2013年11月17日日曜日

島弁護団長、韓国で「原発メーカー訴訟」の説明会を行う、韓国で作られたQ&A

原発メーカー訴訟の弁護団長の島昭宏弁護士が韓国でソウル、大邱、釜山の3か所で今回の訴訟についてその意味と訴訟の内容についての講演会を行い、大きな反響がありました。MBCでは朝のニュースでその詳細を報じました。


また島弁護士の主張に応じて、韓国の若手弁護士が独自のQ&Aを作り、情報を広めていることが確認されました。原告数のみならず、韓国の独自の反核の運動の一環として今後大きな社会的な影響を与えることになると期待されます。
既存の法律が憲法に反しているという裁判をおこすことは今回の福島のような実際の問題が起こらないと日本ではできないのですが、韓国は憲法裁判所という制度があるために「原賠法」そのものを問題にすることが可能なようです。


<福島原発製造会社 世界1万人訴訟説明会>

韓国原子力損害賠償法の問題点と訴訟関連Q&A

福島原発製造社 世界1万人訴訟団ペ・ヨングン
(緑色法律センター副所長、常勤弁護士)

I. 韓国原子力損害賠償法の問題点

- S電子が作ったTVを見ていたが、突然TVが爆発して怪我をした。
- H建設が作ったアパートに住んでいるが、アパートにひびが入って雨漏りし、タンスが腐って使えなくなった。
- 血友病患者が治療のためにN製薬会社で作った血液製剤の投与受けたが、HIV(人間免疫欠乏ウイルス)に感染した。

こういう事件が起きたとき、被害者は誰にどんな責任を問うことになりますか?
すぐにS電子、H建設、N製薬会社を相手に、各会社が作った物(TV、アパート、血液製剤)によって生じた損害を賠償してくれという訴訟を起こすのが当然でしょう。根拠となる法律は製造物責任法(PL法)です。

ところが唯一、原発を製造した会社に対して、原発によって損害を受けた場合には責任を問うことができないようになっています。すなわち、原子力損害賠償法にある「責任集中制」というものためです。原発事故による損害については、原発運営業者、例をあげるなら韓国水力原子力のような会社だけ責任を負うことにして、原発を製造した会社は製造物責任法上の責任を負わないようにする規定です。

こういう規定は、事故が発生した場合、因果関係の立証が難しい被害者の立場を考慮して、原発製造会社の立場からは安定して原発製造の事業を推進できるようにするために作ったことになっています。しかし、因果関係の立証が難しいということは、すべての環境訴訟でも同様の問題です。特別、原発事故による被害者の場合にだけが問題になることではないのです。また、原発運営業者だけでなく、製造会社に対しても責任を問うことができるならば、責任を問えるところが増えますから、逆に被害者に有利になるだけで不利なことなどほぼないのです。それでもあえてこの規定を置いたのは、つまり安定した原発製造業を推進するためのものであることが、主な理由だと言えます。

ところがどうですか。この規定のために原発製造会社は安全のための十分に研究しなくても、原発を製造して売り、莫大な利益を受け取ることができるようになります。事故で倒産する危険もないですね。なにしろ後で、いくら大きい事故が発生しても全く責任を負う必要がないのですから。原発製造会社に対しても責任を問うことができるようになる時、原発製造会社ははじめて、さらに安全な原発を作るために努力することが可能であり、それが不可能だと判断すれば究極的には原発を作ることもなくなるのです。

II. Q&A

Q1. 日本の原発製造会社に対する訴訟原告として、韓国人が参加するのに法律的な問題はないですか? 似た事例があれば教えてください。
A.  何の問題もありません。
韓国内で被害者が訴訟を提起するためには、加害者の管轄裁判所に訴状を提出しなければなりません。国際訴訟でも同じことです。原発事故によって不安を感じて、海産物も思う存分食べることができない私たちすべてが被害者でしょう。こうした被害者の立場から、加害者である原発製造会社がある国、すなわち日本の裁判所に訴訟を提起することになります。
類似の事例ではハンセン氏病患者の訴訟を上げることができます。日帝による強制占領期間に、小鹿島(ソロクド)に隔離収容されたハンセン氏病患者が、日本政府を相手に日本の裁判所に訴訟を提起した事例があります。こういう訴訟が契機になって、日本政府は自ら補償金を支給したのです。

Q2. 原発製造会社に対して、具体的にいかなる過失について訴訟を展開しようとするのですか? どんな責任を問おうと考えますか? さもなければ原子力損害賠償法それ自体についての訴訟を提起するということなのですか?
A.この部分は島弁護士が詳しく説明して下さると思いますが、簡単に言えば、地震や津波が頻繁に発生する日本で、福島原発を製造した東芝、日立、GEの3会社が、このような地震、津波に備えて十分に安全な原発を作ることが出来ないかった責任を問う訴訟です。被害はQ1.でご説明した通り、原発事故以後生じた不安など精神的被害をいいます。
原発製造会社に対し損害賠償を請求するためには、原子力損害賠償法それ自体の違憲性を認定させることが先に必要です。韓国ならば、裁判所に原発製造会社を相手にした損害賠償訴訟を起こしながら、憲法裁判所に原賠法に対する違憲法律審判を請求できます。しかし日本では別途、憲法裁判所がありませんから、裁判所に損害賠償訴訟を提訴しながら、同時にその裁判所で日本の原賠法についての違憲審判も共に請求することになります。

Q3. 訴訟団として参加することになれば、原告としてどのような仕事をしなければなりませんか?
A.まず訴訟活動支援金を出されなければなりません~^^。大きい金額ではないから、すべての方たちが出してくださると信じます。
訴訟団へ参加し、日本での訴訟の進行状況に関心を寄せ、進行状況を周辺の人々に直接話も交わしたり、フェイスブックやツイッター等を通して広く知らせてくだされば錦の上に花を添えることになるでしょう。

Q4. 日本での訴訟過程と韓国ではこれからどんな活動を計画しているんですか?
A.日本での訴訟過程は、やはり島弁護士が紹介してくださるでしょう。韓国の訴訟団では、日本の訴訟進行状況を常時伝えながら、窮極的には韓国でも原発を閉鎖する政策を引き出すための活動をしていく計画です。条件が整えば、日本での訴訟と別に韓国で市民法廷を開く準備をすることでしょう。

Q5. 韓国の訴訟団として参加する人々の支援金はどのように使われるのかですか?
A.訴訟団として参加する方々が支払う支援金の1/3は日本の訴訟に必要とする費用であり、1/3は韓国の訴訟団運営費であり、残りの1/3は脱核運動をする他の団体などに対する支援金として使う予定です。その使用内訳は、次のポータルサイトの脱核カフェ(http://cafe.daum.net/atomausstieg)を通じて定期的に公開するようにします。

Q6. 追加質問

A.私が密陽(ミリャン)送電塔のために急に現場に行かなければならず、追加質問を受けることができなくて申し訳ありません。気になる点があれば、訴訟団の別の方々に伝えてくださったり、脱核カフェ掲示板に上げてくだされば、私が分かる範囲でお答えします。

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