2017年5月17日水曜日

日印原子力協定の承認の意味すること

日本政府は、「核実験をすれば協定を停止する」という協力停止条項をベトナムやインド とは結びながら、インドとの原子力協定では、協定本文に明記しませんでした。これは、インドの原子力市場のビジネスチャンスを優先した、ダブルスタンダードです。
また、中国のアジアでの勢力拡大の反対するのにインドを牽引役と位置付けたということを朝日新聞は指摘しています。

日本政府の方針と外相の言い訳
日本政府はあくまでも原子力技術の維持を図るためには「原子炉を作らなければ意味はない」ととらえており、どういうことがあっても原発メーカーの後押しをし、原発輸出を更に更にようとしています。
野党は、「NOTの信頼性を傷つける」と批判しますが、岸田外相は「インドを国際的な不拡散体制の外側においたままにするより、何らかの不拡散の枠組みに取り込んでいく努力は必要」、また「交渉開始以来、インドが核実験を行えば協力を停止する方針で臨んできた。全体として我が国がめざすものは勝ち取れた。」と逃げています。

NPT体制の問題点
しかし政府野党間での論争で欠けている最大の問題点は、肝心のNPT体制の問題を論じていないことです。NPTは5カ国の大国だけが核兵器を持つことを前提にし、それ以外の国には核兵器を持たせないことを制度化したもので、その矛盾をただすべくNPOや核を持たない国からの批判はあるのですが、核を持つ国が核兵器を廃棄するという方向には進んでいません(トランプ米大統領はさらに核兵器を強化すると公言しています。核の廃絶を唱えたオバマ前大統領もまた、核兵器の小型化のために膨大な予算措置をしました)。何よりも、NPT体制は核兵器の拡散を問題しながら、原発の輸出を大前提にしている点にこそ、最大の問題があると私は考えています。

東芝の問題点
アメリカのWH(ウェすチングハウス)社は破産しましたが、親会社の東芝は原発輸出を止めるとは公言していません。原発の建設は、原子炉を含め重要な機材を輸出できれば、建屋をつくるなどの土木作業は下請けにさせるというやり方で東芝はいくらでもWH社が契約した原発建設の契約を活用する道はあるのです。東芝がアメリカの原発建設をしないと言ってきたことは、原発輸出をしないということではなく、WHに関連する負債の拡大を防止するためでした。私たちが求めるのは、東芝が原発輸出をしない、原発事業から撤退すると宣言することです。そうでない以上、私たちが提案してきた、東芝への国際的なBDS運動は不可欠です。私たち日韓/韓日反核平和連帯はBDS運動を進める運動を展開します。

原発に固執する政府の本音
私見では、瀕死の東芝を救おうとする銀行団の動きもそうですが、その大本は日本政府があくまでも原発輸出に固執していることです。政府が「苦境に立津原発メーカーを後押しする」のは、単なるビジネスチャンスを活かすということでなく、そこには原子力兵器(原爆)の生産をいつでも可能にする体制を維持・強化することが国益に叶うという安全保障政策を持ち続けているからと思われます。

これは戦後の復興から経済発展を成し遂げた日本の有り様を決定するもので、国益に叶うということが、憲法改正の動きと連動しているのではないでしょうか。日本の右傾化、歴史修正主義的な認識、政府間の日本軍慰安婦問題の合意の見直しへの反発、北朝鮮敵視政策(対話を進め、植民地支配の清算として国交樹立を求め、拉致問題などの懸案事項をその方向で解決せず、抑圧を強化する)、ヘイトスピーチ問題などは、すべて連動するものだと私は考えています。





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