2012年8月28日火曜日

竹島(独島)の領土問題についてーこの問題の本質を考える

実は韓国の李明博大統領が独島に行き、天皇謝罪発言があり、それに対する日本の一般のひとたちやマスコミの反応を見ていて、私はこの問題に言及することを避けていました。私自身は独島(竹島)はどちらのものかという論議に与する気はさらさらありません。すこし様子をみたかったのです。

いくつかの点が気になりだしたので、この問題をとりあげることにしました。まずマスコミと一般の人のこの問題についての反応ですが、竹島は日本の領土なのに、韓国は李ラインで無理矢理に実効支配をするようになり、そこに韓国大統領が上陸し、従軍慰安婦問題とからませて(韓国に来るのなら)「天皇の謝罪」を要求するという発言をしたことに対して、これはとんでもない「非礼」であり、親書を突き返すとは外交上もありえない、「どうなっちゃてんの」(野田首相の国会発言)と思うくらい韓国側は感情的になっている、しかしこのまま放っておくわけにはいかない。独島に泳いで渡った韓流スターのドラマは即刻中止、他の韓国ものもTV放映させないようにする、という「自主規制」が始まりました。韓国旅行者も3割ばかり減ったとそうです。政治家も冷静に対応すべきだとは口では言うものの、なめられてたまるか、という雰囲気です。

まずテレビで全く触れられておらず、朝日新聞でも言及されていない重要な点があります。それは、竹島が日本の領土だという根拠として挙げられているのが、1905年に既に竹島は鳥取県に編入されていたという事実です。江戸時代のどうのこうのということは問題外として、マスコミはどうして1905年というこの時がどのようなときであったのか説明しないのでしょうか。

Wikipediaによると;
第二次日韓協約は、日露戦争終結後の1905年(明治38)11月17日に大日本帝国と大韓帝国が締結した協約。 これにより大韓帝国の外交権はほぼ大日本帝国に接収されることとなり、事実上保護国となった。 日韓保護条約ともいい、乙巳年に締結したという意味で乙巳條約、乙巳五條約、乙巳保護条約、また、大日本帝国によって強制で結んだ条約という観点からは乙巳勒約とも呼ばれる。締結当時の正式名称は日韓交渉条約。

1910年の日韓併合は突如実行されたものでなく、時間をかけて徐々になされたものです。その意味で「大韓帝国」の外交権を剥奪したときに竹島は島根県に編入された、事実上の「保護国」にしたときに竹島を島根県に編入したということはこの領土問題の本質です。このことに全く触れないということは、マスコミをはじめ一般の日本の人たちは、日本の植民地支配に対する認識を持っておらず、戦争を進めてきた過去を悔い改めて二度と戦争をしない国にすることを誓ったということ(憲法にそう明記されている!)を日本社会の国造りの根底に置いていない、国民のコンセンサスになっていない、ということを意味します。

このことから「天皇謝罪」要求に血相を変えて反発するということも理解されます。えっ?日本の多くの人は、戦争を始めた天皇の責任を問わないのか、多くの人が戦争で苦しみ、外地に送られ、残された家族が悲しみや生活苦に喘いでいたのは天皇に責任はないと認識しているのか、そうだったのか、それが今の日本社会のコンセンサスであるということがよくわかりました。敗戦後60年経った日本はこのような社会になっていたのです。

李明博は国内で任期も残り少なくなり辞めた後逮捕されないように、人気とりのためにあのような行動をとったというのがマスコミ解説です。私にはわかりません、そのような意識が彼にあったのかどうか。しかしはっきりとしているのは、従軍慰安婦問題について彼が野田首相に早く超法規的に、倫理上の問題として解決をするように迫ったところ野田は全く相手にしなかったという事実があり、一方韓国の憲法裁判の判決は、韓国の政府に対して従軍慰安婦問題、在韓被爆者問題、強制労働の問題に関して「不作為」の罪と断定し、それに対するすみやかな解決を図ることを求めました。
「慰安婦」問題での政府の不作為を違憲とした、韓国の憲法裁判決定の意味すること
http://www.oklos-che.com/2011/12/blog-post_13.html

大阪の橋下知事の従軍慰安婦の問題は証拠がない(当事者の発言どう聞いているのか!)という発言についで、石原知事は24日、記者会見で「日本人が強制連行したという証拠がない。貧しかった時代には、売春はとても利益になる商売だった。」と放言しています。名古屋の河村市長は南京事件はなかった、いつまで謝らなければならないのか、と開き直っています。日本の3大都市の首長がそろいもそろってこのような歴史認識しかなく、思想性のない人物であるということは現在の日本を実態を表しているのでしょう。それは彼らを選んだ国民の多くはそのような首長でよしとし、その差別発言がリコールに値しないと考えているということです。

