2009年9月10日木曜日

「史上初」の選挙が終わってー滝澤貢(日本基督教団 牧師)

「史上初」の選挙が終わってー滝沢 貢(日本基督教団川崎教会 牧師)

 「8月の総選挙は史上初」「一党が308議席を獲得したのは史上初」と、初物づくしで真夏の総選挙は終わった。民主党の躍進は事実上の選挙戦となった40日間の世論調査で一度も変わらなかったが、結果だけ見れば「320超」には至らなかった。むしろ、意外に自民党も復活したという印象がある。

 本格的な政権交代は初めてなのだから、想像のつかないことが多いのは確かだろう。これからどうなるのか、本当のところ誰にもわかりはしない。ただ、「これまでと同じではダメ」という意思表示が示されたのだ。では代わりに何がでてくるのか。わたしは不安より興味を覚える。

 選挙後には様々な評論が賑わった。その中で「小選挙区制の恐ろしさ」に言及したものがあった。得票数だけを見れば自民・公明対民主に圧倒的な開きはない。だが、小選挙区は僅差でも全体の色が変わる恐ろしさを持っている。1996年以来それをいいように操ってきた政権・政党が今になって「問題だ」などと発言したら、それこそ見識が問われる。だが、確かにその恐ろしさ、つまり民意をいかに正しく反映させられる否かについて、真摯な議論が積み上げられ良いのではないかと思う。ただ、その議論を議員が行っては意味がなくなってしまう。

 さて、10月には川崎市長選挙がある。衆議員での圧勝を受けて民主党は地方首長選挙で自民・公明との相乗りを止めるらしい。「中央の小泉・川崎の阿部」のスローガンで2選を果たし、3選にも立候補表明した阿部孝夫氏は、これまで自・公・民・社の推薦を受けていた。その選挙協力体制に対し、民主党本部が待ったをかけたわけだ。衆議員選挙でさえ、自民党公認者が「自民党」の看板を後ろにさげたくらいだから、阿部氏も当然早くから「市民党」「市民派」を強調していたのだが、さてどうなることだろう。

 選挙とはもともと魑魅魍魎の渦巻く魔界ではあるのだが。
(2009年9月6日 川崎教会週報より)

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