2020年4月6日月曜日

新型コロナウイルス(COVID-19)は我々に何をもたらしたかー牧野時夫

北海道に住み自ら農業の携わりながら(ネットで販売もされています)、クラシック音楽の演奏や指揮者をもされる牧野時夫さんからのメールをいただき、私のブログでも紹介したいと思い、ご本人の承諾を得ました。

皆様 ご無沙汰しております。
 年明けには想像もしなかったような世界になっています。年末年始は東京在住の娘と息子夫婦、妻と私の5名でウィーン・プラハ8泊10日の旅を楽しみ、2月1~2日は北海道農民管弦楽団第26回定期演奏会を、北海道東部胆振地震復興支援として、むかわ町と安平町の2か所で、地元中高生や市民の吹奏楽団の共演も得て満員の聴衆の元で開催することができました。今思うと、奇跡のようなことです。3月に予定していた4つの演奏会のうち、3つは中止または延期になりました。岩内町のカフェでのコンサートのみ、20名ほどのお客さんでウイルス対策を気にしながら開催することができました。5月の小樽管弦楽団のコンサートは、練習もできなくなり中止が決まりました。さて、これからの世界はどうなるのか。フェイスブックやブログ等で毎日発信しておりますが、最近書いたいくつかを、ここにも載せます。

 その前に、農産物のご案内です。今年は今までになく早い雪解けでしたが、例年通り3月15日でのJR除雪アルバイト終了をもって農作業を開始いたしました。日陰にためていた雪を使って貯蔵期間を延ばしていたジャガイモも、もう2~3日でためていた雪がなくなるので、ぜひ皆様、当園のおいしいジャガイモをご注文下さい。注文は、このメールに返信で郵便番号、住所、氏名、電話番号もお忘れなくお書き添えください。
★越冬じゃがいも他 農産物ご案内 (価格は送料別途)
・キタアカリ 12㎏ 2800円
・メイクイーン 12㎏ 3000円
・キタアカリ&メイクイーン 12㎏ 3000円
・男爵、キタアカリ、メイクイーン3品種 12㎏ 3300円
・キタアカリ10㎏&大根2本 2900円
・メイクイーン10㎏&大根2本 3100円
その他の販売物
・農薬ぶどう果汁2種+🍎無農薬りんご果汁
710㎖ 3本化粧箱入り(限定2箱) 4100円🍇
・無農薬ぶどう果汁ブレンド白 or/and 🍎無農薬りんご果汁
 710㎖ 6本(組合せ自由) 7200円
 710㎖12本(〃)   14400円
・きくいも 500円/1㎏当たり
・殻付きクルミ 600円/500g
・ライ麦全粒粉 800円/500g
・オリジナル花豆(薄紫) 450円/200g
・貝豆 400円/200g
・梅しそ漬け 800円/400g
新型コロナウイルス(COVID-19)は我々に何をもたらしたか(2020-3-26)
2018年、アメリカのボルティモアにあるジョンズ・ホプキンズ大学の公衆衛生研究所が出した、世界の脅威となるであろうパンデミック病原体についてのレポート。ジョンズ・ホプキンズ大学は、アメリカの医学・公衆衛生分野での最難関大学であって、ノーベル賞受賞者も36名以上輩出している。
このレポートは、今後地球規模で深刻な破壊的脅威をもたらすパンデミック病原体が、どのような性質をもつものであるかについて、多くの研究者が予想してまとめ上げたものである。この報告で出された結論は、以下の通りである。
・呼吸器系の感染症を引き起こすRNA ウイルス
・発症しない人や、発症しても軽症の人が多い
・潜伏期間が長く、発症期間も長い
・致死率は低いものの、重篤化すると死に至る
素人には思いもよらないような性質を持ったウイルスであるが、まさに今、世界でパンデミックを引き起こしている新型コロナウイルスcovid-19の性質に、完全に合致する。
政治家や専門家、マスコミなどが、新型コロナウイルスの爆発的感染を抑えるためには、ここ2~3週間が山とか言っているが、そんなことで済むようにはとても思えない。多くの人が感染して免疫を獲得するまでは、爆発的感染の危険は常にあるのだから、ここ2~3週間だけが山であるはずがない。
感染者を少なく抑えることができれば現時点での医療崩壊を防ぐことはできるが、感染爆発のピークを低く下げるためには、感染を防ぐための自粛期間をできるだけ引き延ばす必要があるわけ。誰も、このことを言わないのが、不思議で仕方がない。この期間がどのくらいの長さ必要なのかが、重要なはずなのに、誰もこれをはっきりとは言わない。おそらく、言えば大変なことになるのが分かっているから、専門家も本当のことを言わないのだろう。
この新型コロナウイルス感染爆発を防ぐための行動自粛は、1年でも2年でも、開発中のワクチン接種による免疫獲得が可能になるまでは、さらに数年続くこともあり得る。東京オリンピックなんか、来年に延期しても、完全な形で開催することなど不可能だろう
そのうち自粛が解けて、元通りに商売ができるなんて考えるのは甘い。世界経済も、未だかつてなかった大変なことになるのは、目に見えている。政府に助けてもらおうなんて考えないで、早めに別の生き方を考えた方がよいと思う。
もう、元の社会には戻れない。思いがけずも、この新型コロナウイルスのパンデミックによって、私が理想と考えていた等身大(三里四方)の地域自給圏社会を、世界が目指すきっかけになるような気がしているし、またそうならなければ、世界は滅びることであろう。大量生産・大量流通・大量消費の時代は、完全に終焉する。地域自給圏社会とは、有機農法的なものである。その意味するところは、限られたサイズの社会の中で、あらゆるものが循環してサスティナブルであること、そして多様性を保ち危機にレリジエントであることだ。そのような社会を打ち立てて初めて、新型コロナウイルスに打ち勝つことができる。

