2008年11月2日日曜日

「社会的弱者の連帯」を、上野さんのインタビュウーから


みなさんへ

11月2日、本日の朝日新聞で上野千鶴子さんのインタビューが載っています。 「衆院解散見送りで」「社会ビジョン選び直しへ」というタイトルです。

インタビューですから、どこまで本人の真意が正確に表わされているかわかりませんが、一応、正確であるとして上野さんの意見を参考にして、川崎の状況を考えてみたいと思います。

「次の総選挙は、日本社会のビジョンを選択する選挙」になるという位置つけで議論が展開されます。 ふたつのシナリオが想定され、ひとつは、アメリカ化といわれるネオリベラリズム(新自由主義)型改革路線で、これまでの日本が突っ込んできた方向です。

もうひとつはヨーロッパ型の社会民主主義路線。「市場万能主義に対して市場の限界を認めたうえで、 そのリスクをやわらげるために再分配・社会連帯の原理」をもとにするビジョンということなのでしょう。
「麻生政権は改革を否定してばらまき路線に戻る反改革守旧派政権で、・・・論外」として、彼女は社民路線に舵を切ることを提示します。

安心を高めるためには国民の6割以上が高負担に応じてもいいという意識調査結果を紹介しながらも、基本的に民主党に対しても「市民が負担を託す政府を信頼していない」と断じます。彼女はここで大胆にも民主党を選ぶ他に、「自・民の大連合の可能性」を示唆します。総与党化の方向に雪崩を打つ危険性もありながらと言うのですが、ここは意見がわかれるでしょう。

大きな賭けであるが、日本ではまだ介護保険を実現させたのは「社会連帯」が死語になっていない証拠として、格差に苦しむ若者のデモを上げながらその社会連帯に彼女は注目します。高齢者も「一種の中途障害者」であり、誰でも社会的弱者になる可能性があり、それは社会連帯でないと守れないことを強調します。最後に、手遅れにならないうちに、「社会的弱者によるアクションが必要」であると結んでいます。

以上が上野さんのインタビューの内容です。来年、市長選を迎える川崎の状況の中で、以上の彼女の見解はどのような意味をもつのでしょうか。まず川崎では麻生政権とは違い、阿部市長がリーダーシップをとり財政危機も民営化・合理化によって、また駅前の都市開発も成功して、キャノンのような大企業の誘致も行いよくやっているという評価が高いようです。福祉・介護の分野でも大きな失政をしたという声は今のところ広がっていません。阿部市政に反対してきた市民運動も半分はあきらめてどうしようもないという声さえ聞こえてきます。市職員の組合も阿部市政に真っ向から問題提起をして新たなビジョンを提示するという機運はないようです。民主党は与党として自民、公民と一体化して阿部市政をそのまま認めるような様子です。

国政レベルでの政権交代は地方においても大きな影響を与えるものと思われます。しかしそのような 外部の風に頼らずに、まず阿部市政の何が問題なのか、こんなもんだと思いこまされている多くの市民の本音のところで渦巻く不安の内容を明確にすることが何よりも重要です。

私はここで上野さんの提示する「社会的弱者によるアクション」「社会連帯」という言葉に注目したいと考えます。私の言葉では、「社会的弱者の連帯」です。高齢者、非正規雇用を普通のことと考え格差の拡大に不満と不安を募らせる青年たち、障害者、低賃金に甘んじる労働者、ここに私は「社会的弱者の連帯」に在日外国人も参加すべきだと考えています。戦争に行かない外国人は「準会員」という発言に、この間平和を希求してきた市民が賛同するはずはありません。この「社会的弱者」の大きなうねりが「連帯」という形をとり、阿部市政の市場原理主義主義的な思想・政策に否を突きつけ、地方自治体の明確なビジョンを市民が中心となって明示することが何よりも重要だと思います。

在日の生き方を求めてきた私は、在日という領域を設定しその中に押し込まれることを拒否します。
今選挙権がなくとも、川崎市民・住民として、私たちの住む地域社会の進めべき道に対して自分たちの意見を出していくのは当然のことだと考えます。何を躊躇することがありましょう。ここで在日が社会の弱者の立場に立ちきれるのか、それとも強者の立場にすり寄ってその仲間入りを求めるのか、岐路
に立っていると思います。後者の立場だと、新自由主義歓迎、自己責任、格差の拡大は仕方がない
ということを在日が主張するということになります。さて、読者のみなさん、いかがでしょうか。

崔 勝久
携帯:090-4067-9352

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