2012年6月1日金曜日

韓国の原発基地の住民に聴くー韓国からの通信(T・O生)



韓国在住でいつも貴重な情報を発信してくださっているT・O生からのメールをご紹介します。先日は毎日新聞の記者が韓国の原発の実態を取材に行ったときも岡田さんが全ての段取りをしてくださいました。今回は、実際の原発基地の住民の話が記されています。また戦前・戦中、徴用された人たちの給与支払いを求める要求が韓国の裁判所で認められたことにも触れています。ここにも日韓市民連帯の動きがあります。 崔勝久

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
韓国の原発基地の住民に聴く  T・O生

私はこの土曜日から月曜日まで釜山へ行き、古里原発(1号機は1978年稼働)差し止め訴訟を行っている諸団体との交流や、古里原発のわずか数100メートルしか離れていない吉川里(キルチョンニ)の住民や里長さんの話を聞いてきました。釜山の団体とは、玄界灘で向き合う玄海プルサーマル裁判の会の訴訟と、古里原発差し止めの訴訟が連帯し、お互いに原告を出し合うことを確認しました。

また、吉川里では1960年台後半、朴正熙大統領のときに古里1号機は建設が強行され、その後も政府や電力会社は「海が暖かくなるから、いろいろな種類の魚が捕れる」などと言いましたが、実際は漁獲量が減り、名物だったフグはほとんど捕れなくなったそうです。それでも、村の人々は地域の海で漁をし、その魚を食べて生活しています。甲状腺癌は通常の2.5倍に達し、癌で亡くなる方も多いという話でした。吉川里の村民は、自らの命をかけて村全体の移転を要求して闘っています。(でも、移転先は3Kmほど離れた高台です)韓国水力原子力(株)は、村にサウナ施設を寄付したり、スポーツ施設を作り村民に1000ウォン(80円)で、利用できるようにしたりしていますが、村長さんは「村に本当に必要なものではない」と語っていました。村民に犠牲を強いること、日本の原発体制と全く同じです。

韓国水力原子力(株)(現在)は、1980年代から毎年「日本の原発事情の視察会」を村民約20名を連れて実施してきました。しかし、参加した人たちから村民への報告は何ひとつ無かったそうです。明確な原発への反対を表明する人は参加を拒否されたとのことです。金明福(キム・ミョンボク)里長さんも1995年に参加を表明したが拒否されました。

また、この「視察」に参加した人に電力会社から別途お金が渡されるのを里長さんは見たといいます。戦前の強制労働をさせられた人たちのこうしたことが、2005年まで続きました。2005年に参加した人が、福島原発に行き(第一か第二かは分かりません)、「日本では、原発の半径3km以内には民家はない」ということを、写真をとって住民達に報告したそうです。そうすると、原発の敷地から金網越しに目の前に住んでいる吉川里の人たちは、再度移住運動に立ち上がりました。そこで、電力会社は住民を日本ヘ連れて行く「視察会」を中止したそうです。とても醜いことですね。

福島の犠牲の構造のひとつの例としては、
2012年05月26日19:25 福島で絶望する日本農家の「フィリピン花嫁たち」 
福島全体で2000人以上のフィリピン人たちが日本人男性のパートナーとして生活している。自殺した酪農家の妻子は、これからどの様にして生きて行かねばならないのか。生まれ故郷とは全く異なるこの厳しい風土で、今後もずっと生きて行くことができるのか? この不幸な妻子を助けられる誰かがいるのか?
徐京植(ソ・ギョンシク)東京経済大学教授
翻訳:ハン・スンドン論説委員
http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/1630396.html
http://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/506167.html
をお読みください。

「現在、福島全体で2000人以上のフィリピン人たちが、日本人男性のパートナーとして生きている」とは、驚きました。韓国でも、農村のベトナムやフィリピンの「花嫁」問題は大きいです。

さて、不二越関係について書きます。

徴用被害者「強制貯金」日本の銀行に眠る
原文入力:2012/05/28 19:54 修正:2012/05/29 08:29(1565字)
朝鮮人通帳数万通…供託金6兆ウォン【現在の価値で計算、約5000億円】も
日本は内訳確認渡さず…政府は消極的
http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/1631338.html
http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/534943.html

「供託金」ということをご存じでしょうか。

日本の企業は、強制徴用者の給料を一方的に天引きして、戦争遂行のため、愛国貯金や逃亡防止のため郵便貯金にしました。これらは、日本郵政銀行(現・ゆうちょ銀行)で一元管理しています。また、朝鮮人の未払い賃金も多くあります。1946年10月にこれらの未払い金を朝鮮人に対して返還するのではなく、GHQの指示で法務局に「供託」することにしました。その供託金の総額は当時の金額で約2億1500万円(現在の価値に換算すると約5000億円)とのことです。

今も法務局やゆうちょ銀行に眠るこれらのお金は誰のものでしょうか?

