衆議院第一議員会館多目的ホールにて、100名ほどの参加者が、原子力安全保安院・原子力安全委員会・経済産業相の各担当者に対して事前に提出していた「福島事故の実態・原因と原発の運転再開をめぐる条件に関する質問・要請書」(提出団体125団体、CNFEも参加)について回答をもらい、その回答についての質疑応答の時間をもちました。時間は90分の予定が3時間を超し、運動として一歩前進というところまで行ったように思います。
要請事項は二点です。
1.国会に設置された事故調査委員会の調査・検証を尊重し、少なくともその結論が出るまではストレステストの評価結果をださないこと。
2.福島事故の実態と原因が解明されるまでは、大飯3号、伊方3号、大飯4号、泊1号などのストレステストの評価など、運転再開の準備を停止すること。
まず冒頭、原子力安全保安院の課長が事前に提示された質問に答えたのですが、すべての質問に同じ回答で何を聞いても同じ答えしかしないというひどい対応でした。さすがに場内からは回答者を変えろコールが出る始末で、壇上に並んだ10名ほどの官僚もさすがにひどいと思ったのか上司を呼んでくることになりました。
問題の核心は、津波によって原発の事故が発生したと政府は説明をしてきたのですが、実は地震が起こった段階で配管は破損し、放射能は漏れていたのではないのかという点です。もしこのことが事実だとすれば、全国54基の原発すべてについて、同じ規模の地震がくれば同じ事故が起こる可能性があるということになります。想定していなかった津波の大きさによる被害ではなく、既に地震によって放射能が漏れたのですから。
保安院は最終的に、地震による配管のひび割れの可能性、放射能物質が出た可能性は否定できないということを認めました。ところが、ストレステストは、地震による配管のひび割れはないということを前提にしているのです。こちら側は福島事故の究明がなされない限り、ストレステストに入るべきではないというのですが、保安院は頑なに「新たな知見」があればストレステストの内容を変えるので、原因究明・実態調査とストレステストは並行して進めるということを譲りません。今日は、「実態調査」は必要ということで終わりました。運動側はその結果を追求することになります。しかしここで東電側がどこまで事実を明らかにするのかという問題が出てきます。保安院は、東電の中間報告さえ正式なものとして認めていない、まだ受けていない報告もあると言っているくらいですから。
実際の質疑応答は、細かい専門的な単語を使いながら実際に起こったこと(災害時に書かれたホワイトボードの文字や、放射能測定器が振り切れた(OS-Over Scale)こと、タービン建屋から聞こえた来たシューシュー音の意味についてなど)ことについての先方の説明、解説それに対する反論が続きました。それらの些細に見える事柄が実は放射能が漏れていたことは認めるのか、放射能がどのルートを通って漏れていたのか、その原因は何か、それは結局は地震による配管の破損であり、そこから放射能が漏れたということではないのかという点を巡っての攻防になるのです。
最後に防災範囲についての話になりました。福島の事故によって、これまで設定された限られた範囲ではなく、30-50キロに至る範囲にまで放射能が拡がっているのですから、一定の数値にもとづいて線引きされた地域との安全協定締結で終わらず、その近隣の地方自治体にも説明と理解は必要という言質をとることができました。ストレステストを終えても協定を結んだ地方自治体及び、近隣の地方自治体の同意と理解を求めて再稼働を進めるという建前なのですが、ことはそんなに簡単でないように思えます。
今回、福島瑞穂議員は冴えわたり、保安院から確認をとること、国会の調査会の結果を重要視して勝手に結論をださないことを求め、会場の拍手が起こりました。しかし保安院を含めた官僚は、政府案に従う、議員の意見は理解したという域を超えませんでした。これからもこのような地道な質問を提出し続け、官僚を追い込み、しっかりとした言質をとることが大きな運動につながると思いました。
また遠く北海道、佐賀、福井、京都からも多くの参加者があり、お互いの信頼と強いネットワークを感じました。参加者の質問は鋭く、次回が楽しみです。佐賀の玄海原発プルサーマル裁判をしていたグループは、玄海原発4基すべての運転停止を求める裁判を起こすことを決め、その原告を全国から募集することを説明していました。九州は12月25日に6基すべての原発が一時停止するのですが、ここを再稼働を許さない運動に成功すれば全国に波及する影響は強いものと思われます。なんとかしたいものです。
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