2011年8月3日水曜日

投稿:「自然」エネルギー発電の再考(その2)-伊藤秀雄

コメントで書いてくださった滝沢さんの”「自然」エネルギー発電”に対する考えは、その通りと思います。特に産業革命以後、高度な技術(道具)を手に入れたので、便利で快適な暮らしを限りなく追求してきた私達。 そのために容赦なく自然を壊し、資源を浪費し、廃棄物は垂れ流し・・・・ こんな生活がいつまでも続くわけがない。 

しかしそれに目をつぶって来た点で、原発推進の論理と同じ向きを見ていたに他ならない。その「幸福観」、経済成長イコール幸せ、豊かな消費。対極に貧困、差別、収奪を限りなく蓄積してきた事は、見てみない振りをして。 この回路を解体して行かない限り、原発を根底から廃絶するのは難しいのではないか?

それでは、私たちはどのような道を歩くべきなのか。 それが出来るのか?この課題に対して、「・・・”質素な”生活に還ろう。それは決して不幸せでも、貧しくも無い」と、主張するひとがいます。『エネルギーと環境』:1993年、日本子孫基金発行。)の著者、槌田 敦さんです。 分散型の社会論や小水力など、滝沢さんと似た発想が語られています。だいぶお歳ですが{1933年生まれ}、基礎物理の根底を踏まえ、年来のエントロピー論、循環資源論、持続可能な社会論を、息長く主張されています。(核開発に反対する会・代表)

たまたま今日(3日・水)夕方、水道橋の”たんぽぽ舎”で「私たちのめざす社会」をテーマに学習会があり、僕は参加してじっくり聞いて来ようと思っています。
この方は、人工的CO2温暖化についても「それは嘘だ」、と言ったために”学界”主流から疎外され、いまも裁判をやっています(気象学会と、東大閥など強大な相手に対して)。

つまり、原発に絡む二つの難問に、きちんと答えているのです。
①原発の推進に固執する「豊かな生活を手放したくない」視野狭窄症を、克服できる道がある。
②温暖化を理由に推進された原発は、もはやその根底を失っている。

チェルノブイリの詳細な分析を背景に、原発フリーの社会を真摯に語る槌田さんの意見をしっかり吸収し、考えて行きたい。

   ★ 伊藤英雄 ★
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滝澤 貢さんのコメント

伊藤さん、わたしも同じような危惧をもっています。
ただ、丹念に検討したのではなく、あくまでも勘だよりなのですが (^^ゞ


「メガ・ソーラー」という大規模太陽光発電の計画が
あちこちで喧伝され、取りざたされています。
ソフトバンクがその事業に乗り出すということは
(もちろん孫さんの「原発推進への反省」はアルだろうけど)
商売としてものすごいうまみがそこにあるからでしょう。
人より先に、人より大きく・・・以外考えられません。


どうして電力会社はこの国に9社しかないのか。
どうして独占を許してきたのか。
「安定供給」という名目で大切なことを議論してこなかったのではないか。
この上さらに収奪を強めて「自然」エネルギーも寡占・独占させる。

なんかヘンです。

わたしは「小規模」であることが必要だし大切だと考えています。
大規模化・巨大化を目指すから失敗する。間違う。
メガソーラーではなく個人住宅、
エネルギーファームではなく小規模風力、
ダムではなく用水路などで設置する小規模水力。
それらでまかなえない分、それこそ「安定性」のために
マイクロガスタービンや火力発電、それも例えば廃棄物の燃焼熱などを
もっと有効にする研究を重ねた上で推進していくべきではないか、と。

「安定供給」ならうまみを独占する必要がないでしょう。
うまみを奪って民衆の手に取り戻すことが
エネルギー問題の肝だと考えています。

5 件のコメント:

  1. 岩本孝子さんからのコメント

    崔さま
    メールを読ませて頂いている岩本です。
    伊藤様のご意見に考えさせられます。
    以前から本当はどうなのだろうかともやもやしています。
    まだ、映画は観ていませんが、大切なことは、
    「降りてゆく行き方」なのかもしれません。
    http://www.nippon-p.org/mov.html

    添付は、スキャンなので読みづらいかと思いますが、
    エネルギーについてわかりやすくまとめられていますので
    お時間のあるときにどうぞご覧ください。
    (2つのグラフが反映していないように思いますが・・・)
    岩本孝子

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  2. 河野恵子さんからのコメントです

    伊藤様  皆様

    「環境問題を考える」  読みました。

    脱原発に賛同しない普通の人達(利害関係のまったくない)の大部分は、
    原発の変わりにどんなエネルギーがあるのか、
    そこのところがはっきり見えてこない限り、原発のデメリットは重々承知しているが、
    脱原発に軽々しく署名はできないよ、というものだと思います。

    そこのところが解決しない限り、説得するのは難しいと考えていました。

    で、ソフトバンクの孫さんが自然エネルギー開発に乗り出すなんて
    力強く言ってくれたものだから、単純なわたしなんぞ、はくしゅ~と思ってしまった。

    伊藤さんのメールを読まず、環境問題を考えるhome pageも読まなかったら、
    孫さんすごい、と友人に配信していたかもしれない。

    要するに、現在の科学技術では、自然エネルギーで日本を賄うことは、今のところタブン難しい、
    地球環境、人類の命、安心、安全な生活を守る為には、私達の生き方、日本の目指す道を
    変えない限り、守る事はできないのですね。

    沖縄文化研究所が主催する講座に時々通っているのですが、
    沖縄の詩人、高良 勉さんのお話にも、沖縄のアニミズムや、アイヌ民族の自然観に
    学ぶべきものがたくさんあるのでは、と語っていました。

    「降りていく生き方」と共通しますね。

    私が知っている昭和30年代の生活は、今より便利ではなかったけれど、
    十分幸せだった。あの頃の原発はどのくらいあったのだろうか?(調べれば解ることではありますが・・・)
    石油石炭はどのくらい使われていたのだろう?
    あの頃の消費したエネルぎーぐらいを賄う為には、原発何基で賄えるのだろう?

