2012年5月17日木曜日

地震・津波の災害に関心が薄い人が多いのはどうしてでしょうか?


大澤真幸の『夢よりも深い覚醒へー3・11後の哲学』の中で、原発に関心が薄い人について書いている箇所があります。結局、原発の事故が今直ぐに起こるのではなく、放射能の影響があっても何10年先のことだから、それよりは目の前の利益に関心が行くということをいろいろな例を出して考察を深めています。とても読みやすい本なので、瓦礫やリニアカー、脱原発の運動に関わっているひとは是非、お読みください。

先日、川崎南部の桜本で商店のオーナーと話をしました。臨海部で地震・津波で火災が発生したらみんな死んじゃうよ、という話でした。この話はもう川崎南部の人から何度も聞かせれた話です。油で焼かれるから葬式の心配がなくていいや、とうそぶく人もいました。

3・11で地震と津波が想定外の大きさで実際に起こり、マスコミでは富士山のことや、南海大地震の起こる確率は随分と高いことを報道しておりみんなそのことを知っているのですが、それでも災害が起こることに備えようとしないのは、災害に関心が薄いように見えるのは何故でしょうか。

北部の人は川崎南部のことに関心がないからという話もよく耳にしますが、しかし地震は臨海部に来るとは限らず、仮に南部に直下型地震が来ても、多摩川を遡上する津波の影響や、なによりも崖崩壊の危険性は北部では大変高いのですが、それでも無関心を装っているのはなぜでしょうか?

これは一種の諦念(あきらめ)で、死ぬときはみんな一緒、どうせ大きな地震・津波が来たらみんな助からないからという考えだからでしょうか。この考えに陥ると、聖書のノアの箱舟をバカにした住民と同じで、何の行動も起こさないことになります。目の前で多くの災害を起こったことをテレビなどで観て知っていても、それでも「確率的に」自分たちの身の回りでは災害は起こらない、と思っているのでしょうか。

それを今生きている自分自身と、自分たちの子供たちの生命を守る為になんとかしなければならない、という決意に至り行動を起こさないのは、そんなことを言っても政治は何もしてくれない、世の中は何も変わらない、自分たちの生命を守るような具体的なことは何もしてくれるはずはない、と思っているからでしょうか。これも諦念(あきらめ)ですね。しかし多くのお母さんたちは、放射能に関しては自分の子供たちの生命のことを考え、男よりも必至な人が多いのも事実です。それは目の前にいる子供のことが想定しやすいからでしょうか。

私は世の中は変わるということを信じています。ひとつは自分の経験から、当時日本最大の会社だった日立を相手に誰も勝てる訳はないと言い、そう思っていたのに、実際日立の民族差別を違法とする裁判とそれを支える運動が全世界的に拡がった経験があるからも知れません。当初は多くの人に反対され、実際の運動を担ったのはわずか数人の学生でしかなかったのです。

災害が起これば仕方がないと何もしないのではなく、これは政治(行政)の責任であるということをしっかりと認識して、超党派で市会議員とも協力し、専門家の意見を聴きながら、行政に具体的にどうすれば私たち自身と子供たちの生命が守られるのか、本気になって話し合う場ができないはずはない、と私は信じいているのです。今一度、早稲田大学の地震工学の日本の第一人者が、地震・津波災害に立ち向かうとする見解に耳を傾けてみましょう。みなさん、あきらめないで、取り組みましょうね!


5月14日(月)、日本の地震工学の第一人者であられる、早稲田大学の濱田先生から最新の行政と学会の地震・津波対策についての研究の動向を伺いました。

以下の情報はこれまで私がブログで書いたものです。参考までにごらんください。
東京湾臨海コンビナートが危ない! ここにも安全神話が
http://www.oklos-che.com/2012/04/blog-post_13.html

濱田さんは、現状は地震・津波の影響について行政(東京、千葉、神奈川)がばらばらな見解を出していて、それぞれの根拠が学問的に定かでなく、早急に学者間のコンセンサスを築き、国の政策に反映させるべきだというご意見でした。津波の高さは各自治体が決めるということになったそうで、これはあまりにひどい話です。



現在、2年計画で1都2県の地震・津波の影響(液状化、流動化、直接的な経済的損失、間接的損失)について研究して公にされるとのことでした。市民としても関心があり、全面的に協力したいと思います。川崎の超党派の市議、行政と有識者を交えながら市民が一緒になって早急に災害の予想、対策について話し合いを始めるべきです。3・11以降、川崎は政令都市でありながら地震・津波対策の前提になる基礎的な調査は一切行っておらず、すべて国・県頼みです。これでは川崎市民の生命、財産を守ることはできません。まずその気概に欠けています。

地震・津波がどのような影響を与えるのかについては、床下浸水の可能性、家の倒壊、液状化の影響が断片的に報道されますが、川崎の場合、直下型の震源地でさえ東京都に想定し、最大の被害が起こるであろう臨海部での直下型地震を想定していません。既存の活断層から判断するこの想定が有効なのか、根底から検証されるべきです。ましてや、地震・津波による、コンビナート地帯から市街地に流れる油や有害物質の影響は学者間で研究さえまったくなされていないのが実情だそうです。早急にその研究委託を実行せず、県や国の動向を見守るだけでは市は「不作為」の批判を免れないでしょう。

残念ながら、今年3月に発表された「川崎市地域防災計画震災対策編(修正素案)」全文を読みましたが、官僚のおざなりな作文のような印象を受けます。基本的な資料が震災前の資料と変わらないからです。その最大の理由は、繰り返しになりますが川崎市が政令都市でありながら、震災に関しては国と県に依存し、市民を守る為に全力を尽くして3・11と同規模の地震・津波が起こった場合どうするのかの調査をしていないからです。

臨海部の防災計画は県の責任としているため、市は地震・津波の場合の最大の被害が予想される東京湾臨海部から出される油、危険物が流失した場合の予想と対策にまったく触れていません。

また市内にある木造建築が多いこと、北部の506か所にも及ぶがけ崩れ危険地帯(それも平成13年度資料です!)をどうするのか、対策は記されていません。何よりも市の計画でいけないのは、「自助」(個人の責任)、「共助」(地域社会の責任)を強調し、「公助」(行政の責任)を蔑ろにしていることです。ここには阿部市政が一貫して「市民の責務」を強調してきた姿勢が反映されています。濱田教授はこの点を厳しく指摘され、地震・津波の防災問題は全的に「公助」であると断定されていました。その通りだと思います。

現在川崎市は三つの大型地震の可能性を予想しています。ひとつは、川崎市直下の地表(M7.3)-ただし震源地は東京にしている!、ふたつめは南関東地表(大正型関東大地震の再来型)(M7.9)、三つめは東京湾北部地震(M7.3)です。津波の高さやその影響をを想定するには実証的な学問的検証が不可欠なのですが、現在、それらはばらばらで学者間のコンセンサスは全くいないそうです。マスコミがそれを興味本位で伝えるため、さらに混乱が生じています。

地震に関しては旧来の地震予知学はまったくの金食い虫であることが3・11で明らかになりました。それ以降は、あたりはずれのないように活断層の多めの連動が言われだし、太平洋岸でもこれまでの3連動でなく、5連動の話もでてきているとか。最近は富士山が危ないとまことしやかにマスコミは報道しますが、一般の人はますます学者の言うことも、マスコミの報道も胡散臭く思い始めています。政府の発表と同じく、信頼できないですね。以下の本は参考になります。

『日本人は知らない 「地震予知」の正体』を読んで
http://www.oklos-che.com/2011/09/blog-post_14.html


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