2012年4月1日日曜日

日本の首相はまだそんな発言をしているのか?


うかつでした。上野千鶴子さんのアドバイスでWAN(Women's Action Network)のHPを見て、野田発言のことを知りました。http://wan.or.jp/ うむ、朝日新聞には載ってなかった?! 東京新聞は?

野田首相は李明博大統領から異例の強い調子で「慰安婦問題の人道的解決」を迫られたとのことですが、彼はおそらく馬耳東風で聞いていたのでしょう。韓国政府は韓国憲法裁判所から、「慰安婦」問題と在韓被爆者問題について当事者の立場に立った処置を講じてこなかったのは「不作為」であり憲法違反、の判決を昨年受けたのです。李大統領の発言の背景にはこのような国内事情がありました。

これに対して野田首相は国会で26日、「韓国の日本大使館前に建てられた『慰安婦の碑』に『日本軍性的奴隷問題』と書かれた記述について、事実と大きく乖離(かいり)している」と答弁したというのです。同時に自民党の山谷議員の質問に対して、「玄葉光一郎外相が『証拠は出てないが、否定はできない』と述べ『強制連行』を認めた河野洋平官房長官談話を踏襲する考えを示したことなども併せて伝えている。」と報道されていました(3月26日 にこにこ動画より)。

これは河野官房長官の発言を歴代の首相が全員踏襲すると答えたので、この河野発言をひっくり返すと大きな問題になるという判断があったのだと思われます。しかし野田発言は韓国では絶対に認められないものです。彼には自分の発言のもつ意味をまったく理解していないものと思われます。あるいは反発されたら、それなりに今の日本の情況では韓国の反発は日本人のナショナリズムの強化に役立つと考えたのでしょうか?そこまで深く戦略的に対応しているのでしょうか?

野田首相は、ソウル日本大使館前に建てられた「慰安婦」の銅像そのものに抗議したというのですから、その流れとしてそこに書かれた「日本軍性的奴隷問題」という単語に反発したのでしょう。しかし日本の軍隊の海外侵略にあたり、日本人「慰安婦」をはじめ、朝鮮、中国、そしてオランダ人、フィリピン、インドネシアの現地の女性を「慰安婦」にしてきたことは、「日本軍性的奴隷問題」と言わずしてどう言えばいいのでしょうか。ここにはこの日本軍の行為を女性差別と認めたくないという思いが窺われます。

同時に私は野田主張の発言から、戦前の日本のアジア侵略を当時の時代背景として仕方がなかったと見る、「つくる会」系の主張と同じ感性を感じるのです。河村名古屋市長の「南京事件はなかった」という発言や、それを肯定して何の批判も受けない石原東京都の発言は、まさに森巣博がいつか朝日新聞で書いたように、フランスなどの「極右」の発言と同じだとして批判すべきものなのです。

このような発言が許される背景として、3・11以降、日本人の絆を強調してこの災難をナショナリズムで乗り越えようとする巧みな戦略が国家戦略としてなされており、瓦礫の問題にしても広域で東北地方の瓦礫を受け取ろうとしないのは「非国民」という声さえ聞こえだしているという現実があるように思います。

多くの人にはまだ伝わっていないようですが、その流れは地方自治体における外国人の締め出しと通底しています。河村市長は「名古屋の「地域委員会」でも、国籍条項」を設け( http://www.oklos-che.com/2010/02/blog-post_7122.html )、同じ地域に住む外国人住民を排除する条例を作りました。この流れは大阪、東京そして次は川崎、そして全国に波及していくものと思われます。即ち日本は、はっきりと右傾化の道をたどるということです。

各政党においても、「六全協」以降の日本共産党が党員である条件として、同じマルキストであっても日本国籍をもつことという規約を作ったのですが、昨年、前原が朝鮮人から数万円のカンパを受け取って大臣を辞め、それ以来民主党も明確に党員は日本人でなければならないと謳っています。外国人と日本人とを明確に選別しようというのです。しかしシンパにまで国籍条項を適用するのは異常です。

そのような中で私のように、外国人住民も災害がおこれば日本人住民と同じように死ぬということが3・11以降はっきりとした、自分自身と自分の家族の命を守る為に、国籍や民族を超え協働して地域社会の変革をするという意思表明は、多くの人から歓迎されるというよりは、むしろ右翼的な立場の人からの反応が強く、「クソ朝鮮人! 日本から出ていけ!」という反撃を受け、Googleのメールもブログも3度にわたり使えなくされました。これが日本の実態です。

言論の自由はこのように破壊されていくのか。(11/4/3)
http://www.oklos-che.com/2011/04/blog-post_7313.html
Google恐るべしー「グーグル八分」って本当だった!(11/3/24)
http://www.oklos-che.com/2011/03/google_24.html

また私と同じく、私が受けたHate Crime に立ち向かおうとした知人もまた、私以上の激しいバッシングを受けるようになりました。昨日の朝日新聞(3月30日)では、サッカーの試合中に心停止で倒れた(おそらくアフリカの?)選手をネットで人種差別的な投稿をツイターにした大学生は逮捕され、禁錮56日の実刑判決を受けたそうです。何たる違い! 私の知人は警察に告訴をしましたが、日本の警察は動きたがらないようです。そんなことには関わりたくないのでどう対応するか時間が欲しいと弁護士に言ったそうです。さあ、どうなりますか。

日本はまさに右傾化の道を走り始めています。脱原発の運動を通して、瓦礫を含めそれに反対していく思想、歴史観を明確に検証していかないと、単なる感情的な反発では足元をすくわれそうな気がします。ここでしっかりと立ち止まって考えながら脱原発の運動を進めたいものです(参考までに ?秀実(すげ・ひでみ))
『反原発の思想史ー冷戦からフクシマへ』(筑摩書房 2012)。

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@nifty ニュース 2012年3月29日(木)13時2分配信 

野田首相の従軍慰安婦は「事実と乖離」発言、韓国内で強い反発

韓国の国家行政機関・女性家族部は29日、野田佳彦首相の日本軍慰安婦関連の発言に対し、遺憾の意を表明した。複数の韓国メディアが報じた。

野田首相は26日に行われた参院予算委で、韓国の日本大使館前に建てられた「慰安婦の碑」に「日本軍性的奴隷問題」と書かれた記述について、事実と大きく乖離(かいり)していると答弁した。

韓国メディアは、「首相の妄言を糾弾、慰安婦のおばあさんの悔しさ」「韓国の女性たちを無残に踏みにじった日本が…」などと題し、野田首相の発言に波紋が広がっていると伝えた。

韓国の女性家族部は、野田首相の答弁に対して、日本の首相のこのような認識に失望を禁じえず、日本側の前向きな決断を介して、1日も早く慰安婦被害者たちの名誉回復がなされることを希望すると表明した。

また、慰安婦だった被害者の女性たちも激しく反発した。韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会は、在韓日本大使館前で開かれた1015回目の水曜集会で「戦争犯罪を反省し、真相を究明する必要がある日本政府が、ともすれば歴史的・真実をわい曲している」と批判。

「日本の首相の発言は、慰安婦の被害にあったおばあさんたちが性労働に自発的に 参加したと主張する日本の極右派の論理と同じであり、日本軍が被害者を強制動員したということは、国際社会で通用する普遍的な常識」と強調した。

挺対協は集会を終えた後、野田首相の妄言を糾弾し、日本政府の早急な謝罪と補償を要求する文書を日本大使館に伝達したという。(編集担当:李信恵・山口幸治)

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