2016年12月1日木曜日

韓国で蜂起した民衆への支持と国際連帯の表明



        韓国で蜂起した民衆への支持と国際連帯の表明

韓国の緊迫した政治状況は、民衆を再び歴史の主体として立ち上がらせている。朝鮮半島は歴史的に北東アジアにおける重大な事件の発生地となってきた。
韓国の民衆の間では、今回の蜂起は、遠く1890年代の東学農民革命にそのルーツをもち、日帝時代1919年の民族を挙げての3.1独立運動、さらには1960年の学生による4.19民主革命、70年代の民主化闘争、及び1980年代末の6月民衆闘争という荘厳な歴史の流れに連なるものであると自覚されている。

第二次大戦はヒロシマ・ナガサキへの原爆投下によって終結されたことで、米ソ等5ケ国の核兵器に拠る世界支配の始まりになり、それが現在のNPT(核不拡散条約)体制につながっている。世界的な冷戦体制は、国家の安全保障を名目にして、核兵器と核生産体制を増強させながら、東北アジアを核兵器の軍事競争と核発電所(原発)の建設を強化するターゲットにしてきた。2030年までには世界の原発の半分はアジアに存在することになる。フクシマはその必然的な結果である。

 核兵器と核発電は表裏一体であることは言うまでもない。日韓両国ともアメリカの核の傘の下にあって、経済利益を目的に、過酷事故を起こす可能性がある原発の輸出に力を入れている。両国とも大国の、新たな政治経済文化による植民地支配を受けながら、自らは米国の代わりに原発を製造・輸出することで発展途上国の住民を長期にわたる不安に陥れる植民地主義の国家になっている。大企業(財閥)がその先兵役を担っている。
国内的には、韓国は狭い国土に24基という世界最高の原発密度をもつ国になり、それでも朴政権はエネルギー確保を口実にしてさらに原発を増やす計画を発表した。原発の安全神話は慶州の地震によって完全に崩れた。古里原発立地地域の住民であるイジンソプ氏の闘いにより甲状腺がんは原発運営会社の責任という一審判決を勝ち取り、その後多くの住民が原告になっている。危険な原発が地方に建設され、大都市がそこから供給される電気を享受するということは国内植民地主義である。
日本は福島事故の原因も究明できないまま一度は54基の原発をすべて停止したが、今や再稼働を本格的に進めようとしている。毎日大量の汚染水が太平洋に流されているにもかかわらず、安倍首相は偽りの安全宣言をしてオリンピックを東京に誘致した。福島を離れた10万人の「棄民」は生活の保障を切られ、現地の子供の異常に高い甲状腺がんの発生が報告されている。それにも拘わらず、日本政府の支援を受け東芝、日立、三菱重工という大企業は積極的に原発の輸出を図っている。世界最大の原発メーカーになった東芝は今後15年間で45基の原発輸出を公表している。

本年10月福岡において、私たち「韓日/日韓反核平和連帯」は、今日の東北アジアの現場からアジア全体の状況を見渡すとき、現在展開されている原子力発電を含めた巨大な核産業体制とそれに癒着する政治経済軍事的な権力が、原発事故による壊滅的な放射能汚染をもたらし、新たな核兵器による大量破壊と殺戮を準備しているとの認識を深めた。
私たちは、民衆の受けた損傷と被害を癒し乗り越え、核に脅かされることのない自由な恒久平和の北東アジア圏を構想し、アジア緒民族さらには全世界の人々に向けた反核平和宣言(「福岡宣言」)を公表し、国境を越えた反核平和運動を展開することを決意した。

韓国の民衆による政治変革はアジアにとどまらず、世界の歴史を前進させていく大きな意味を持つと考える私たちは、この民衆による運動が、「解放後」の韓国に残された多くの植民地支配の残滓である歴史的な課題(日本軍慰安婦問題や韓国被曝者問題などにとどまらず社会の様々な分野に悪弊として顕在)を解決し、同時に、人権や人間性より経済を優先させた格差社会と原発依存社会となった韓国社会を根底から変革していく力になることを信じる。
最後に、韓国全土で200万人の民衆が参加したデモに屈して朴大統領は「任期前の条件付き退陣」の表明を余儀なくされたが、そのことでさらなる混乱が予想される政局にあって、私たちは、民衆が歴史変革の主体であることを改めて確認し、この特別なメッセージを発することによって、韓国社会の根底的な変革を求め続ける民衆に心からの敬意と支持・連帯の決意を伝える。韓国民衆が脱核宣言をし、韓国社会の持つ歴史的な課題に向き合い、新たな民主主義社会の建設に邁進することを心より期待する。


2016121

日韓/韓日反核平和連帯

 韓国代表    柳 時京
日本代表    木村公一
事務局長    崔 勝久



1 件のコメント:

  1. 崔さま、皆さま、

      今回の「韓国で蜂起した民衆への支持と国際連帯表明」を心から支持いたします。
    これから長い闘いになりそうですが、日本と韓国が連帯することの世界的な意味が、
    ますます大きくなってくるように思います。日韓反核平和連帯の誕生は、誠に時宜に
    適したものでした。心から感謝します。

    田島

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