以上のように石原、橋下、河村のような知事・市長を選び、マスコミにおいても植民地支配のことには触れないという時代が今後も続くのでしょうか。どうもそのようですね。それではそのことと再稼働反対のこの盛り上がりはどのように関係するのでしょうか。原発体制からの脱却というのは、そもそも戦後の日本社会のあり方を根底からとらえ直すということではないのですか(『3・11に問われて』(岩波書店)、『原発とキリスト教ー私たちはこう考える』(新教出版社))。

原発ゼロを検討し始めたこの国が、原発輸出の問題を一顧だにせず、核廃棄物をモンゴルに送り出す画策をしているということはどういうことでしょうか。ヴェトナムへの原発輸出は事故がおこっても賠償しない免責規定をつくっており、これはアメリカが日本に原発を売り込んだのと同じパターンであり(『3・11に問われて』150ページ)、モンゴルにウラン発掘から核廃棄物の持込み・埋蔵までさせようというのは、植民地支配そのものではないでしょうか。

私はそれでも再稼働反対をする大きな流れに期待します。この問題を突きつめていけば、原発問題は単なるエネルギー問題ではなく、軍備と関係しているということ、日本の戦後の独立と経済と技術の発展は見かけ倒しであり格差と様々な差別の上で成り立っていたものであったこと、アメリカとの関係は一貫して隷属されたものであったこと、原発立地は沖縄と同じく地域差別の上で可能であったこと、そして何よりも日本は戦後も植民地支配を清算することなく継続してきたこと、日本国の象徴である天皇というのはそれらを隠蔽するものであったこと、これらのことが明らかにされると信じるからです。私はそのようなことを求める人であれば、喜んで手を繋ぎ新しい社会を求める活動に突き進みたいと思います。

5 件のコメント:

  1. 池谷です。
     結論的にいうと、竹島は韓国のものです。1905年に日本は軍隊を送り、保護領としました。そのときに韓国はどうして、「これは俺の領土だ」といえますか?両手を縛り上げられたのですから。
     今度の一連の騒動の背後には日本の過去の対する向き合い方の誤りがあります。 もう一度、ドイツの大統領のあの格調高い演説を思い浮かべるべきです。
    何たる違いか!!
     慰安婦問題のかけているのは想像力の問題です。自分の娘がそんな目にあったらどんな気持ちが擦るだろうかと、日本人は想像したことがあるでしょうか?
     恥ずかしいまでの欠如です。想像力の。
    ベルリンにはユダヤ記念館があるそうで、そこに行ってきた友人から、パンフレットをもらいました。 
    日本人が、例えば、南京虐殺記念館を東京のど真ん中にたてるでしょうか?
     どうか、こんな時に臆せず発言してください。

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  2. 想像力の欠如は、私個人であっても過去を悔いさせるものの大半を占めています。
    被害者を知って身につまされるからこそ、変革があるのだと思います。
    米国は即、「ああ、自分の娘だったら!」というコトになりますが、そんな常識的な美談さえ日本メデイアはバカにした記事で受けています。
    こういった不真面目さは一体どうして生まれ、拡散される必要性があるのか、深く考えさせられる昨今です。

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  3. 池谷です。

     以下は小生が70歳の時1年ソウルに滞在して韓国語を学んで帰国した報告の中の引用です。

     
    以下はThe Korean Times 4 月13日付けの投書欄に掲載された英文の日本語訳である。

     「 良心的一日本人の告白」 (なお、これはThe Korea Times新聞社が付けた題である)

    「私は44年間日本の大学において言語学と英語を教え、昨年退職した71歳の日本人である。現在はKyunhee 大学において昨年7月より韓国語を学んでいる者である。

     以下、独島問題について私見を述べたい。この問題については2つの要素が絡んでいると思う。一つは感情的要素である。韓日関係を振り返ってみるに、16世紀の終わりには秀吉が攻め入りこの国を荒らしまわった。20世紀にいたっては、韓国を日本が併合した後に35年の世界に類の無い圧制をイギリスがアイルランドを植民地化したケースを除くと、この国に強いた。従軍慰安婦は性的奴隷として日本軍隊において酷使されたが、日本政府は一度たりとも、この破廉恥な行為に対して謝罪をしなかった。日本の文部省はなるべくこのような恥ずべき事実を隠蔽すべく最大の努力を惜しまない。小泉首相は韓国・中国内における強い反発をまったく無視して、靖国神社参拝を強行しようとしている。在日韓国人は依然と差別を受けている。これらは多くの事例のほんの二、三に過ぎない。 日本政府はこれらの悪行に対して、心からの謝罪を一度たりとも試みてこなかった。