これらの、個人の未払い賃金は、1965年の日韓請求権協定の有償2億ドル、無償3億ドルの「援助」で「解決済み」というのが、日本政府や裁判所の立場です。国際法では国と国との協定で個人の請求権が消滅することはないというにもかかわらず。

また、日本政府は国会で、「国としての外交保護権がなくなった」と再三答弁しており「個人の請求権がなくなった」とは、答弁していません。「日韓請求権協定で解決済み」とは、こうした内容です。

常識的に考えても、個人が自ら働いて得た賃金について、それを受け取るのはあまりにも当然のことです。さらに、強制徴用・労働の実態を考えると、法的な「補償」ではなく、人権に対する犯罪について「賠償」も支払われなければなりません。

不二越は、この供託金についても、全員を登録したのではなく、その一部しか登録しませんでした(値切った?)。したがって、不二越・朝鮮女子勤労挺身隊の被害者についても、一部の方しか日本側から提供された資料からは徴用の実態が分かりません。


昨年8月、韓国の憲法裁判所は、9月の国会議員による日本の戦犯企業1次リスト(136社)、今年2月末の戦犯企業2次リスト(58社)を発表、そしてこの度の大法院(最高裁判所)による、三菱重工と新日本製鐵に対する徴用者への損害賠償責任認定へと、韓国側はようやく植民地時代の被害者を守ろうと動きだしました。

不二越は、2次戦犯企業リストに含まれました。添付ファイルをお読みください。(李洋秀さん、訳)

こうした動きに、韓国第一の製鉄会社であるポスコは、被徴用工に対する支援基金(韓国政府が設立を準備)に100億ウォンを「寄付」すると報道されています。
http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/1630266.html

さらに、憲法裁判所への訴訟や三菱重工・新日鉄訴訟の弁護人である、崔鳳泰(チェ・ボンテ)弁護士は、日本側企業に対しても、「財団に寄付した企業に免責を補償することで、日本企業が前向きな対応を取れるようになってほしい。(日本の)会社側がそうすれば訴訟を取り下げたい」と発言しています。時間はありません。すべての被害者を救うためには、韓国側が作ろうとしている基金に日本の企業・政府が参加し(別々でも良い、ただし日本側は明確な謝罪をすること)、ドイツのように戦争被害者に補償・賠償をしっかり行うことが必要だと考えます。


6月8日からの、不二越・東京行動は、
-------------------------------------------------------------------
<来日原告団スケジュール>
6月8日(金)正午~ 不二越東京本社抗議行動
(汐留住友ビル)前
15:00~16:30 院内集会
(参議院議員会館 B-102)

6月9日(土)14:00~17:00
脱原発・経産省前テントで日韓交流会
(千代田区霞が関1丁目3-1 経済産業省前)
※18:30夕食交流会 (在日本韓国YMCA アジア青少年センター、千代田区猿楽町
2-5-5参加費1500円、要予約)
--------------------------------------------------------------------

ということで、経産省前テントで、被害者ハルモニや光州の「勤労挺身隊ハルモ
ニと共にする市民の会」と日本の脱原発運動が合流します。北陸連絡会のメン
バーの多くも富山駅前・北陸電力本社前で座り込みをしてきた方々です。

また
---------------------------------------------------------------------
<関連講座> 「東電のアジア侵略史」(仮)
講師 村山和弘
(第2次不二越強制連行・強制労働訴訟を支援する北陸連絡会 事務局)
6月9日(土)18:45~ たんぽぽ舎(千代田区三崎町2-6-2ダイナミックビル5
F)
---------------------------------------------------------------------
も、開催されます。(佐藤さん、お知らせありがとうございます)

ぜひ、多くの方々がご参加くださること、心から願っております。

岡田 卓己

0 件のコメント:

コメントを投稿