2013年1月9日水曜日

歴史的検証:原発被害者の調査は核戦略に利用され、今の原発事故につながった

NHKスペシャルをFBで知り観ました。その感想をTwitterとFBで流しました。

必見です。「封印された原爆報告書 」<NHKスペシャル 2011/4/8>、敗戦の前に陸軍は広島長崎の被爆者の実態調査を行っており、敗戦後は徹底した調査を開始し、110冊の調査報告書を英語に翻訳してGHQに提出している。患者の治療より、核兵器の効力を知り、戦略的な用途に使われた。

必見です② http://www.dailymotion.com/video/xkca1f_yyyyyyyyyy_news#.UOvS8G_zWE1 … 入市被曝(後日広島に入っての被曝)は記録があったにも拘らず認められてこなかった。日本陸軍は731部隊の秘密を守る為にアメリカに原爆被爆者の資料を提供した。原爆を落した者と落とされた者との利害の一致。原発軽視の原型がここにある。

1.「封印された原爆報告書」の紹介


これは2011年4月8日に放映された過去のものですが、ここから多く学ぶことがあります。
日本陸軍は原爆投下の直後から広島に医師、科学者を派遣し調査をしました。敗戦後は1300人もの調査団を送り、被爆者の治療よりも、新爆弾の威力はどのようなものか、放射線を浴びて人間はどのように死んでいくのか、体を蝕んでいくのかを克明に記録しました。                                      

それを英訳してアメリカに提供したのです。
アメリカの国立公文書館に180冊のノートで保管されています。






マッカーサーの主治医で調査団の代表の部下であった医師の証言です。日本陸軍は被爆国当事者でないと収取できないような貴重な記録の提供を自ら申し込んできたというのです。
どうして陸軍はそのような「協力的な姿勢」を自ら示したのでしょうか?ここには原爆を投下された国と投下した国の利害の一致があったのです。


陸軍は敗戦で陸軍に不利になるような文書の「隠滅」を命じます。満州国で731部隊は捕虜の人体実験を行っていたのですが、連合軍は捕虜への虐待を厳しく罰する方針でした。戦争犯罪の疑惑と新たな日米関係を作りたい日本は、「アメリカの心証をよくするために」彼らが欲しがる原爆の威力を証明する資料を「カードとして」提供するのです。アメリカは念願であった原爆の投下の威力がどのようなものであったのか、その殺傷能力はどれほどのものであったのか知りたがっていました。

日本の調査団の資料の中で最も「貴重」なものは、「原爆の医学的効果」という本に引用された、広島で原爆で死んで(殺されて)いった子どもたちのデータです。17000人のデータで、爆心地からの距離と死亡数の関係が死亡率曲線としてグラフになっています。アメリカのとっては「革命的な発見」でそれを核戦略に利用するのです。当時敵であったロシアの主要都市に原爆を何発落とせばいいのかということを記した資料が残されています。


「封印された原爆報告書」のなかに、ある医師の手記が残されていました。「入市被爆」、原発投下時、広島にいなかったのにその後広島に入って直接被曝者と同じ症状に苦しんだことが克明に記されていました。アメリカ調査団が注目したことはいうまでもありません。今でいう、放射線物質が体内に入った、内部被曝による死亡です。

被曝者の集団訴訟がはじまるのですが、日本政府は、「入市被爆」を被曝者とは認めませんでした。アメリカに提出された資料の中にあった具体的な事例が明らかにされていなかったからです。

2.私の感想 広島・長崎で被爆した数十万人の中に在日朝鮮人は6万人に及び、彼らは日本の被爆者と同じ待遇を受けられず、韓国に帰った人が日本に来て裁判を起こすなので筆舌に表すことのできない壮絶な闘いの末に、ようやく一定の補償を受けるようになりました。しかし治療費の問題はまだ未解決です。また在韓被爆者の2世が放射線汚染による遺伝子の異常によるのか、病に苦しんでいる人が声を出し始めています。日本では被爆者2,3世は被爆者差別を恐れ、声を上げなくなっているとのことです。

在韓被爆者2世の証言
http://www.oklos-che.com/2012/02/1945747410102002700-hanjeongsun111walk9.html

深刻なのは、北朝鮮に帰国した被爆者です。彼らは一切の治療を受けず苦しみ、今に至っています。まだ数百名の人が生きているとのことです。在韓被爆者、従軍「慰安婦」、無賃金で働かされた労働者の問題、いずれも韓国憲法裁判所は、韓国政府の不作為を憲法違反に断じましたが、これは日本政府への働きかけをしろということです。

「3・11時代」公開シンポジュームに参加してー植民地主義の見直しを
http://www.oklos-che.com/2011/12/blog-post_5520.html

No More Hiroshimaが叫ばれ、3000万人を超す原発反対の署名が集まりました。全国の地方自治体の90%が非核宣言をしています。しかし、原子力の平和利用という美名の下、日本では54基もの核(原子力)発電所が建設されてきたのです。

90%もの地方自治体が非核宣言をしてたんですね、原発を認めながら 
http://www.oklos-che.com/2013/01/blog-post_7.html

安倍政権は再稼働はおろか、新規の安全な原発の導入さえにおわすようになりました。NHKの作品から何を学ぶのか。それは原発体制とは戦後の植民地主義であり、原発は平和利用ではなく、核兵器と表裏一体であるということです。反原発の闘いは、戦前・戦後の歴史を踏まえた日本社会のあり様を根底から捉え返すものでないと、領土問題などで一挙に足元をすくわれるような、根のない運動に終わることでしょう。

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