    多くの日本人は事が独島に関して何故あれほどまでに激するのか不可解に思う向きもあるかと思う。しかし、よく言われているように、足を踏んだ方はなんとも感じなくても踏まれた方は後々まで痛みを感ずるのであるということを、日本人は忘れてはならない。したがって、独島問題を契機として、何百年にわたる日本に対する「恨」の念に一気に火がつけられたといってよい。

     もう一つ、歴史的視点から、この問題を考えてみよう。 日本政府は1905年にこの島の領有を宣言したわけであるが、韓国を植民地化するわずか5年前であることを忘れてはならない。 一方的に優位たつ日本政府に対して、韓国政府はその領有宣言に異議を申し立てる立場になかったことは火をみるより明らかであろう。
    なお、本紙4月1日に載ったシン・ヨン・ハ教授の‘Japan’s Claim on Tokto
    Historically , Legally Wrong’ という記事はきわめて興味があり、説得力に富むものである。したがって、この記事は翻訳されて、日本人と日本政府は知るべきである。

      韓国の読者に以下のことを知っていただきたい。400年以上にわたってこの地において、日本人がなしてきたことを本当に恥ずかしく思い、申し訳なく思っている日本人が少なくとも一人はここにいることを。

      西ドイツ首相ヴァイゼッカー氏がドイツ国会における演説を引用してこの投書を終わらせていただきたい。

      「問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはまいりません。しかし、過去に目を閉ざすものは結局のところ、現在にも盲目となります。」

      

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  4. 反省する必要はありません。
    彼らが要求しているのは反省です。

    そして、一度反省を示したら、それをずっと言い続けて、他の問題でも、それを言いだします。

    残念ながら、中華思想にどっぷりつかっている彼らには、全てが許せないのです。弟分の日本が、勝手に中国文化圏から離れて、維新をして、天皇をなのり(中国皇帝しか、帝はないし、ドラゴンの紋も許されない。朝鮮も日本も、鳳凰くらいしか使えない。維新後に日本からの親書を無視したこともそんな理由です)、小中華で東方礼儀の国からすれば、日本の視界に韓国がないことが許せないのです。これは、どうしようもない。


    必要なことは、歴史をマクロとミクロの両面で見ることです。
    ミクロでは、被害者だらけです。お互いに。
    この面では、どんな大所高所の発言も意味をなしません。
    個人の感情がいやされることはありません。
    「日本が」という発言には、「日本も、そして朝鮮も、世界もひどかった」為政者に振り回されたという共通感覚を持つことしか、共感は得られないでしょう。

    しかし、マクロでは、相手の次元を超えた認識を持つべきです。
    当時の世界情勢、日本が採用できた道、大戦後の世界、どう考えても、あの帝国主義の伸長と戦争で、日本も朝鮮もアジアもアフリカも解放された。あれがなければ、日本もいまだ軍事的国家で、朝鮮も李氏朝鮮下の制度で、どこでも植民地だったかと思えば・・・

    なお、日本は植民地政策を採用しておりません。
    植民地とは、絞りつくす存在です。
    日本は朝鮮を日本化するしかなかった。
    ロシア・ソ連に対応する、これが維新後の日本の懸念で、そのために国境を拡大するしかなかった。

    でも、これも、彼らは納得できない。なぜなら、日本は弟分だから。しょうがないんです。

    http://www.youtube.com/watch?v=Dx-BBg0AgP4

    http://ameblo.jp/sankeiouen/entry-11331270061.html

    http://www.youtube.com/watch?v=mpW6B-qDWcc

    http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20120828/321047/?ST=business&P=1

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  5. わはは、随分と手前勝手な言い分ですね。

    「日本は植民地政策を採用しておりません」、へえ、新しい学説を拝聴しました。
    あなたにとって植民地支配とは何だったのですが、どうも自分勝手な解釈をもっているようですね。明治以降の富国強兵政策、海外への侵略、自国の利益のために他民族の抑圧、差別、搾取をすること、これを植民地支配というのです。

    まずどうしてあなたは人のブログに入ってきて、匿名で手前勝手な論理を展開しているのですか、本名で議論する誠意がないのであれば、削除します。本名で自分の意見をだせば危険な目にあうのは私たち「在日」であって、あなたはその暴力を傍観し、内心、それでいいと思っているでしょうね。そんな人とは対話したくありません。

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