2012年9月29日土曜日

日本はどうなっちゃってるの?

民主党政権は「30年代原発ゼロ」を一旦は掲げながら、閣僚会議にかけて政策決定をしませんでした。また再処理を継続し、中断していたMOX燃料を使う大間原発の工事再開を決めました。一方、次回選挙で政権交代を噂される自民党の党首は安倍晋三が選ばれました。彼が選んだシャドー内閣はおしなべて脱原発慎重派です。上の写真は自民党総裁選の時のテレビ公開討論の一コマです。全員、「最終的には「原発ゼロ」を目指す?」にXの反応をしました。
韓国の民主化のあり方を具体的な政治状況に関わりながら提案してきた白楽晴氏は、今年末の大統領選挙を踏まえて来年、「2013年体制」を構想し市民参加による分断「体制」の克服と、それを支える韓国国内のさらなる民主化を提案します(『韓国 民主化2.0ー「2013年体制」構想する』岩波書店 2012)。彼は著書の中で、3・11以降の日本のあるべき姿にも言及し、韓国の2013年体制と「日本の進路は緊密に連結」していると見ます。

3・11大震災後の日本社会が、単に原発産業の透明性と安全性を前より高めるとか、原子力の依存度を減らすという程度にとどまらず、明示維新以来の近代主義的な成長の論理と「脱亜路線」を根本的に変えるところまで進むなら、これは二度の機会(崔、明治維新と8・15の敗戦)に際して失った名誉を挽回する歴史的な快挙になるだろう」(日本語の版の序文より)と氏は主張するのです。

大震災後、日本の多くの人もそのような視点から3・11を捉えようとしてきました。しかし残念ながら、新たな市民運動が始まったとは言え、現実は冒頭に記したような形になり、海沼博をして「3・11以降、何も変わっていない」と言わしめる結果になっています。
「日本の変わらなさ」を指摘する開沼博の言い分は当たってきている
http://www.oklos-che.com/2012/09/blog-post_19.html

それどころか、竹島(独島)への李明博大統領の上陸と天皇謝罪発言をめぐって日本社会は反発し、その背景にある従軍「慰安婦」問題の解決をめぐる日本政府の姿勢、植民地支配に関する再考察に至ることはありませんでした。

竹島(独島)の領土問題についてーこの問題の本質を考える
http://www.oklos-che.com/2012/08/blog-post_28.html

そして尖閣諸島をめぐり、日中間の関係は最悪になってきています。日本政府は、実質支配をする韓国には領土問題として国際社会に訴えると言いながら、対中国には領土問題はない、とダブルスタンダードの姿勢を見せています。何よりも、国民は領土問題をめぐって愛国心、ナショナリズムに燃え始めています。安倍の再登場と石原東京都知事や河村名古屋市長、橋下大阪市長の植民地支配を軽視する発言はつながっているのでしょう。それだけ、日本全体の右傾化が進んでいるということです。もはや憲法「改悪」は平気で、当然のことのように提起されるようになっています。

これは白楽晴氏の主張とはまったく異なる方向に日本は行き始めたということです。明治維新や、8・15の敗戦と同じように、3・11もまた日本の国民国家を強化し、戦後の植民地主義である原発体制をさらに維持、拡大しようとしているように見えます。これでは3・11福島事故はなんであったのか、根本的に、歴史的に日本社会を見直すということにならないということでしょう。原発体制を作り上げてきた自民党がまた政権を奪取し、さらに原発輸出を強化するのかも知れません。

これまでにない市民の動きが日本社会変革の鍵を握るようになってほしいと私は願ってきました。いろんな問題を抱えていても、そこから新しい芽が生まれることを期待したのです。ウム、歴史は一直線には思うように進まないようです。ここで「決断主義」「ハネ上がりとなったり行動的ニヒリズムとなったり」(藤田省三『精神史考察』)することなく、しっかりと自分の考えを深めなければならないように思います。それも足元をしっかりと見つめながら。

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