2009年5月3日日曜日

連休閑話ー暇つぶしに読んだ本



奥様のおかげで連休の始まる前に小旅行に行ってきました。
浅間山のふもとを越え、万座温泉で乳白色の温泉を
堪能し、3泊4日で普段は読まない本を読みました。

1.福岡伸一『動的平衡』(木楽舎)
2.宮台信司『日本の難点』(幻冬舎)
3.岡田温司『処女懐胎ー描かれた「奇跡」と「聖家族」』(中央新書)
4.河村たかし『おい河村、おみゃあ、いつになったら総理になるんだ』
 (KKロングセラーズ)

福岡伸一のこの本は本日の朝日の「読書」で書評に載っていましたが、若干シニカルな論調でしたね。私はおもしろく読みました。彼が訳したという象や豚の本は是非、読もうと思いました(宣伝上手ですね)。
朝日では、「変わるほど、変わらない」という最近の「流行り」のひとつとして紹介していますが、その言葉では私の感じたことは表せない感じです。「時間」という概念を入れ、人間を部品の集まりとして見る見方を批判するのですが、私には説得力ある説明でした。


宮台伸一は、50代初めの社会学者がどのようなことを書いているのかこれまで食べず嫌いだったので、思わず買ってしましました。「通読すれば眩暈がするでしょうが・・・」と宣伝にありますが、私は全く眩暈をすることなく、通読しました。「救国の書」らしいのですが、私はそれほど感心しませんでした。批判が多いようですが、上野千鶴子の『ナショナリズムとジェンダー』を読んだときのような強い印象はありません。
ところどころいい兄貴的な言い方で(所謂大学の教授の権威ぶったところはなく)、世相を切り、豊富な知識で説明します。しかしつまるところ、彼は憲法9条「改正」に賛成し、遺伝子組み換えにも賛同します(これはさすがに専門家の福岡伸一の警告の方に分がありそうですが)。
最後には、本当にできる学生(東大のトップクラス?)は、利己的でなく、利他的で、他者への影響力を持つと締めくくります(これって、まさか宮台本人のことを言っているんじゃないでしょうね)。これは一種の、
洗練されたもっともらしい保守に流れる「説教」と読みました。
 
『処女懐胎』も説得的です。豊富な絵画をいれながら(高くともすべてカラーであったほうがよかった)、イエスの母のマリア、「義父」のヨセフ、マリアの母のアンナについて、歴史的に、民俗的にどのように 
取り扱われてきたのかを説明します。マリアがセックスなしにイエスを産んだのであれば、彼女はどのように特殊な人間であったのか説明されなくとはならず、また当然、その母親のアンナも普通の女性であっては
いけないわけで(アンナもまたセックスなしに生まれたことになっている)、聖書に言及はなくとも(2世紀の「ヤコブ原福音書」では詳しく書かれているとのこと)ヨセフの「苦悩」とアンナについては、一般民衆に大きな影響力のあったことがわかりました。
カトリックだけではなく、あのルターもアンナ信仰者だったと知り(未確認)、教義に表わされ理屈で固められた信仰理解の裏に、民衆の素朴な思いがその時代の、家父長的あるいは支配的なイデオロギーのなかで
育まれていたことがよくわかりました。


河村たかしの本は南高校の跡地のことで(今はその過程で発生した石綿のことで)日々格闘している渡辺さんの紹介なので、読みました。河村たかしが南高校に来て一緒に座り込みをしたとのことです(河村はしかし、座り込むは敗北と断定していますが・・・)。
彼がどのようにして古紙業の息子として国会議員にまでなっていったのか、国会委員と官僚の在り方に何故批判的なのか、よくわかりました。念願の名古屋市長になったわけで、この本の内容が本当で、本人が本当に市長として既成の政治の在り方に対して、橋下や東国原とは違った形で闘うのか、期待したいですね。
彼の公約は面白く読んだので
(http://anti-kyosei.blogspot.com/2009/04/blog-post_27.html)、
わたしたちとの接点がありうるのか、見てみましょう(ところで、私は彼に当選祝いとともに、「国籍条項」についての質問をメールしました、返事は来るでしょうか?)
日本は借金国家で、「国債は悪」とするのは「財務省コミンテルンの陰謀」とまで言い切って、市民税10%を下げることを公約にしたことを思いだしました。山家悠紀夫という「偉い」学者が、同じようなことを
書いていたことを思い出しました(『「構造改革」という幻想』(岩波書店)。もう一度読み直します。沼尾さん、どうなんでしょかね、これって?

さて、これからまた元のむつかしい本にとりかかります。手元には、『大都市のあゆみ』((財)東京市政調査会編)が待っています。これで「分権化」の流れがわかるのでしょうか、またそこでは外国人の政治参加を承諾するような議論になっているのでしょうか?

 --
崔 勝久
SK Choi

skchoi777@gmail.com
携帯:090-4067-9352

0 件のコメント:

コメントを投稿