    そこまで減らしても十分幸せな生活ができる、という事を若い人たちに言ってみようかな・・
    携帯は使えないと無理かな~?

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  3. 寺島さんからのコメントです。

    崔 勝久さまへ

    何時も話題をメールいただき、有り難うございます。

    ところで、伊藤さんの投稿を読んでも、「孫正義が多くの首長と太陽パネルの設置について進めている今のやり方は危険」に、つながるようなロジックは見えてきません。
    一般にも分かるような、話題の提起でお願いします。

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  4. 寺島さんへ

    投稿いただき、ありがとうございました。早速、ブログの
    投稿欄に寺島さんのお名前で記載させていただきました。
    「一般にわかるような」話題、書き方を工夫せよとの
    おことば、確かにその通りだと思います。

    横浜市の教科書問題や被災地での経験談など取り上げて
    おりますが、まだまだ至らないことが多いと思います。
    これからも率直なご意見を賜りますようにお願いいたします。

    「自然」エネルギーをどうするのはか、これまで原発に頼り、
    原発の安全神話を信じてきた(信じ込まされてきた)、私たち
    自身の責任でもあると考えています。そこから得た教訓は、どんな
    正しいことであっても、権力を持つ人がこれが正しいことだと
    言ってきても、住民自らが自分の頭で考え、確認し合ってどう
    していくのかということをしっかりと打ち出す作風を見につけない
    限りだめなのではないのかということです。

    孫正義が危険という意味は、菅首相や地方自治体の首長と話を
    つけ太陽パネルの設置を具体化しようとしていますが、そこに
    住民自治とも言うべき、住民の意向が反映されるようなやり方
    でないことが最大の問題だと認識しています。

    また彼は韓国では、韓国の原発は安全と発言しながらモンゴル
    での太陽パネル事業を大統領に提案したと報道されています。
    そのことの事実は確認できませんが、韓国の原発を国策と
    するあり方を批判したならば、大統領は「検討する」と回答
    しなかったでしょう。

    私は、チェルノブイリ、スリーマイル、フクシマと30年間に
    3度の大事故を起こした原発は人間の手に負えないと認識するに
    至りました。これは飛行機事故とは違うのです。一度の誤りは
    取り返しのつかない悲劇を生み出します。

    使用済み核燃料の処理問題、被曝労働者の問題と合わせ、
    まずドイツやイタリアの国民の力で決定したように、
    全世界がその方向に向かわなければならないと考えています。

    寺島さんとの継続した対話を願います。

    崔 勝久

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  5. 川口洋一さんからのメールを転送します。


    伊藤さんの「自然エネルギーは原発の代わりになるか」という問いかけは、脱原発を進めていく上で重要な問題だと思います。
    だいぶ前(5月26日)になりますが、環境エネルギー研究所の飯田哲也氏の話を聞きました。氏の主張は「小規模分散型の自然エネルギー革命によって、2020年までに原発を全廃し、自然エネルギー比率を30%まで引き上げることは変えることは可能だ」というものです。そして「省エネと節電を進めて2050年にはエネルギー消費量を現在の半分に減らしていけば、自然エネルギーだけでカバーできる」というものです。
    自然エネルギーの中には太陽光と風力のほかに地熱、水力、バイオマスが含まれています。

    私の考えでは現在の日本はエネルギーを使いすぎています。健康な暮らしを営むために必要なエネルギーの量は現在の半分以下で十分です。それだけのエネルギーでできる暮らしは1970年代初めころの暮らしです。大きな違いは自動車の普及率が今よりも大幅に少ないことです。田舎での暮らしが少し大変になるかもしれません。

    日本の自然エネルギーの主力は太陽光や風力ではなく、小水力とバイオマス(マキや炭)でしょう。太陽エネルギーの利用にあたっては装置を複雑(高い装置)にするほど利用効率が悪くなるので、なるべく簡単な装置(安く作れる)での利用をこころがけることが大切です。30万円の太陽熱温水器と300万円の太陽光発電を比べると温水器の方に軍配が上がります。ちょっと器用な人ならば自作も可能ですし。風力は平均風速が毎秒4~5m以上ないと発電効率が良くないといわれています。日本は穏やかな国なので強い風が吹く地域は多くありません。ですから日本では風車でなくて水車が動力源として昭和20年代まで活躍したのです。水車の代わりに小水力発電でしょう。日本は水が豊富であり、太陽の光もたっぷりと降り注ぎます。イギリスやドイツのような北ヨーロッパの国々と違います。そのため植物の生育の良いことは驚くばかりです。この時期は庭の草取りで大忙しです。ですから樹木の生育も良いですから、これをエネルギー源にしない手はないと思います。自然エネルギーはその地域その地域の特色を生かしたエネルギー源を利用し、活用法を考えることが大切なのでしょう。地域主導、地域主権の社会がl期待されます。

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