2008年7月22日火曜日

7.21出版記念会の報告

みなさんへ

昨日、『日本における多文化共生とは何かー在日の立場から』の出版
記念会が川崎市教育文化会館にてもたれました。2-6時の予定が
大幅に延期され、7時まで続きましたが、110名の方が参加され、
最後まで熱心な議論が続きました。

1.朴鐘碩から執筆者全員の紹介があり、開会の挨拶をする
日立闘争から40年たつも今も変わらない日本社会の問題性を指摘

2.高史明さんの講演
小田実、布施辰治、丸山真男を例にあげながら、日本を変えなければ
ならないということを力説。

3.パネルディスカション
a. 小沢弘明さんの発題ー「新自由主義について」
新自由主義が全世界で同時進行的に進められており、その結果、
格差の拡大が日本は勿論、全世界的に見られる。しかしその政策が
広く支持されているのはなぜかということを、ヘゲモニーの問題
として説明。

b.塩原良和さんの発題ー「多文化共生」について
オーストラリアの実例から、「多文化共生」事業に携わっている
人たちの実態を知った上で、「共生」を「運動」の言葉として
取り戻すために、民族・文化・社会階層を超えた「連帯」を促す
理念として再定義することを提案。

c. 上野千鶴子さんのコメント
大企業に勤めながらも闘いを続ける朴鐘碩を称えながら、
新自由主義が分断をもたらしていることの指摘と、国境をなくす
方向性に行かない(人は、カネ・ものとは違っている)のは
どうしてかと小沢さんに質問

d.崔勝久のコメント
差別・抑圧は個別、具体的であり、その実例として川崎の「共生」
施策の実態を説明。市長の「外国人は準会員」発言「当然の法理」
の問題、「門戸の開放」のまやかしについて説明。

e. 朴鐘碩の意見
大企業は経営者と組合が「協創」(=「共生」)によって一般
労働者が自由にものを言えないようにしいてる実態と、日立を
はじめ大企業は「人権養護」ということで組織を作るが形式的な
対応にとどまっていることを説明。停年退職まで後3年、組合
委員長に立候補することを貫徹させたいと宣言。

f.フロアーからの意見
・塩原さんの「働かざるもの、食うべからず」は資本主義的常識
 という説明に対して、元来は社会主義世界における常識であった
 との指摘→本人認める
・農業に従事している人から、新自由主義施策の問題点の指摘
・大学関係者から、学問と実践を対立的にとりあげることの問題点
 の指摘
・国鉄労働者が200名自殺して抵抗したこく国鉄の民営化のなかで、
 それに抵抗し自殺者をださないで闘ってきた例をあげ、「抵抗が
 なかった」と断定的に話した発題者への疑問→上野千鶴子さんから、
 野田正彰の著作を取り上げ、血を流すことのなかった「改革」では
 なかったという解説
・地方の民族団体に属す人から、参政権の意義を説明してそれに対する
 崔への質問→論議されている参政権には被被選挙権はなく、北朝鮮「籍」
 者は除外されている事実を指摘、自分は民族主義イデオロギーを克服
 する立場であることを説明。

4.閉会の挨拶(伊藤晃さん)
今回の本は川崎を事例として「在日」当事者から個別・具体的な問題を
提起しているのであり、一般論として「共生」の問題を観念的に論議する
ことの危険性を指摘。最後におそくまで論議に参加してくれE3人への感謝
で閉める。

5.懇親会 35名が参加。、韓国から、昨年『和解』で大仏次郎賞を
取った朴裕河さんが参加。二次会にも10名が残り熱い論議を継続。

出版記念会を主催した事務局員としては、予想より多くの人が参加して
くれたこと、十分な準備をして臨んでくださった発題者、特別講演者の
高史明さんに感謝いたします。

特に「批判されることを覚悟」して参加したという塩原さんの謙虚で
前向き、誠実な姿勢には感動を覚えました。これからのご活躍を祈ります。
加藤さ2、横浜国大の学生、及び多くの裏方のみなさん、御苦労さまでした。

最後に、アンケートの中からひとつ選び、ここに記します。今後の活動の
在り方ついて参考にさせていただきます。

崔 勝久

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