2010年2月21日日曜日

『地域再生の条件』(本間義人 岩波新書)を読んでー住民が主役ということ

「地域再生」とか「まちづくり」が言われだしたのは、日本全国でどうしようもなく街が寂れてきたからであり、その根本的な原因は政府(官僚)の政策が間違いであって、今も懲りることなく、反省なしに中央からの計画をだしているという認識を著者は示します。地方自治体も国からのおこぼれをもらおうとその指示に従うところが多いのだけれども、それらの中で、市民・住民がやる気になって地方自治体を動かし、創意工夫で活性化し始めたところがあるということを、全国の例から示してくれます。

Sustainable Community(持続する社会)を言う学者は、公害とか環境を問題を軸に話すことが多いのですが、著者は、地域再生の条件をとしてよっつあげます。
第一は、すべての人々の人権が保障された地域に作り直すこと
第二は、地域の人々がその地域の仕事で生活しうるように再構築すること
第三は、自然と共生する地域にする
第四は、住民自身が地域再生の主役になること

『環境再生』(有斐閣)では公害と闘ってきた住民が新たなまちづくりを始めることを強調していたのですが、それはそれで川崎臨海部の実情がわかりよかったのですが、この本の著者は地域再生のアプローチが違い、より具体的であるように感じました。特に、福祉を全面的に掲げ、ノーマリゼーションという単語で、外国人を含め全ての人権を主軸にして、高齢者や障がい者のためのまちづくりはその地域すべての人のためになることだというのは、まさにその通りです。この視点は『環境再生』にはなかったものです。是非、川崎の各地域で住民が中心となってこの本を叩き台にして議論を深めていければと強く思います。

何よりも住民が主役ということは誰でも一様に口にするのですが、市民参加のまちづくりというのはまだまだこれから始まるのだと思います。商店街がシャッター通りになってきている各地の状況は川崎も同じで、桜本もまた昔の、夕方になれば人も通れないくらいに混雑していたことが嘘のようです。これをどのようにして活性化させることが可能なのか。

桜本や大島、小田という商店街も考えてみると、臨海部の労働者が少なくなり、臨海部で働く人が川崎区でほとんど住まなくなってきている状況、及び臨海部そのものが全体としてポスト工業化の時代になって寂れてきているという状況と関係しているのです。阿部市長が自画自賛しているように、臨海部のエコタウン、リサイクル(環境)産業ということで、まちが活性化されていくでしょうか。これは企業と識者と行政が既存の設備を活用した企業の活性化を図った計画で、具体的な住民や商店街の活性化にはなっていません。

何を軸にまちの活性化を図るのか、これは行政からのハード対象の助成金ではなく、ソフトを中心として住民自らが具体案を作り上げていく創意工夫でしかその端緒はつかめない、ということをこの本から学びました。

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