2010年7月6日火曜日

横浜国大での鄭香均の特別講義を聴いて

みなさんへ

蒸し暑い日が続きますが、お変わりありませんか。私はこの1カ月、
「人権の実現ー「在日」の立場から」という論文づくりに没頭
していたのですが、ようやく書き上げました。『講座 人権の再定位』
(全5巻 法律文化社)の第4巻、『人権の実現』(編集 斎藤純一)
のなかの論文で、この秋に出版されるとのことです。

昨日、加藤千香子教授の「差異と共生」の授業枠で、鄭香均の
特別講義がありました。約90分の話で、岩手の高校時代、まったく
就職ができなかった経験から始まって、東京都の保健士になる過程、
裁判所の判決内容など、時には涙を浮かべながらも、学生に「主権
在民」の意味を問うなど、学生にとってはとてもチャレンジングな
特別講義だと思いました。本当にいつ聴いても香均は話が上手。
話す内容がそのまま原稿になるという、天才的な才能の持ち主です。

判決の持つ意味について、「在日」にとってというより、日本人自身
にとってどのような意味を持つのかという彼女の説明については、
学生たちは理解ができず、自分たちの勉強不足を告白していました。
しかし「在日」を可哀そうな存在と思っていたであろう彼らが、しっかり
と憲法を含めて勉強をしないと何もわからない、見えてこないということ
を実感したということこそ、今後の第一歩だと思います。

私自身は、石原慎太郎都知事が「与党には親等が帰化した党首、幹部
が多い。先祖への義理立てか知らないが、日本の運命を左右する法律
(外国人地方参政権)を作ろうとしている」発言から、多くの政治家や
ひいては芸能人にまで、誰が「在日」かということがネット社会で
話題になっている、異常な「魔女狩り」に似た騒ぎに注目しました。

この騒ぎは一体、なんでしょうか。とても嫌な状況ですね。私は娘が、
生きるためにアメリカに留学したいと訴えてきたことを思い出します。

私は、「韓国併合」も知らない大学生がいるという事態と、この「在日」
騒ぎの持つ意味をしっかりと考えるためには、小手先の対応でなく、大学
において「在日」についての体系的な教育プログラムを作る必要があるの
ではないかと、強く感じました。当事者の話を聴き、疑問点を出させ、
一定の本を読ませ、リポートを提出させ、とにかく「在日」の状況を知り、
それによって日本社会の実態をどのように考えるのか、複合的に考える
訓練を大学でしないでどこでするのでしょうか。

大学関係者に考えていただきたいですね。いかがでしょうか。
横浜国大だけでなく、このメールを読まれている各大学関係者の
みなさんのご意見をお願い出来ますか。私たちも積極的に協力
させていただきます。

--
崔 勝久
SK Choi

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