2012年9月30日日曜日

モンゴルから世界の核事情が見える、最新のモンゴル事情の決定版ー今井良子さんの講演より

Ustreamde録画をご覧になれます。http://www.ustream.tv/channel/iwj-osaka2
                                      
今岡良子さんが昨日の29日、大阪で講演された内容をUatreamで観て、その内容を報させてせていただきます。今岡さんはモンゴル服を着て講演されていますが、これはある高校での文化祭に出席されてすぐに駆けつけたからだそうで、大変お似合いです。



話の内容は冒頭、砂漠でのトイレの話から始まり、用を足した後に紙を使うのは自分たちくらいで、自分も毎年モンゴルにフィールドワークでいくと大体どこで用をたすか場所が決まってきて、驚いたことに、次に同じ場所に行ったときにその埋めたはずのトイレットペーパーが残っていた、1年の半分位は零下20度、年間雨量は60ミリくらいの土地柄なので、紙が分解されなかったからだということでした。そのように切り出しながら今岡さんは、そのモンゴル全体をトイレ(核廃棄物の捨て場)にするような報道を知り、愛するモンゴルの大地を守るためには自分は死んでもいいくらいに思ったと、モンゴルに対する熱い思いから話ははじまりました。

今岡さんの前半の話はウランバートルから650キロ離れているマルダイという、旧ソ連のウラン採掘場で、今も政府がその場を核廃棄物の捨て場にしようと考えている場所に行って見てきたことを話されました。この写真は人造湖で、ここに廃棄物が流されていたそうです。


これは旧ソ連がモンゴルと秘密契約を結び、モンゴルのウランを採掘し、その残土です。今でもソ連に運んだ線路の跡があるそうです。もちろん、この残土の付近でも放射線量は通常よりはるか高い数値であったそうです。


これはマルダイから少し離れた村だそうですが、家の建材やセメントなどは、現地にあったものを解体してそのまま使っているので、はやり線量は高かった、ということです。今岡さんの泊まられたホテルそのものの部屋で測っても線量が高かったのですから、現在の住民が被曝しているのは確実だと思われます。

そもそも現地において原子力発電所を作る需要はまったくなく、住民はこの写真のような太陽パネルでまかなえる電量で十分に生活できるのだそうです。遊牧民の彼らは、必要に応じて家畜を売り、そのお金で
太陽パネルを購入してもそんなに負担なく返済できる額だそうです。

真ん中に小さく見えるのが中国企業がウラン採掘している現場だそうです。世界のウランの埋蔵量の15%にもなるモンゴルのウランをねらって、カナダ、アメリカ、ソ連、中国、オーストラリアなど世界の大資本が採掘の権利を買って既に採掘を始めているということが日本側の資料で公にされています。
現地の青年と満天の星空の下で酒を交わしながら話をしたそうですが、今岡さんは彼の発言に大変感動したそうです。広島の原爆投下の件も知っており、自分たちの大地にあるものから人殺しに使うような危険なものは作って欲しくない、という発言です。これは沖縄をはじめ自分の農地をもち地域で暮らす人であれば全世界どこでも通じる率直な意見だと思われます。

8分の休憩の後に再開された講演は主に、今岡さんが作成されたモンゴルの原子力「平和利用」ということでモンゴルと世界各国がどのように動いているのかという関係、特に日本との関係のことを準備された資料と写真をもとに話されました。

参考資料:
2012年8月3日金曜日
モンゴル国のウラン開発・原発建設・核廃棄物処理場建設についてー今岡良子
http://www.oklos-che.com/2012/08/blog-post_3.html

大阪でのお話は8月に学会で発表された論文よりさらに詳しいものでしたが、大体の流れは上記のURLからご覧になれば理解されるでしょう。

講演の中で何度も強調されていたことを以下のように整理いたします。
1.モンゴル、アメリカ、日本当局は否定しましたが、毎日新聞でスクープした内容は正しく、モンゴルは国連などで海外からの核廃棄物は持ち込ませないという方針を公にしてきましたが、自国のウランを購入した国からの使用済み核廃棄物を引き受けるというのは現行法においても当然視されているという点は重要です。日本の人はほとんどこの事実を知りません。


2.それどころか、今年の5月にモンゴル国会で2時間の議論で通過させた投資計画書によれば、マルダイをはじめ3ヶ所、放射性物質を保管する施設を建設する期間、金額などを明記しています。それに対する批判の声が高まるや、政府はやおら、放射能測定施設の建設と目的を変更するようになったそうです。

3.モンゴルは日本の文部省とは違い、現地の教科書採択は比較的自由なので、日本の良書を翻訳して、現地の自然を守るNPOとタイアップしながら次世代を対象にしたものを教科書にしていきたい、日本人の自分としては核の選択はモンゴル人がすることだが、広島、福島の経験をどうしても伝えたいという抱負を語られていました。

4.最後に、北朝鮮も羅津を港として提供するという話をモンゴル当局と進めており、モンゴル大統領は最近もイランを訪れ「核の平和利用」、ウランの採掘、配送、再処理、廃棄物の輸入に関してはやる気満々と今井さんは質問に答える形で状況判断されていました。日本のヴェトナムへの輸出、韓国のUAEへの輸出もそれぞれ自国内で廃棄物を引き取り最終処分することはできないので、モンゴルに持ち込むことが内々に密約されているのではないかという声が参加者の中から上がっていました。(文責 崔勝久)

お話を伺った私自身の感想としては、今岡さんは、使用済み核廃棄物の最終処理をモンゴルにもっていくということも問題だが、今、この間掘り続けてきたウラン採掘の結果、残土などがそのまま放置されており、現地の人たちや働く人たちの被曝対策は緊急の課題というご意見には賛成です。

参考資料:

2012年8月19日日曜日
今岡さんのモンゴル情報ーウラン採掘跡地を訪れて
http://www.oklos-che.com/2012/08/blog-post_19.html

2012年7月26日木曜日
危機的な状況に瀕したモンゴルを訪れて
http://www.oklos-che.com/2012/07/blog-post_26.html



0 件のコメント:

コメントを投稿