2010年7月7日水曜日

鄭香均さん、昨日のご講義、お疲れさまでしたー加藤千香子


昨日の横浜国大での鄭香均の「特別講義」は、加藤千香子教授の
「差異と共生」の授業枠の中で具体化されました。これで
日立闘争の当該の朴鐘碩が2回話しをしたので、「在日」の
戦後史に残る人物2人が横国で「特別講義」をしたことに
なります。昨日のブログで記しましたが、「在日」当事者
からの話を聴き、関連する資料や本を読み、学生が自分の頭で
考える機会が体系的に作られればいいなと、思います。

加藤さんが鄭香均に出したメールをご本人の承諾を得て、
ブログで公開させていただきます。それで、読者のみなさんは、
特別講義の内容、学生の反応を知ることができるでしょう。

また、加藤さんが日立闘争における日本人と「在日」の「協働」
に関して学会で発表されたことを、香均の話を聴き、どのような
方向で発展させればいいのか、その思いを記されています。

崔 勝久

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鄭香均さま

昨日は本当にどうもありがとうございました。また、蒸し暑い教室
でのご講義、おつかれさまでした。
昨日の講義、今日もずっと考えさせられていました。

何より、ご自身の看護婦・保健婦になった経緯からはじまり、
それだけでも重い意味をもつ内容ながら、さらに裁判へ、そして
後半では「正義」や「民主主義」をどう考えるかという、現在の日本
社会とそこに住む者に向かって問いかけるという展開、
一言一言の重さと深さを実感しながら、聞き入ってしまいました。

学生にとっては、後半、自分たち自身の権利にかかわってくる
問題だという指摘が、おそらくまったく予想外だったのだと思います。
他者の苦労話だと思っていたら、いつのまにか当事者は自分?
えっ? 何、どうして? という感じでしょうか。
少なからぬ戸惑いもあったかもしれません。
ですが、こうした揺さぶりこそが必要なのだと感じます。
本当は、鄭さんの揺さぶりを受けて、さらに私たち教員の方で
学生に咀嚼させ、考えさせていかねばならないのですね。

来年も講義されますか?という学生の質問がありましたが、
学生は拒否反応ではなく、もっと知らなければならないことに
気づいた、そのうえできちんと対話したいという前向きな姿勢の
表れなのだと思います。


これは私見ですが、70年代には「日本人」が「在日」に向き合
うことと(「共同」)とは、「抑圧者」である自己を認めること、告発
を受けることでありました。

ですが、それはともすれば贖罪意識や観念的な「抑圧者」の自覚に
終わりかねないものでもあったでしょう。鄭さんは、そうではない
新たな「共同」の方法を提案されたようにも思います。

もっと必要なのは、「日本人」自身が、国家の奴隷になる被害者でも
あるというその痛みを自覚し、その意味で自らの人権を何より大事
にすること―実はそれが現在難しいのですね―ではと、あらためて
考えています。

2010年7月6日  加藤千香子

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