ウイルスが生物であるかどうかということについて、議論があるようだが、遺伝子で増殖するという意味では、生き物に他ならない。すべての生き物には、生きる意味があるのであって、人間だけが特別な存在ではない。有機農業の考え方では、すべての生命に等しく価値を認めて、病害虫を化学物質で皆殺しにするようなことは許されない。ウイルスにも存在する意味はあるのだ。この新型コロナウイルスは、人類の生活様式に対して変化を促しているのである。このウイルスを怖れずにすむような社会に、しなければならない。

ウイルスより怖いのは、差別や排除といった人間の行いだ。「正しく怖がる」というような言い方が氾濫しているが、矛盾した言い回しであって、好きにはなれない。怖がるのではなく、正しくつきあうと言った方がよいだろう。このウイルスがもたらしたものは、決して死の恐怖と先行きの不安だけではない。スモッグで曇った武漢の町に青空をよみがえらせ、ジェット機が飛び交い成層圏に温室効果ガスをまきちらすのを防ぎ、都会の喧騒ではなく小鳥の鳴き声を聴かせてくれたことを、少しは喜んでもよいのではないだろうか。

★新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、私から皆様へのメッセージ(2020-4-3)
NHKのローカルニュースで、近所の農家が、今年は外国人の研修生(という名の低賃金労働者)が来れなくなり、例年通りの作付けができなくて困っていると嘆いていた。そういう研修生にたよる農業って、一体何なんだろうと思ってしまう。うちには関係ないことだ。
インバウンド需要にたよっていた北海道の観光業界も大打撃であり、世界中の観光地で同じことが起きている。飛行機が飛ばず、世界中の国々がお互いに鎖国政策を取り始めた。これも、ほとんどうちには関係のない話だ。正月に海外旅行に行けたことはラッキーだったが、別に無理してまで行くことはない。
世界中の大都市で、感染爆発(オーバーシュート)が起こり、医療崩壊で人がバタバタ死んでいくことを避けるために、都市機能の強制停止(ロックダウン)がなされている。経済活動がストップするだけでなく、日常的なコミュニケーションさえ禁止される非常事態になっている。これも、夫婦二人きりの生活において濃厚接触がなくなってきていた我々には、さして影響がないのである(笑)
世界は困っている。しかし、うちは大して困っていないのだ。オーケストラの演奏会が次々中止になったのは悲しいが、別にそれで食べているわけではないから生活に響くわけではないし、小さな会場でのコンサートは、ウイルス対策をうまくやって開催した。音楽は、心の糧にはなるが、まずは胃袋を満たすことの方が大事であり、音楽をやるのは飯が食えてからだ。
世界が大変なことになっているのは、都市化を進め、経済活動や人の往来を活発化したからだ。新型コロナウイルスは、それがいかに危ういことであるかを我々にはっきりと知らせてくれた。バブルがはじけて銀行が次々に破綻した時や、大地震による原発事故が起きた時にも、誰もが気づくだろうと思ったのは甘かったが、もういい加減に世界中が気づくべきなのだ。都市化や経済成長の時代は、もう終わらせなくてはならない。
世界がこんな風になっても(まだまだ大変なことになるのはこれからだ!)、都市にしがみついてしか生きられない可哀そうな人は、いっぱいいる。しかし、都市で生きられなくなった人は今こそ、都市を脱出するチャンスである。少しでも早く行動を起こした人が、よりよい未来に生きることができる。今こそ、コンクリートとアスファルトで固められた都市を脱出し、土を耕すのだ。農業なんかで食っていけない、と思うかもしれない。それは、都市のために農業をしようとするからだ。それが、そもそもの間違いなのだ。そういう過剰生産が、都市を発達させたのだ。そうすればそうするほど、農民というものは、都市に搾取されて、おしまいなのである。そうではなく、自給すればいいのである。いや、自給しなくてはならない。
でも、お金もいると言うだろう。その通り、一人ですべてを自給はできないから。しかし、農業を普通にやれば、自給に必要な何倍も何十倍も作ることは、そんなに難しいことではない(何百倍も作るには、石油と大型機械が要る=お金が要る)
自給の余りを売ればいいのである。
