずることに疑問。交通事故は起きてはならないことが前提で、家庭や学校で教育するもの。事故を起こせば罰則があるが、放射性物質は基準値があるとはいえ、未検査のまま流通しているものもある。

「確かに喩えとして適切でない。親御さんの心情を逆なでする発言。上に上げる」ところで牛乳。今月から福島の原乳が使用されるという情報があるが?「川崎市ではまだ使用されていない。お米・パン・牛乳については『学校給食会』が統治していて、川崎市が独自に選択できない」

福島の原乳が使用され始めるのはいつ?「学校給食会から知らせがくるのは使用が始まってから。川崎市で牛乳の検査をするのは月2回」では、事後報告?検査の次の日から切り替わったら、2週間知らずに飲むことになる?「検査回数を増やして対応する予定」

飲んだあとに汚染されていたことを知るというのは困るが…「検査は早朝に行ない、万が一検出されたら緊急時の連絡システムにて報告する予定」牛乳は毎日飲むもの。数値が出ても提供する?「数値にもよると思うが、微量であれば…」出すんですね。産地や銘柄の変更は?

先ほども申し上げたように、学校給食会が取り仕切っているために、川崎市が自由に産地や銘柄を変えることができない」 ではパンは?東北や関東の小麦から高い数値が出ているという
情報がある上に、給食のパンを国産小麦にしようという動きがあると聞いたが?

そのような動きがあるのは事実だが、今のところ具体的にいつからと決まっていない。こちらも学校給食会の絡みがあるために、川崎市が自由意志で選択できない。もし国産小麦に切り替わったら、産地と検査結果は随時お知らせする」是非よろしくお願いします。

牛乳とパンから数値が出てしまったら、うちはもうお弁当しかないと思ってますが、こういった生徒への対応は?「校長会で、給食を強要しない、お弁当の生徒を孤立させない、色眼鏡で見ないという指導はしている。お弁当を持たせるという親御さんのお気持ちを尊重する。」

日々の検査へのお礼と、話を聞いてくださったことへのお礼を述べて、電話を切りました。 何だかんだいっても、川崎市は検査体制も整っている方だし、これから汚染されるかもしれない牛乳やパンについても、よく協議されている様子だと感じました。

食中毒への対策もしっかり行なっているようで、調理師さんの検便は月2回だそう。職員さんは頑張ってくださってるのに、市長の発言で全て水泡と化してしまうのが、本当に申し訳ない。報道も教委も「今朝から何本かお電話頂いています」たくさんじゃないの?ママたち、もっと怒ろうよ~ (終).

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