2011年2月28日月曜日

不健康な川崎、差別される川崎、そこに未来はあるのか?ー渡辺治

「本気で臨海部の未来を考える会」を主宰する渡辺治さんが会のブログを毎日更新しています。大変なことですね。県立南高校を解体するという県の方針に反対し、3年近くにわたって多くの市民と反対運動を続けてきましたが、県と市は結局、方針通り建物を解体し、今は更地になっています。渡辺さんが会のブログで2回にわたって主張した内容をみなさんに紹介します。

この南高校の場所は、市の臨海部の2大拠点(もうひとつは殿町)である南渡田地区(JFEのTHINK中心)に隣接した重要な地域です。そこが住民運動で3年もの長期間行政の方針が中座し、その後も行政と住民との話し合いの場がないというのは異常な事態としか言えません。

1年前に地元選出の超党派の議員と運動を続ける住民との話し合いの場が持たれましたが、その後の進展はありません。広大な跡地をどうするのか、これはまさに川崎の地方自治の試金石です。早急に、住民(市民)と行政、議員が話し合う場を作る必要があります。幸い、議員と行政は議会のでの付帯事項もあり、「話し合いの場」作りに同意しているので、4月の選挙後、その場作りはなされるべきです。この4月に新たに選出される議員と住民、行政との話し合いの動向に注目したいと思います。

崔 勝久

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不健康な川崎、差別される川崎、そこに未来はあるのか?ー渡辺治
「本気で臨海部の未来を考える会」のブログより
http://www.owat.net/rinkaibu-mirai/rinkaiblog.html

川崎区にはかつてから熱を扱う工場が沢山あった。それは、アスベストがいたるところに使われていたことを意味する。

パッキン、耐熱材、アスベストで編んだ手袋、ガラスを冷やすためのアスベストのプール、電気配線の耐火被覆材、配管材の耐火被覆材、原材料にアスベストを多量に使った工場、そして、工場自体もアスベストスレートで壁も屋根もできていた。

隣の鶴見区や大田区では、工場の周辺で多くの人が亡くっている事例があり、厚労省は予算をつけて、希望者には健康診断を受けさせ、多くの被害者が明らかになった。

川崎の北部は起伏に富んでおり、山を削り、谷を埋めて住宅地を作ったが、そこに、ありとあらゆる廃材が埋められた。また、川崎の南部の大部分の土地は、浅野総一郎の時代から、ありとあらゆるゴミが人工島や埋め立てに使われた。

そして、現代になって、いたるところの土中から土壌汚染やアスベストが発見されるに至っている。大田区では、3億近くの費用が投じられたが、除去しきれずに封じ込めて公園になった。川崎市の幸区では、5億8千万円もの費用が投じられて土中のアスベストが除去された。

過去の、産廃業者が利益をあげたそのツケが健康被害として、また巨額な除去費として現代そして、未来の人々に重くのしかかる。

川崎区、鶴見、大田区などの工業地帯は、戦前から、強制労働、労働問題、公害問題、人種問題など、工業化、産業化の裏で犠牲になった地域だった。

そして、その時のツケもまだまだ膨大に残っている。また、まだまだ巨額の税金を国、県、市に納めながら、他に流用され、納税者のためにはあまり使われることはない。

そういった状況下で南高問題は生じたのだ。どうせ、この人たちには、緑も、高齢者施設もいらない、消費者としてせいぜい消費税を払わせよう。ということで、高校跡地に商業施設。そういった、差別的な考え方がその都市計画には見え隠れする。

南高は実は、当初から土壌汚染問題だった。しかし、その途上で、アスベスト問題に気づかされた。どれも、川崎市が多くの労働者を犠牲にして、工業化を進めた結果出て来た「毒」である。そして、すでに多くの子供たちの健康を犯しているだろう。川崎市が生まれ変わるには、まず、これらの過去の「毒」を取り去ることから始めなければならない。

これは公害問題のみではなく、差別問題、労働問題、高齢者問題、保育問題、教育問題、全てにわたってとりくまなければならない。「健康」な状態で、日本を作ってきた川崎を取り戻すことは、イコール、日本の未来をつくることにもなる。

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