2011年12月19日月曜日

朝日の社説を批判するー元「慰安婦」問題について

12月19日の朝のテレビ番組では昨日の野田首相と李大統領の会談の内容はほとんで触れられず、三面記事の報道が大部分でした。はやり私達が危惧したように、日本のマスコミは元「慰安婦」問題についての
日本政府の対応について曖昧な対応に終始したように思われます。

これはツイターでも同じで、「慰安婦問題について書きたいことは実にたくさんあるけれども、ネットで書くのは怖すぎて、ずっと抑制している。・・・日本の「国民感情」にさらされて、何も書けない」とある「在日」の女性が書いている通りです。田母神俊雄は、「昨年の菅総理の日韓併合100周年の謝罪談話など我が国政府の腰の引田対応が韓国をどんどん居丈高にさせるのです」とつぶやいています。

居酒屋チェーンのオーナで都知事に立候補したわたなべ美樹は、「慰安婦問題や領土問題 確かに大切な議論ですが、優先順位としては、経済連携や安全保障連携が先ではとかんがえてしまいます」ととぼけたことを書いています。

池田信夫は何度もつぶやきを繰り返しながら、「慰安婦」問題は朝日の捏造と強調しています。全般的にこの手のつぶやきが多く、日本政府のあり方についての批判は見られません。また、「お互いが署名した条約を反故にすることは許されない。」などという事実関係を知らないで反発だけをしているものも多く見られます。

「「慰安婦」問題での政府の不作為を違憲とした、韓国の憲法裁判決定の意味すること」(12月13日)の私のブログを参照してほしいのですが(http://www.oklos-che.com/2011/12/blog-post_13.html )、協定第3条には、「両国の間に解釈をめぐる紛争があるときは、まず外交上の経路を通じて解決を図る。それで解決ができない場合は、両国と第三国の委員を加えた仲裁委員会を2か月以内に立ち上げ、その決定に服する」とあります。韓国政府は、この路線には沿わず、人道的配慮で解決を求めたものの思われます。野田首相は、「人道的な見地から知恵を絞っていこう」と語ったそうです。

「慰安婦」問題を「捏造」したと右翼の論客から糾弾されている朝日新聞は、今日の社説では、「日本は何もしてこなかったわけではないのだ。」と書きながら、「人道的に着地点を見出していく」ことが、「政治の仕事」として暗に野田首相の決断を促しているように読めます。アジア女性基金に触れ、これが「政府の明確な賠償でないとして、韓国で受け入れられなかったのは残念だった。」「橋本首相ら歴代首相もおわびの手紙も用意した。」と、韓国社会の頑なさを批判しているように読めます。

これは大佛次郎賞を取った朴裕河が書いたことに近い論点です。韓国人が韓国社会に「日本が何もしていないわけではない」と説明することは、それでそれでわかります。しかし、朝日新聞は、日本政府の謝罪と賠償が欲しいと元「慰安婦」のハルモニ達当事者が訴える声を無視しています。日本軍が関与した「性の強制売春」の犠牲者が日本政府の正式な謝罪と賠償を求めたいというのは、当たり前のことです。私がツイターで論争して、最終的には日本の青年も認めざるをえなかったこのことに、どうして朝日や日本の識者は触れないのでしょうか。朝日の曖昧な姿勢を批判します。

もちろん私はソウルの1000回の抗議行動に呼応して日本で1000名を超える人達が、あの寒い日に、抗議行動を起こしたことは知っています。誹謗中傷のなかで分裂してきた日本の運動が消滅せずに抵抗の姿勢を見せていたことに正直、私は驚き、敬意を評したい気持ちです。しかしながら李大統領の政治的な動機の詮索より、私は韓国の市民運動が最終的に自国の大統領に「慰安婦」問題に言及させたことに注目すべきだと思うのです。もちろん、韓国憲法裁判所の不作為を糾す「違憲」判決もありましたが、その背景には、ハルモニたちの思いを最優先して支えてきた韓国の市民運動、そしてフェミニズムの運動があることに注目したいと思います。日本と同じ「戸籍」制度をなくしたのもおそらくそのような運動があったからでしょう。

民主党の前原議員も前向きな解決に言及しているようですし、現在の日韓関係からすると、韓国大統領の「慰安婦」問題解決を求める発言に対して日本政府が反発することも無視することもできないでしょう。ここは最終的にどのような誠意ある対応を日本政府が示すのか、注目されます。

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