昨深夜放送された「BS世界のドキュメンタリー『放射性廃棄物はどこへ(終わらない悪夢)』」前後編(1:40H)を見ました。現在の原発の廃棄物がどう処理されているのか、フランス、ロシア、アメリカの話です。
記憶に残ったことを羅列します。
① 原発が稼働してから核廃棄物は海洋にドラム缶に詰められて投棄されていた。日本も含めたすべての原発国が。捨てた量で言うとイギリス、スイスの順。グリーンピースはこれに反対し、体を張った阻止行動を取った。その阻止行動が世界中に流れて関心を持たれるようになった。しかし、海洋投棄禁止に至るまで10年が掛かった。
② フランスの核廃棄物再処理施設では、処理中に出る放射性物質をパイプを通して、ドーバー海峡沖に毎日400立方メートル分を海洋に放出している。(核廃棄物の海洋投棄は’93年に国際条約で禁止されたがそれは「海洋投棄」であって、パイプを使って「流す」ことは対象外)
③ 同じ施設から大気中に常時放射性ガスクリプトン(1立方メートル辺り9万ベクレル)が放出されており、その1年間の量は核実験500回分の放射能よりここから放出される量の方が上回る。毎日原子力事故が起こっているのと同じ。
(世界中の大気を測定しているが、放射性クリプトンの濃度は年々増加している)
④ 使用済み核燃料は各原発にプールの中に保管されているが、これは大変危険。過去40年間の事故例から。テロ、航空機墜落に対しては殆ど無防備。フランス、イギリス、日本は再処理を行っているが、それ以外の国は再処理を行わず、最終処分の方法が見つかるまで使用済み核燃料プールに置いている(いつまで???)。
⑤ フランスの原子力省は「安全」を言い続けるが、様々な疑問を突きつけると、最後は「国民の信頼が大切。大聖堂だって、その建設者は将来これがなくなるとは誰も考えていないでしょう」と。
⑥ ロシアではウラル地方のプルトニウム製造工場では湖に放射性廃棄物を捨てており、捨てに行くトラックは屋根や車体が5トンもの鉛で覆われているが運転手は「トータル12分以内に戻れ」と言われている。
湖から流れ出る川からは強い放射能が検出されるが、流域住民には何も知らされず、魚を捕ったり、水辺で子どもが遊んでいる。川はオビ川に入り、北極海に注ぐ。
⑦ ロシアではペレストロイカ(情報公開)の時代(’91~'95)、一時これらの情報が公開されたが、現在はまた非公開になってしまった。
⑧ アメリカではマンハッタン計画でプルトニウム(長崎に落とした原爆)を製造した工場(ハンフォード)がコロンビア川沿いにあるが、当時核廃棄物をすべてコロンビア川に排出していた。そのことは誰にも知らされず、夏には職員の子どもたちも水遊びをしていた。しかし、当時の汚染の状況、住民の健康被害のデータは何も取られていない。現在でも川の土壌から強い放射能が検出される。
⑨ その後、死の灰を貯蔵するため6個の大型タンクが作られたが現在その底から漏れ出て、地下水に入り、コロンビア川に流れる。現在でもタンクに2億リットルの死の灰が残っている。川から採れる鮭から骨に蓄積しやすいストロンチウム90が検出される。
飲料水の中にトリチウムが基準値以上の濃度があることを当局は認めている。
⑩ フランスの女性元環境相のの話「1970年代、私たちは廃棄物はいずれ技術が進めば安全に処理できると考えていたが、現在になっても全く見通しが立っていない。原子力エネルギーは持続可能なエネルギーかと問われればそうではありません。フランスでは原子力エネルギーは殆ど宗教のようなもので、右翼から左翼まで支持しており、地球温暖化が更に追い風になっています。そして様々な問題の根源になっていると確信しています。不透明な秘密主義の元で行われているからです。」と言っている。
⑪ フランスで高レベル放射性廃棄物(死の灰)の地下格納の試掘施設があるが、それは10~20万年維持しなければならない。しかし、世界の歴史を見れば明らかなように100年同じ政治体制で維持された事すら希なのに、大変動が起こったときに「その記憶」が維持できるのか、はなはだ疑問。
⑫ 著名な天文学者の話「原発は未来を抵当に入れた技術」。
(感想)
正に「悪夢」です。排出された放射性廃棄物はいずれ食物連鎖で人間に戻ってくるでしょう。このようなドキュメンタリーを作り、キチンと放送するメディアがあることは救いです。NHKはやはり「国営放送」なのでしょうかね。
どの国もこと原発の情報については不透明な秘密主義がはびこっています。
大久保徹夫
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