リニアカーは夢の新幹線ともてはやされてきましたが、一体、東京~名古屋間で30分短縮するのに何兆円もつぎ込むほどのものでしょうか。既にJR党側はこれまでの主張を変え、新たな駅の建設は全額負担すると言い出しました。なんやらJR側の長期返済方法の変更も国会で認められたようです。彼らはいよいよ、意気揚々と本格的な活動をしたいようです。
川崎市の地下4-500メートルのところを掘るようですが、そのためには立て坑4か所を地上にいずれも野球場ほどのスペースが必要になるそうです。川崎市議会でも審議されるのですが、先に国の方針ありきで、議員や住民に誠意をもって説明するような姿勢ではないようです。電磁波の影響を問題にする人もいます。
私たちは何よりもJR東海の責任者が原発の再稼働を求める発言をしたことを重要視しています。リニアカーは磁石で地上に浮かせるために大量の電力を必要とするのです。それがどれほどのものか公にしていませんが、原発5基から供給されるくらいの電力だと聞いてます。詳しく分かり次第、みなさんに報告します。
さらに注目すべきことは、民主党がだしてきた新成長路線です。日本経済の停滞を打破するために、原発と新幹線(リニアカー)がその目玉です。いずれも輸出を前提にしているので、日本国内で運用している実績を作らないといけないのです。政府が福島事故の原因の究明もできていないのに、ストレステストでもって再稼働を急ぐのには彼らなりの理由がありそうです。「脱原発かわさき市民」のメンバーのふたつの報告を掲載します。
崔 勝久
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
伊藤です。
18日(日)午後5時半から8時過ぎまで、リニア問題の沿線活動の集いがありました。麻生市民館。第3会議室。呼びかけの中心は「リニア・市民ネット」懸樋さん他。司会:市民ネットの山田さん。
脱原発かわさき から木村さん、西村さん、鈴木さん、古野さん、伊藤が参加。全体では25名出席。 初めての参加者がおよそ6割以上。
リニアをずっと追求している「リニア・市民ネット」に触発されつつ、川崎、横浜、町田、稲城、鎌倉、など各地でグループが立ち上がっており、それぞれ進めて来たなかで、11月27日に初顔合わせをしたところでした。今後の活動を進めるに当たり、当面の課題と進め方を話し合う機会になった。以下の4つを議題として話し合いました。活発にたくさん意見が出て、互いの理解が進んだと感じます。
掻い摘んで要点を書きます。 詳しくは、連絡会の「メーリングリスト」と連絡取れたら、更に追加報告できます。
Ⅰ:リニア問題を進めるに当たっての「理念と方針」
①リニア問題とは何か。正しい情報収集と学習を進める。
②JR 東海、国土交通省、県・市の説明は分かりにくく不十分。今後、納得出来る説明を
要求する。
③それまでは、リニア新幹線の建設を認めない。
④市民に広く知らせて行く。
Ⅱ:会の名称。
各個人、また各グループの考え(の差)が出て意見百出、相当の時間を掛けて討論した。地域ごとに運動体をしっかり作って、その上で大きい結集を図る事が本来的なかたちである。 ただ、JRが建設をどんどん進める情勢も踏まえ、広範なネットワークがいずれ必要との点から、ひとりからでも、すぐにも参加出来る形が必要。
名称は、<リニア新幹線を考える東京神奈川連絡会> と決まりました。
Ⅲ:当面の活動計画。会の進め方。
①情報収集と学習会。
・川崎の学習会を紹介(1月28日。多摩市民館。講師・懸桶さん)
・JR東海への「意見書」。 6百通に及ぶ市民の疑問、意見を確認し活動に生かして行くべき。
②同じく、川崎市環境影響評価審議会の第二回、「質疑」への傍聴を呼びかけ。
(20日午後1時半開始、市第三庁舎18階)。この件は、市民・リニアネット・藤田さんも知って
いました。
③麻生の後藤さん ”脱原発を進める会かながわ” 事務局。
1月29日(日)11時~13時 「ありがとう・さようなら☆原発パレード」
2月19日(日)11時~13時 「さよなら原発」
青葉区青葉台公園。 かなり熱心に展開している若い世代のグループで、とても頼もしい。
④来春4月に「シンポジウム」を開こう。そのため、まず会場確保の手配を打ち合せ。
てくのかわさき、多摩市民館、麻生市民館、その他を当たる。
⑤次回連絡会 1月21(土)PM6時から。 麻生市民館第3会議室。
次々回連絡会 2月12日(日)PM6時から。 麻生市民館第3会議室。
