2008年11月17日月曜日

立命館大学のシンポジュームを終えてー個人的な感想

「浮遊する在日コリアンー同化と差別のなかで」を主題にした、立命館大学コリア研究センター主催のシンポジュームに参加をしました。

11月14-15日の2日間、六つのセッションに参加した人は約30名で、聴衆した人は延べ150名という大がかりなものでした。

第一セッション:米占領下の在日コリアンと民族運動
第二セッション:南北分断体制下の在日コリアン
第三セッション:脱植民地・過去清算と在日コリアン
第四セッション:在日2世、3世の時代とアイデンティティ
第五セッション:グローバル化の中の在日コリアンー植民地・帝国・民族・国民・市民権
第六セッション:大討論:「在日論」再考

私は「大討論」の4人のパネラーとして20分の発題を事務局から依頼されて出かけました。
参考までに、司会は、尹健次(神奈川大学)、パネラーは、朴一(大阪市立大学)、鄭暎惠(大妻女子大学)、竹田青嗣(早稲田大学)、高演義(朝鮮大学校)、崔勝久(外国人への差別を許すな・川崎連絡会議)というメンバーでした。

とにかく第1-5セッションも同じようなパネラーの数で、それぞれが20-30分(20分を超える人が大部分)の発題をして全体で2時間15分というだからそれだけで時間一杯で、ほとんど討議、フロアーからの質問なしで、議論は最後の「大討論」に持ち込まれるということらしく、私と同じパネラーの鄭暎惠さんとはどうなることか苦笑をしていました。 

さて司会を含め、第六セッションの全員がそろったのはパネルが始まる4時直前で、それまでのセッションでの質問を討議するようなことはそもそもできない相談でしょう。いや、それどころか、何日も時間をかけて20分の発題の準備をしてきたのに、司会者の「命令」でなんと、急遽、5分で要約して話してくれと言うことになりました。いやはや、さすがに温厚な竹田さんも「それはちょっと、アンフェアーではないか・・・」と話されましたが。

私を含めパネラーはそれぞれ、事前にレジュメを送り、2-3時間くらいたっぷりと話せるだけの準備をしていたので、このセッションだけでもおそらく何日にもわたって話ができたでしょうね。それに徐勝さんをはじめ30名近い論客がきているので、1週間くらいかかっても、民族主体性については語りつくせなかったでしょうね(でも、それってやってもおもしろいですよね)。

私の趣旨は、民族主体性を求めるという姿勢が結果として、在日の生きる現場を直視し在日が当事者としてそれを解決すべく声をだしていくことになっていない(たとえば、介護・保育園・学童保育・医療問題・中小企業の問題など)、在日もまた地域住民として、国籍に関係することなく、参加・要求していく道筋を求めよう、それはまさに日本人自身の戦後の課題であるということでした。参政権や国籍にしても、既存の組織・機構の仲間に在日も入れてもらうということでなく(それは「埋没」であり、新しい社会作り「変革」ではない)、新たな地域(世界)を足元から創っていくという呼びかけでした。

(各パネラーの準備したレジュメは十分に考察を重ねたものであることは一見してわかります。関心のある方は連絡ください。)

パネラーは市民社会の本質論から、民族主体性論までそれぞれ発題をしただけで議論にはならなかったのですが、資料集がでるということなので、御期待あれ! 私への批判としては、崔は民族イデオロギーといって民族を政治的なものだけに矮小化している、民族主体性を最優先するのでなく相対化するべきと言ってるが、崔自身は民族的な主体性をもっているのではないか、崔のいう足元というのは植民地時代でも朝鮮人は飯を食う日常があったのだから、現在の東北アジア・政治状況というものにかかわるべきというものであったように思います。

ともあれ、今回初めて私のメールを受け取った方は京都で出会った方で、意見の違いがあってもこれから議論を続けていける、また何か一緒にやるべきことがあれば協力しあってやっていけると思いました。よろしくお願いします。機会があれば地域でも学校でも結構ですから、呼んでください。日立闘争と韓国のKBS(「小さな勝利」-日本語版)のCDもあるので、活用ください。

最後に、主催者側の期待に添えられなかったかもしれませんが、呼んでくださったことを心より感謝します。意見の違いなんて大したことではなく、このように顔を見合わせて話し合うことができればそれに勝るものはありません。徐勝さんをはじめ、コリア研究センターのスタッフのみなさん、御苦労さまでした。本当にありがとう。

なお、このメールは「共生を批判する」ブログに掲載されます(http://anti-kyosei.blogspot.com/)。
「外国人への差別を許すな・川崎連絡会議」(http://homepage3.nifty.com/hrv/krk/index.html
なお、私の主張する根拠となる地域での「共生」批判の内容については、この7月に出版した本を
参照ください。在日と、フェミニズムの立場から「多文化共生」について、それぞれの経験を元にして記しています(『日本社会における多文化共生とは何かー在日の立場から』(崔勝久・加藤千香子編著 新曜社)。在日は日立闘争当該の朴鐘碩の日立入社後の生き方について、「民族保育」について、またフェミニズムの立場からは上野千鶴子さんが書かれています。

崔 勝久
SK Choi
skchoi777@gmail.com
携帯:090-4067-9352

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