2009年4月19日日曜日

市民による”議会改革チャレンジ案”シンポジュームに参加して


4月19日の日曜日、夜6時半から、「市民による“議会改革チャレンジ案”」のシンポジュームに参加しました。講師は、廣瀬克哉さん(法政大学教授)と、岩永ひさかさん(多摩市議会議員)のお二人です。

廣瀬さんからは、議会基本条例が全国的に制定されるようになったきっかけと状況、どうすれば市民と議会のあいだでの対話が可能かということを全国の例を上げ説明されました。岩永さんからは、具体的に多摩市で議員として議会が市民と対話をするためにどのようなことをしてきたのかという、経験を話されました。

全国的に議会基本条例が作られているが、「アクセサリー条例」、即ち、条例化のための条例作りという、条例を作り既成事実化することを優先しているという指摘がありました。これは自治基本条例も同じことであるが、廣瀬さんの見解では、それでも一旦条例化されるとそれを武器にして市民運動を展開できる可能性もあるということでした。

情報公開ということでは、川崎市議会は、議会基本条例の作成にあたって非公開で、市民の意向を聞こうとも、一緒になって制定しようともしていない実態であり、早晩「アクセサリー条例」として市民の手から離れたところで制定しようと画策しているようです。市民はそれに対してなんら打つ手がなく、ただ黙って市議会が進めることを見守るしかない状況のようです。

注目すべきは、私たちがこの間主張してきた区民協議会という、行政単位を小さくして住民が中心となった地方自治の仕組みをつくるべきだということが、猪俣議員と主催者の吉井さんの手によって「準区議会」の設立というかたちで提案されたことです。これは大変重要なことで、ここで市民レベルで具体案を作成して来るべき市長選に備えるべきです。

廣瀬さんは、東京都23区の分権化の動向を紹介しながら、100万人を超える川崎のような政令都市が基礎自治体として運営されていけるのかという観点から、(行政単位を小さくして)区の分権化を進め市の予算をとり、正当な意思決定機関にする必要があるのではないか、市全体の政策のことは従来通り、市議会で検討・決定すればいいということを話されました。

そんなことをすれば今ある市議会の屋上屋を重ねることになるので(余計な経費もかかり、スリムにするという構造改革の趣旨に反するという趣旨で)問題、住民との対話は今の市会議員がもっとまじめにこまめにやれば済む、という意見も耳にしました。

私は、最後に発言の時間をもらい、ここで言われている「住民」に外国人は含まれているのか、国民=市民=住民という従来の日本の外国人を排除してきた地方自治の在り方から抜け出し、外国人を地方自治の当事者として受け入れることを明確にしているのか、ということを話しました。斎藤純一さんが一貫して著書で主張している、日本国民でない者をも受け入れる「民主的な公共性」という概念は、問題意識ある市民運動家の中でも広く行き渡っていないなと感じました。そういう意味では斎藤さんは勇気ある発言をし続けているということになります。

廣瀬さんは、外国人の参政権が優先されるべきだと集会後、私との立ち話で話されていましたが、今検討されている参政権は、外国人の被選挙権がなく、北朝鮮を排除することを前提にしており、これではとても「民主的な公共性」には程遠いと言わざるをえません。

私はそうでなく、日本の地方自治において、形式的には完備されている議会制民主主義が形骸化され、住民が疎外されている状況をどのように克服していけるのかということを考えると、川崎のような政令都市では、住民の実質的な政治参加が保障される、より小さな行政区で決定権までもつ仕組みを国会決議でなく条例で決定することが、まさに日本人自身にとって必要であることが明らかになってきたと思うのです。

そしてそのような住民自治のあるべき姿が具体化されるとき、そこに外国人住民が排除されることはあってはいけない、ということを明記し論議をするべきだと考えます。猪俣・吉井案にはそのことが触れられていませんでした。それは昨年の京都の市長選で公約としてだされた「区民協議会」案に、国籍条項はないということが一切触れられていなかったことと重なるように思えます。

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