18日の討論を以って、県内、市内から東京を含めた圏域でのリニアの活動は、一歩進んだ段階に来たと言えます。 私たちも今後の進展を更に図って行きましょう。
差し当たっては、明日20日に審査会傍聴に参加を訴えます。
希望者が多数の場合は抽選だそうですから、なるべく早めに行きましょう。
審議会傍聴を! 12月20日(火)午後1時30分開始。
川崎市役所第3庁舎18階大会議室
先日の審査会については、詳しくは12月6日の 天野さんメールを参照してください。
★ 伊藤英雄 ★
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リニア新幹線情報資料第二弾
リニア建設、川崎市民の不安が解消されるのか心配だ
建設ありき、スケジュールありきで審議すべきでない
リニア新幹線の川崎市内でのアセスを審議する川崎市の第6回環境影響評価審議会が12月20日午後1時半から市役所第3庁舎18階の大会議室で開催された。JR東海からは中央新幹線建設部の福田部長ら6人が出席した。
今回は、前回のJR東海の事業説明(方法書)について質疑が行なわれる予定だったが、JR側の市民、神奈川県民のパブコメの補足紹介に対し、委員から事業計画の方法書(概要説明)への疑義、不満が相次いだが、市民が期待する実質的な審議は行われなかった。戸田委員長の裁断で、各委員の個別意見を一週間以内に審議会事務局に寄せ、事務局がまとめたものを会長、副会長が集約し決める段取りとなった。
JR側の姿勢は、川崎市内の軌道設置コースや工事期間、立て坑の場所や建設時期については準備書段階で明らかにするというもの。国の認可を受けた事業であり、まず「建設ありき」が基本にあって、その目的に向かってスケジュール通りに事を進めようという狙いが窺える。一方、審議会にも問題がある。提出された方法書が「市民の意見を反映しない、かつてないほどいい加減なもの」(戸田委員長)、「方法書には法や条例への対応が無い」(委員)なら、突き返して出し直させればいいのに、「もう報告書はできてしまったから」、「他の自治体も絡む話だから」(ともに委員発言)など、私たち市民が首をかしげる進行も気になった。
また、この日、発言したのは20人の委員のうち、会長を含め5人だけで、ほかは、会長が再三、意見表明を促したにもかかわらず押し黙ったまま。市民の意見も、方法書も前回審議(12月7日)で渡されているのに。これでは、手当を得るために出席しているだけと言われても仕方がない。パブコメで、市民から100%近い疑念や不安が寄せられ、それらに応える役割と責任を、JRだけでなく審議会のメンバーも負っていることを忘れてはならない。そして、公開の審議会の場ではなく、文書による意見集約の形で事が決まるなら、それは市民不在の密室協議と同じである。専門委員は専門的技術を駆使して、また公募を含めた市民代表の委員も市民目線に立った責務を全うし、市民の負託にてほしい。
<審議概要>
JR東海の補足説明
神奈川県民、川崎市民からのすべての意見を紹介できないが、前回できなかったものを紹介する。
「沿線の緑や環境を破壊する。立て坑建設も同じだ」
「東海大地震が発生する可能性が大なのに無謀だ」
「トンネル内で事故や火災が起きたらどう避難するのか」
「原発事故で廃炉や停止、新たに原発は作れない。大電力をどう確保するのか」
「立て坑出口付近の騒音、電磁波の心配」
「トンネル工事で水脈を分断し、地下水が枯渇するのでは」
「工事残土はどう処理するのか」
審議会会長
「何のために市民から意見をもらったのか。ただこのような意見がありましたと、ごく一部を紹介して、それでいいのか。方法書を作るにあたって県民、市民の意見をどう反映させたのか」
JR東海
「それはこれからやります」
会長意見
「すぐ、やってくださいよ。何を考えているのか!」
安全性は東日本地震で実証済み
JR東海
「わかりました。まず、リニア中央新幹線建設の目的と意義ですが、東京・名古屋・大阪の3大都市圏のアクセスを現在よりも1時間短縮でき、そのことで、①日本経済と社会活動を活性化できる、②リニアというインフラ新技術の開発で産業の高度化、振興がはかれる、ということです。(以下、対策についてのJR東海の説明)
■立て坑の建設場所は、高度に発展した市街地が避け、企業用地や公共用地を利用する。立て坑工事ヤードについては緑地の保全に努める。
■大電力を消費することについては、インフラ整備の電力は確保されるべきと考える。
