2009年4月26日日曜日

沼尾波子教授を囲んでの学習会の報告

昨日、「川崎市の予算・決算書の読み方について」という主題で3時半から4時間にわたり、
集中して沼尾さんのお話を伺い、質疑応答も途切れなくなされました。この間、私が漠然と地方自治体の財政の問題と感じていたことは、前回の、地方自治たちと国の方針との関係で圧倒的な縛りを受けていること、今回は、決算書などの資料を通して川崎市の財政がどのような状態にあるのか、を知ることになりました。沼尾さんの2回にわたる講義を感謝いたします。

余談ですが、今回は沼尾さんは二次会にも加され、韓国居酒屋で11時まで楽しく意見交換させていただきました。沼尾さん、お疲れさまでした。

お話の内容はブログで望月さんの詳しい報告を掲載いたしました。参照ください。
私は、決算書に出ているのは客観的な数字であるが、市政をどのように評価するのかは様々な立場がありえて、市政の在り方(政策の内容)を決定するには大きくどのような街づくりをするのかという政治に対する理念(哲学)が不可避で、それはバランスシート上の(数字による)他都市との比較だけでは十分でなく、他の物差し(基準)、例えば、市民の政治参加の程度を問題にしていくことが必要と感じました。しかしながら実際に夕張市のような事態も発生しており、地方自治体の在り方を財政との関わりで政策発表することは絶対に必要不可欠ということも沼尾さんのお話から知るところとなりました。

地下鉄建設の件ですが、積立金が110億円にもなっており、それがいつの時代からのものであるかは確認しますが、少なくとも阿部市長はそのお金を持ちながら、毎年その準備室のために5億円以上のお金を使い、国の支援の確認がとれればすぐにでも実行するつもりであることは間違いないと思われます。私見では、次期候補者は、地下鉄建設白紙化を宣言し、積立金110億円を切り崩してミニバス網を作ることと、保育園や老人ホームの建設に使うことを宣言すべきだと考えます。いかがでしょうか。

崔 勝久

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「川崎市の予算・決算書の読み方について」沼尾波子教授と学ぶ
              2009年4月26日   望月 文雄


当日は朝からの雨が振りやまず、外にでるのは鬱陶しい日でした。約束の時間ちょうどに教授の講義が始まりました。


教授は6種類の資料を10部づつ作ってこられました。A4の用紙では3種類総計48枚が両面印刷、B4用紙28枚、これは片面印刷、A3用紙が2種類で4枚、全部両面印刷です。


資料1は「習うより慣れろの市町村財政分析ー基礎からステップアップまで」(大和田一紘著の抜粋)

資料2~4は川崎市財政問題研究会最終報告書を3分冊にしたもの。この研究会は川崎市からの依頼で4人による研究員で沼尾波子教授はその一人とのことでした。

資料5は川崎市歳出比較分析表、市町村財政比較分析表、地方公社・第三セクター等の経営状況及び地方公共団体の財政支援の状況、財政状況一覧表いずれも平成19年度のもの。

資料6は平成19年度決算状況で片面は川崎市のもの、片面は横浜市のもの。


講義は大和田氏の「習うより慣れろの市町村財政分析ー基礎からステップアップまで」抜粋を順次説明するという形で行われました。


自治体の財政は一般に「一般会計」と「特別会計」との2本立てだが、「普通会計」と「公営事業会計」という分類のしかたがある。後者の方は決算統計上の会計区分で地方財政白書で扱われる会計で、公営事業(各種保険や下水道事業など)と公社・第三セクターなどの財政の状況が含まれる「普通会計」で資料6の決算カードと呼ばれる「決算状況」の基になるもの。


地方財政の分析の仕方には「経年的に」と「他の自治体と比較する」という方法で、後者の場合、①「近隣自他体と比較する」場合と②「類似団体で比較する」例えば川崎市は政令指定都市なので、他の政令指定都市グループとの比較という風に。


それには「決算状況」というインターネットで公表されているグラフ=決算カード(資料6)を用いるとよい。このカードはホーマットが決められているので、見方の勉強が必要です。人口・住民基本台帳人口から歳入・歳出は区分・決算額・構成比・経常一般財源等、市町村税の状況、一般職員・特別職員の人数・年間支出が項目別に計上されています。さらに、財政区分や健全化判断比重、さらに、積立金現在高、地方債現在高、債務負担行為額、収益事業収入・土地開発基金現在高などが前年度と併記、記載されています。

注目するべき欄は中央下段の囲みに記載されている、「経常収益比率」でこの数値が100%に近いほど、市町村で自由に使用できる金額が減少します。川崎市の平成19年度の場合、93・5%なので、自由に使用できる金額は残りの6・5%となり、その金額は「経常経費充当一般財源等計、292,178,526千円の6・5%ということになります。


こう分析しますと、川崎市の財政はかなり緊迫していることが分かります。「経常収益比率」が80%位になれば、市独自の仕様目的の開発が可能になるのですが。そのためには歳出のどの部分を少なくするかということが問題になります。それで、歳出比較分析表(資料5)を見ますと、円形図表で川崎市では人件費が100を超えていることが分かります。人件費は歳出の区分で(義務的経費)に含まれていて、経常比率29・5となっています。その内容は決算カードの一般職員等の区分に明細が記載されています。人件費総額は性質別歳出の状況にあります。人件費節減には人減らしという直接的なものと、民営化という方法があるが民営化には問題が出てきて、丸投げ方式では世情の期待に対応が困難で、管理監督を市町村で充実させなければという問題が提起されています。


市独自の施策を少ない財源でどのように開発し、住民の期待に答えるかということは非常に重要ですが、現在川崎市が開発を計画している地下鉄は問題があるのではないでしょうか。市の計画では総工費のうち約2000億円を一般会計から支出とされていますが、中止すればその金額が他の目的のために利用可能なのでしょうか、という質問が参加者から提出されました。一般会計から支出されるといってもその金をどのように調達するかが問題で、それは恐らく地方債発行ということになると思われます。現在準備されている積立金110億円の金額にしても、それがどの時点、企画当初からか、どうかは調べないと分りません、とのことでした。


最後に市民参加の運動に公的資金の導入は比較的に増加しており、今後も増加傾向にあるので、NPO活動の立ち上げなどが有望視できるという話題が進展しました。


講義の内容は市町村財政の状況を理解するにはどういう知識が必要なのかということでは、納得できましたが、問題点の分析と川崎市の財政のあり方については更なる検討が必要と痛感しました。

 以上。

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