2011年8月10日水曜日

注目すべき新聞記事をふたつ紹介します。

まず第一は、8月9日の日経の報道です。短い記事に私は注目しました。
「原発発注先、11月に選定」というタイトルで、「ヨルダンのトーカン・エネルギー鉱物資源相は8日、同国が進める原子力発電所建設計画の発注先を三菱重工業と原子力大手アレバの日本・フランス連合と、ロシア、カナダ勢の3者の中から11月に選定すると述べた。フランス公共ラジオが伝えた(カイロ=共同)」とあります。

今年の3月31日、まさに福島の事故の直後で何の対応もできていないその時に、参院は、「31日夕の本会議で、日本からヨルダンに原子力技術を供与するための原子力平和利用協定締結承認案件を、与党などの賛成多数で可決した。協定は参院先議。衆院でも近く可決、承認される」と報道され、6月27日にはヨルダンの資源省は、「日本の国会が原子力平和利用協定を承認しなければ競争で不利になると警告、早急な承認を求めた」と共同通信に述べて、日本側にプレシャーをかけています。

つまり3月に「原子力平和協定締結」を参院は可決したけれど、ヨルダンは6月に衆院でも早く可決せよと迫り、今日は11月には原発発注先を選定すると発表したことになります。日本政府は福島事故にも拘らず当初から原発輸出の国策を検討しなおすという態度を一度も示さなかったということです。原発事故の原因究明も対応策もなく、国内においてもストレス・テストを終えないと再稼働を認めないと言いながら、海外には原発を輸出するということを決めていたのです。ヴェトナムへの2基の原発輸出もそうですが、自国内での事故対応ができていないのに、そして莫大な補償金を払わないといけないのに、どうして海外に輸出ができるのでしょうか。原発の海外輸出に対する国内の市民運動の反対の声が小さいのが気になります。

次に朝日の記事ですが、注目すべきことは以下の2点です。
1.菅首相が政治家として初めて、使用済み核燃料の問題と、「もんじゅ」をどうするかということに言及した点です。「方向性の議論」はどこで誰がするのかという大きな問題は残りますが、この発言は覚えておきましょう。ここを潰せば、日本の「核燃料サイクル」計画が崩れ
、プルトニュームの処理(これまで蓄積した分)と今後の原子力発電の意味を根底から問い直しことになります。私は菅首相の発言にどれほどの重みがあるのか疑問です。他の政治家、政党からの発言が全く聞こえて来ず、国民に情報開示して戦後の原発政策を根本的に改めるのかどうかについての国民の意見を求めるということが検討されていないからです。

2.次に、首相が「使用済み核燃料について「外国で貯蔵・処分することは考えていない」と述べ、経済産業省などがモンゴルで検討している日米共同による貯蔵・処分施設の建設構想を否定した」という記事にも注目です。東芝が進めていることを首相が「考えていない」と発言してそれがどれほどに意味があるのか、また首相命令で経済産業省が国策としてテコ入れしてきたことを否定したことになるのか、これも注目しておくべきことです。しかし菅首相にこのように言わしめたのは、はやりモンゴルに「使用済み核燃料」をもっていくのはいおかしいという声に対応せざるをえなかったのでしょう。これからさらに綱引きがはじまります。

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