■地震の発生については、東日本大震災でも東北新幹線は大きな被害を受けていない。阪神淡路大震災以来新幹線の耐震基準は厳しくなった。リニアでもその基準で実現する。またリニアは軌道から10センチ浮いて走行するので地震時に脱線するとは考えていない。
■緊急時への対応は、客を誘導する係員を乗車させる。列車が止まった場合は、緊急時は乗客を車外に誘導し、トンネル下部空間を通り、5~10キロおきにある立て坑の昇降機を使って地上に避難する。
■川崎市への方法書は条例に基づいて作成した。評価項目の設定については国交省のものを参考にした。
■トンネル工事にあたっては地下水脈について地質調査を行い、専門家の意見を聞く。工事残土はリニア建設の別の現場で使うか、他の公共事業に活用する。残土の置き場所は県や関連市町村と相談する。
■電磁波の影響はない。WHO(世界保健機関)が定めた国際基準を採用しており、立て坑出口、周辺でも電磁波というレベルではない。リニアの基準は国の評価でも妥当性が認められている。
■立て坑付近の振動(微気圧波)は、地下に緩衝坑やあかりフードを作るので心配ない。
委員質問
「いつ着工して、どのくらい工事にかかるのか。市内の立て坑はいつ作るのか」
JR東海
「平成26年に評価書を作り、同年度中に着工する。軌道と立て坑建設も同時に着工したい。工事期間は13年。東京・名古屋間の開業は平成39年が目標。建設費用は自己負担。現在の債務5兆円を超えない費用にする。名古屋以遠の工事はそれからで、全線開業は平成57年になる」
軌道、立て坑は平成26年度に同時着工、39年開業目指す
川崎市内に立て坑4か所
委員質問
「川崎市内の路線はどうなるのか。立て坑工事はいつからか。それがはっきりしないと議論できない。前段でそういう具体的なプランニングがあるべきだ。口頭説明だけでは精査できない」
JR東海
「準備書の段階までに詰めて、それから説明する」
委員質問
「シールド工法でトンネルを掘るというが、24時間工事するのか」
JR東海
「立て坑工事を含め、基本は昼間にやる。何かトラブルがあった場合は夜間もありうる」
委員質問
「実感がわかないので質問したい。神奈川県、川崎市内の工事区間は何キロか。立て坑は何か所作るのか」
JR東海
「名古屋までの総延長は280キロだが、神奈川内は40キロ、うち川崎市内が20キロ程度である。トンネルの部分はまだ幅3キロまで詰めとなっており、正確には決まっていない。立て坑の場所も決まっていないが、20キロだとなれば4か所になる。その工事ヤードは5千~1万平方㍍。市内のルートの絞り込み、立て坑の場所は準備書で公表したい」
委員質問
「方法書は分かりにくい。アセス段階で自主的に作られたものであり、法的に検証されたものではない。一般の人は制度に基づいて作られたと思ってしまうだろう。法律でやるべき評価、条例でやるべき評価を書くべきでないか。方法書の意味合いを理解しているとは思えない」
JR東海
「アセス法の改訂に基づいて書いている」
委員意見
「川崎市の条例に見合う記述が無い。方法書は法律に見合う本アセスと、川崎市の条例に見合うものと二本立てにするのが普通ではないか。条例の評価項目に対応すべきではないのか」
JR東海
「申し訳ない」
会長意見
「申し訳ないでは検討できない」
方法書は中身が無い、でも作り直しさせると審議が遅れる
委員質問
「リニア新幹線ができた場合、運行本数は?」
JR東海
「名古屋まで開業時点では一時間に5本、大阪まで開業時には1時間に8本を予定」
会長意見
「大工事になるのは日本中が知っている。それにしては方法書の中味はプアだ。川崎市の審議会なのに市内の工事について具体的な説明が無い」
委員意見
「方法書としては中身が無い。最先端の技術で作るというが、コストを考えると危うい。住民に不安がる。市民の意見をどう反映させるのか不安になる。技術や視点を個々の地域の環境特性に合わせるきめ細かな方法書ならいいのだが」
(JR東海退席)
委員意見
「他の自治体の評価審議とも絡む。川崎について方法書をやり直させれば大幅に審議が遅滞する」
会長意見
「個別に意見をもらっていくしかない。方法書についていくら批判してもらってもいい。事務局に丸投げするわけではないが、委員の戸別意見を事務局に提出してもらって、それを整理したうえで会長、副会長に伝えてください。これほど批判が出たのは初めて。方法書は出来てしまったから、準備書には反映してもらいたい」
(以上文責=脱原発かわさき市民の会・天野捷一)
0 件のコメント:
コメントを投稿