韓国のハンギョレ新聞が12月5日に報道したニュースですが、これは私が何度もブログで伝えてきた、東芝へのビル・ゲイツの投資と関連することだと思われます。いよいよビル・ゲイツが買収したアメリカのテラパワーと中国が共同して具体的に新型の、より「安全な」原発の実践段階に入るようです。ビル・ゲイツは何のために東芝に数千億円を投資したのか、それはテラパワーと東芝の技術提携及び原発の生産に関わるものでしょう。スリーマイル島事故から34年の間原発を建設をしてこなかったアメリカで、中国の原発建設を受け持つことができるのか、私には疑問です。ビル・ゲイツには東芝の協力が必要だったのです。
アメリカで新規の原発2基の建設許可を受けたのはWesting House社であり、これは東芝が87%の株をもつ子会社です。そうすると、Westing House社と東芝は一体であり、ビル・ゲイツが東芝に投資をしたことでアメリのテラパワーと東芝が結びつき、同時に、Westing Houseと韓国の現代社との関係の深さを考えると、現在13基の中国原発が2050年までに160基に増やす過程で、この巨大市場に向かって原発関係の役者が勢ぞろいし始めたと、私の目には見えます。中国はこの間に原発開発のノーハウを学び、海外への輸出に向かう可能性もありそうです。古くなった原子炉を新型に代えるビジネス需要は高いとビル・ゲイツは踏んだのでしょう。
これらの進展状況は、脱原発を唱える多くの人たちの願いを嘲笑い、エネルギー需要を求める新興国に対して、彼らのニーズにこたえるものとして更なる原発輸出を進めることを意味します。野田首相が日本の新成長戦略のコアーに定めた原発産業は、フクシマ事故の原因も定かでないなか、汚染された土壌・瓦礫の処置方法も明らかにしないところで(汚染された土壌を一定の器にいれて海中深くに落とす研究が進行中です)、日本の技術は「世界最高水準」と宣言し、放射能に怯える多くの民衆の声を完全に無視して邁進します。
現状の原発に問題が多いということを指摘すればするほど、それらの問題点を克服し、人類の貧困や気候の変化に寄与できる、画期的な技術であることが強調されます。「「ゼロへのイノベーション」 ビル=ゲイツ、エネルギーについて語る」http://www.ted.com/talks/lang/ja/bill_gates.html 大変な自信と説得力です。ここで語られた内容が今回の中国で実際の実験炉になり、それを成果として量産化していく計画です。参考までに、「ビル・ゲイツ、東芝が開発する次世代小型原子炉(進行波炉)」 http://matome.naver.jp/odai/2130302953982482301 を見てください。
彼らの主張する新たな技術は以下のことを謳っています。
進行波炉(Traveling Wave Reactor)主な特徴
1.劣化ウラン(U238)を燃料とすることが可能なので、従来は核燃料を精製する際に廃棄物として捨てられていた副産物を燃料とできる。廃棄物は世界中に大量に貯蔵されているので燃料には困らない。
2.核分裂性物質(U235)が必要なのは点火時のみ。
3.一旦燃料に点火すれば、燃料供給も、使用済み燃料の除去もなしで50~100年(理論上は無限に)動き続けることができる。
4.核燃料の精製施設、再処理施設が不要
5.ウラン濃縮が不要なため核兵器の拡散を防げる
現在の原発の問題点を指摘すればするほど、それを乗り越える技術だと反論してきます。従って、原発の即時廃止論は、それを訴える気持ちはわかりますが、私には有効とは思えません。フクシマ事故は管理能力のなさと、施設の古さと自然の脅威と片付けられ、そのような「災害」に影響されず、放射能汚染の心配のない原発を強調してきそうです。日本で新規の原発を防げても、新型の原発の輸出を増やし、それを既成事実として古い原子炉を代えようと議論がきっと巻き起こるでしょう。ビル・ゲイツらの新型原子炉は一種の増殖原子炉です。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%B2%E8%A1%8C%E6%B3%A2%E7%82%89 <一日も早い原発の廃止>を唱えながら、原発体制が生まれてきた社会構造、地方の格差を直視し、同時に「安全な原子炉」を論破する科学的な見地からの学習会も重ねていかないと、足元をすくわれるようなきがします。
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「ビル・ゲイツ、中国と原発開発中」
「廃棄物汚染を少なくする原子炉 中国国営企業「研究進行中」
(韓国ハンギョレ新聞 12月5日)
マイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツが中国国営企業と新型原子炉の共同開発を推進中であることが分かった。中国原子力発電所開発の責任を負っている国営中国核工業集団公司の孫勤会長は去る2日、北京で開催されたあるフォーラム演説で「ビル・ゲイツが私たちの会社とともに新型原子炉共同開発に対する研究を進行中」と明らかにしたと<中国新聞社>と香港<サウスチャイナモーニングポスト>らが5日報道した。孫会長は「ゲイツが設立した会社が私たちと協力中で、彼が数日内に私たちの会社を訪問するだろう」と話した。
孫会長は新型原子炉技術に関する細部的内容を明らかにしなかったが、中国核工業集団公司ホームページにはゲイツが会長を受け持っているテラパワーが2009年から核工業集団公司と進行波原子(TWR,Travelling Wave Reactor)開発と関連して協議をしており、ゲイツがすでに少なくとも2回にわたり核工業集団公司を訪問したというニュースが出ている。ゲイツは去る6月に中国核工業集団を訪問し協力問題を議論し、9月にはテラパワーのジョン キランド最高経営者が孫勤会長と会いこの問題を協議した。
進行派原子炉の概念は長期にわたり理論上だけで存在したが、ゲイツの友人であるネイソン ミルボルドゥがこの理論を活用して開発に入り注目され始めた。 ゲイツもマイクロソフト会長職から引退した後、清浄エネルギー技術開発に乗り出している。
テラパワーが設計した進行派原子炉はまだ商用化されたり試験稼動されたことがない。既存原子力発電所である軽水炉は7年に一回ずつ燃料を注入しなければならないが、テラパワーは進行波原子炉が原子力発電所を稼動する時に出てくるウラニウム廃棄物をリサイクルし100年以上にわたり燃料供給の必要がない次世代原子力発電所だと広報している。廃棄物が少ないため汚染が少ない清浄技術であり、ウラニウム濃縮や再処理を減らし核兵器化の危険も減らすというのがテラパワー側の説明だ。
テラパワーは進行波原子炉を購入して実際に稼動する国家を探してきた。中国がその初めての国家になるかはまだ明らかでないが、最も大きな関心を見せている国家だ。廈門大学 中国エネルギー経済研究所の林伯強 所長は「中国の巨大な核エネルギー市場を考慮すればゲイツにとって中国は申し分なく良いパートナーになるだろう」と話した。
去る3月日本、福島原子力発電所事故以後、中国政府は新規原子力発電所許可を保留し既存原子力発電所の安全点検に乗り出したが、最近では国家核安全局や核工業集団公司などを中心に原子力発電所計画を再推進しなければならないという声が高まっている。
中国では現在13基の原子力発電所が稼動中だが、生産電力は10.8GW(ギガワット)で中国電力需要の2%にもならない。だが、福島原子力発電所事故以前に立てられた中国の‘原子力産業長期発展計画’は2050年まで160余基の原子力発電所を建設し原子力発電所で生産される電力を400GWに増やすという目標を設定した。
北京/パク・ミンヒ特派員 minggu@hani.co.kr
原文: http://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/508553.html 訳J.韓国のハンギョレ新聞のファンクラブであるハンギョレ・サランバンの翻訳引用(一部変更)
希望もない。暗黒の世界
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