昨日久しぶりに96歳になられた呉炳学画伯のアトリエを夫婦で訪問しました。セザンヌの領域まで、ご自分のテーマをもってたどり着きたいという老画伯の迫力に圧倒されます。とても96歳とは思えない身のこなしで、今でも毎日、新しい絵を描き上げるのに渾身の力を振り絞ってとりかかっていらっしゃるようでした。
来年の一月に銀座で呉先生を囲んでの交わりがあるとのことで、私たちも是非参加させていただいきたいとお願いしました。呉先生とは50年前、先生が故金宙泰さんたちと創刊された雑誌「まだん」の取材でお会いしました。鋭いまなざしでいながら温厚な表情で人に接する呉先生からは、公私にわたりお世話になりました。在野にこういうすばらしい大先輩がいらっしゃるというのが私が呉先生とのお付き合いの中で感じたことで、私はいつも勇気を与えられてきました。
呉炳学画伯、どうぞいつまでもお元気で人の魂を奮い起こす絵をお描き下さい、と言いたいところですが、呉先生曰く、今のご自分の気持ちのままに肩の力を抜いてキャンパスに向かうことがようやく、できるようになったということでした。そういわれれば、最近描かれたと思われる花の絵は、ゆったりとして、見る人の心に解放感を感じさせるようなものでした。
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