自給とは、何も食料だけのことを言っているのではない。生活に必要なものすべて、農業生産に必要なものもすべてが、自給可能である。もちろん一人ですべてはできない。だから、助け合えばいいのである。それは、お金がなくてもできることだ。お金がないからできないなんていうのは、間違っている。
都市を捨てよ。土を耕せ!
★新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、私から皆様へのメッセージその2(2020-4-5)
色々なことが見えて来た。中国は凄い。新型コロナの爆発的感染をほぼ武漢だけで封じ込めた。ニューヨークでは、あれだけのことはできまい。東京も、2週間後には地獄を見ることになる。それにしても中国のように、テクノロジーと中央集権が結びついて個人を管理すると、あれだけのことができるわけだ。人口1500万人の武漢で1万人未満の死者で抑えたわけだが、放置していたら数十万人の死者で済んでいたかどうかも分からない。しかし都市封鎖の厳しさは尋常ではない。武漢市民は、QRコードで個人情報をすべて把握され、もちろん居場所も特定され、コロナウイルスの感染者、感染の可能性のある人、非感染者と3つに分類して、会ってよい人とそうでない人まで分けていてた。それは、アンチユートピア(ディストピア)そのものではないか。そうやって、管理されコントロールされ続けて生きることが、果たして幸せなのか?
日本は、いつの間にか中国に色々な分野で追い越されていた。日本が50年以上かかってやった経済成長を、たった10年でやってしまい、その後のスピードも凄まじい。しかし、今の中国のようになりたくはない。少なくとも、私はそういう国に住むことは、御免こうむる。繁栄のおこぼれに与れれば、自由でなくてもよいだろうか。それは別に国家体制だけの問題ではない。一応、民主主義国家とされている日本も、極度の忖度社会であって、どれだけの人が自由に生きていると言えるのか。多くの人は、上司にこびへつらい、やりたくもない仕事をお金のために仕方なくやっているのではないだろうか。
世界中で医療者が、戦争で最前線に赴く兵士のようになっている。国のトップが、これは目に見えない敵との戦争であると言って個人の自由を制限し、医療行為を勇敢な行為とあがめたたえる。それでも、高価な医療機器で治療を受けられる人は、ほんの一握りであって、最前線の医療者たちは絶望感を味わっている。どんなに医療が進んでも、ウイルスには決して勝てないのである。新型コロナウイルスのワクチンが開発されても、特効薬ができたとしても、また新たな別のウイルスが人類を襲うことだろう。医療で感染病には勝てない。武力で平和を作れないのと同じことだ。
災難は、忘れた頃にやって来るという。しかし、この災難というものは、絶望へのメッセージではない。人はどう生きるべきなのか。どう生きることが正しいのかということを、気づかせてくれる。もしこの新型コロナウイルスのパンデミックが起きなかったとしたら、相も変わらず人々は大都会で馬鹿騒ぎをしてグルメを楽しみ、ビジネスだの観光だのと言って成層圏にCO₂をまきちらすジェット機で飛び回っていたに違いない。その行きつく先は、地球資源を食い潰すか、地球環境を後戻りできないほど破壊するか、どうにもならなくなって戦争を起こして殺し合うか、そのいずれか、もしくはその全てか、いずれにしても滅亡の他はなかったであろう。
それを思いもかけず、そのような人間のどうしようもないエゴイスティックな生き方にブレーキをかけてくれたこの新型コロナウイルスは、天の救いとしか言いようがない。医療の危機とか経済の危機とか言っているが、そんなものではないだろう。
いや、そんなものでは済まされない。もっと劇的な変化が起こる。これは、人類を救うウイルスであったということを、後世の人たちは知るだろう。そのことに、まだ気づいていない人が多いことが悲しい。
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牧野時夫 MAKINO Tokio
046-0002 北海道余市郡余市町登町1178 有機農園えこふぁーむ
Tel/Fax: 0135-22-7431 mobile: 090-1382-7237
e-mail: m-ecofar@phoenix-c.or.jp
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