2011年2月28日月曜日

延々と差別される労働のまち川崎区ー渡辺治

引き続き渡辺さんのブログの内容を紹介いたします。

川崎市の南部、川崎区、そこには「在日」が多く住み、長年の当事者の運動によって「多文化共生社会の実現」が市のスローガンにもなっています。しかし、渡辺さんが指摘するような問題が残っています。この時期に日本人住民である渡辺さんからこのような主張がなされたことを高く評価したいと思います。

ここ川崎区は長期のスパーンで見れば明治以来の「国づくり」が象徴的に現れているのです。昨年の「韓国併合100年」はまさに川崎の埋め立てがはじまり工業化が推進された時期でもありました。

渡辺さんは触れていませんが、臨海部や川崎港の問題は民主党の新たな「国づくり」の政策として脚光を浴び始めています。東京・横浜・川崎は京浜港として日本の2大拠点(ハブ)に選定され、川崎だけでも1000億円の投資が港湾施設の拡大などに使われる予定です。そんな金があるなら福祉に回せという政党もいますが、福祉の充実には賛同するものの、川崎の臨海部・港湾そのものをどうしていくのかは単なる反対だけではなく、市民・行政・企業・議員による話し合いの場を設けて、50年先の川崎のあるべき姿を求めてグランド・デザインづくりをはじめるべきではないでしょうか。

川崎区の問題は「他と同じ施しを」(渡辺)ということではなく、川崎区の問題(臨海部は市全体の2割の面積)は住民自治の在り方に関係し、それを基盤としながら新たな「街づくり」のイメージ、グランド・デザインづくりに住民(市民)が当事者として関わることによって実現されていく、ということを確認したいものです。


崔 勝久

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延々と差別される労働のまち川崎区ー渡辺治
http://www.owat.net/rinkaibu-mirai/rinkaiblog.html

多分、川崎臨海部と言って、どのような場所かをイメージできる方はほとんどいないだろうと思う。

かつては、工場からの煙がもうもうと立ちこめて、今の産業道路のあちら側さえよく見えなかったという。海にむかって、右から風が吹くと、体が白くなり、海側から風が吹くと、体は赤くなったそうだ。右側には、浅野セメントの工場、海側には日本鋼管の製鉄所があった。

今は、日本鋼管は脱煙装置などを整備し、ほとんどばい煙は出さなくなった。ぜんそく患者は増える一方で、そんな中、川崎公害裁判が起こる。裁判は長期に渡り、裁判所に玄関前で息絶えたという原告もいた。

今は、空気が奇麗になり、公害がなくなったようにも見えるが、交通による排気ガスは、また新たなぜんそく患者を生んでおり、産業道路沿いの小学校のぜんそく罹患率は年々悪化している。

また、関東大震災後、関東圏の通信網が完全に機能しなくなり、最初に救助に来たのがアメリカだった。モールス信号を得たアメリカが救援物資を送ったのだった。日本国内は、どのような規模の地震だったか、どれだけの被害を受けたのかも、何日たっても分からなかった。そんな中、在日韓国人が、日本人に危害を与えたというデマが流れ、日本人による自警団が組まれ、在日をわかれば、かたっぱしから殺し、その数は、数千人、神奈川県内では、5000人に達したという記事も存在する。

死体は、今の池上町に集められ、そこで焼かれたということであるが、今はその場所は公園となっている。過労、労災、事故、公害病、雇用問題、賃金問題などで、労働運動は年々激化していた地域でもあった。

一連の労働問題、民族問題は、今は息をひそめているようにも見えるが、在日の参政権の問題、公害問題は、今でも火はつかないまでも、くすぶっている。

こういった地域に対して、行政は、手をつけられないでいる。その結果、なんら方策も立てられずに、納税者はほうっておかれている内に、大都市では、公共施設が最もないエリア、福祉施設、文化施設、運動広場、公園、緑も最もないエリアとなっている。つまり、完全に差別状況にあると言っていい。これが昨日書いた、差別状態の内容である。

少なくとも、他と同じ施しを受けてもよいのではないかと思う。もし、日本の産業や経済に対する功績を少しでもありがたいと思うならば、医療、福祉、文化施設、環境問題などには、どこのエリアよりも公費がつぎ込まれるべきではないか。

こういったことを、市や県、国に訴える政治家さんがほとんどいないのが不思議でたまらない。あいかわらず、誰も、企業の方向を向き、その企業を支えて来て、犠牲になってきた、住民の方を向かない。労働者がいて始めてなりたつ企業である。

本末転倒な政治の結果、今の差別状態が生じてしまった。次の選挙ではどうにか「まとも」な政治が行える議員さんが選ばれて欲しいと思う。

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