2016年4月30日土曜日

訪韓報告(4月21~27日)~国際連帯運動の戦略を求めて

4月21~27日までの韓国訪問の報告をいたします。
3月23日、東京地裁は、原発メーカー訴訟において突然、十分な審議をなさずに弁論の終結を言い渡し、7月13日の判決を宣言しました。これは東京地裁が原告の主張を認めず一方的に被告原発メーカー側の立場に立った判決を言い渡すことを意味します。私たち本人訴訟団は、今後のメーカー訴訟をどのように進めるのか、控訴をするのかどうかということを含めて福岡と大阪で話し合いの場を持ちました。その結果、たとえ控訴するにしても裁判に依存せず、国際連帯運動を積極的に進めようという結論に達しました。そのための戦略会議をソウルでもち、国際連帯運動の具体的な戦略を協議するをすることが今回の訪韓の目的でした。

4月21日
釜山でイ・ジンソプさんと会いました。古里原発運営会社を相手の裁判が高裁に行き、平行して600名もの集団訴訟1審が釜山地裁で始まっているのですが、判決までにはまだしばらく時間がかかるとのことです。この判決は韓国の原発政策に直結するものなので、時間がかかるとイさんはみていました。

原発は過酷事故の危険性をはらみつつ、通常運転においていかに地域住民に大きな危害を加えているのか、彼の1審の勝利はそれを全世界に伝えるべき内容なので、各地において疫学調査を自治体に実施させて地域住民の健康状態を調査把握し、患者数が高い場合は、その責任が原発運営会社にあることを追求する運動を展開する必要があるということで二人の意見は一致し、今後も継続して彼の講演を日本の各地で実施したり、彼の公判への支援運動をするなどの話をしました。

  世界初。韓国で原発と甲状腺がんの因果関係訴訟で勝訴したイ・ジンソプさんが証言台に
  http://oklos-che.blogspot.jp/2015/09/101114161330-f-httpwww.html

4月22日
大邱で崔鳳泰弁護士と会いました。彼は日韓間の歴史的な問題ではもっとも著名な方です。
従軍慰安婦問題で韓国政府の不作為は憲法違反という最高裁の判決を勝ち取った弁護士です。広島・長崎での原発投下の米政府・企業の責任を問う訴訟を準備しています。原告は韓国の被爆者です。

彼の提案は8月6日に大邱で被爆者による式典を開催し、日韓の宗教関係者や市民に声をかけ、韓国被爆者の被害の責任は日本の植民地支配とアメリカの非人道的な原爆投下にあることを宣言し、アジアの平和を希求する行動を起こすことです。私は全面的に賛同し、各分野に働きかけたいと思います。NNAA及び訴訟の会のみなさんにも参加を呼びかけます。8月5日のソウルでの前夜祭、6日の大邱での式典、7日の陜川訪問(被爆者の居住地)、2泊3日と3泊4日のふたつのコースを準備することになるでしょう。

私はキリスト教会を通して全世界に呼びかけることと、日本社会への働きかけをしたいと思います。みなさんの参加とご協力をお願いします。

4月23日(この日から木村公一さんが参加)
核キ連( 正式名称は「核のない世の中のためのキリスト者連帯」)の責任者と今後の国際連帯運動の具体的な戦略について会議を持ちました。出された意見は以下の通りです。
①8・6大邱での被爆者式典に参加し、教会のネットワークで世界に協力を求める。この式典をきっかけにして、日本のアジアの植民地支配の問題が敗戦後も深く罪として認識されず、アジアとの隣人関係を重要視せずアメリカ中心で、経済優先でやってきたことのつけが福島事故であったことを深く捉え直すきっかけにしたいものです。
②東芝に対するBDS(Boycott,Divest,Sactionの略字で、不買運動や投資の引き上げや制裁を意味する運動用語)の開始。原発体制への抵抗・闘いを象徴する運動として全世界的に展開する。
③アメリカとヨーロッパでメーカー訴訟の展開を準備する。
④ヒバクシャ世界写真展の韓国(ソウル、大邱)とカナダの実施する。

これらの実施は容易なことではないので、日韓両国でよく検討し、具体化したいものです。

4月24日
澤野さんのご紹介で韓国の9条の会の責任者で平和活動家の金承国さんとお会いしました。
8・6の式典のご協力をお願いしました。

4月25日
ソウルで平和統一月曜祈祷会に出席しました。毎週月曜日に宗派を超えてクリスチャンが集っているそうです。私は日本においては、原発は安全保障を掲げる国家戦略として原子力基本法に位置付けれた以上、原発は潜在的核兵器であり、戦力とみなされ、憲法違反であるということを説明しました。

4月27日
イデスさんと最後の会議をもち、以下のことを確認し合いました。
①4月23日確認し合ったことをイデスさんが各関係組織に諮り具体化する。
②WSFモントリオールには田上さん、イデスさんたちが参加するので、彼がマンションを借りて参加者が共同生活をし、会場に参加したアジアや世界の活動家を招待し、話し合う場にする。そのためにはアジアの視点が不可避で事前に参加者間で話し合い、プラカードやチラシなどを準備する。もしBoothを借りられれば、そこを拠点にしてメーカー訴訟や原発体制の問題点などをアピールする。
③仁寺洞のGuest Houseのオーナーが地下の倉庫を無料で貸してくれるという申出もあり、大邱や陜川(ハプチョン)も含めてヒバクシャ世界写真展を開催する可能性を検討する。

帰国後 4月28日
韓国の核キ連(核のない世のためのキリスト者連帯)の総会があり、金容福博士が問題提起をされ、8月6日の韓国被爆者の式典に向けて核キ連も協力していくことが決定されたそうです。

WCC(世界教会協議会)に向けて働きかける準備をするそうですが、アメリカの原爆投下による犠牲者は日本人だけでなく、日本の植民地政策によって日本での居住を余儀なくされた朝鮮人7万人が被曝したのです。

日本では下田判決によってアメリカの非人道的な原爆投下を犯罪とする判決があったにもかかわらず(http://www.geocities.jp/bluemilesjp/genbaku.html)、その後はアメリカ政府の原爆投下の責任を問う動きが、政府においても市民運動においてもなくなりました。これは戦後の天皇を日本の象徴とする国体護持を決定したアメリカの政策に日本は完全に「抱かれ」、アメリカの核の傘の下で経済再優先の政策を進め、偽りの「平和と民主主義」に甘んじてきたことを意味します。「平和と民主主義」は原発体制と表裏一体であったのです。日本の「平和と民主主義」は沖縄とアジアの犠牲・敵対の上で成り立っていたのです。

フクシマ事故は日本の戦後のまやかし、破綻を表すものです。私たちはこのような社会を作ってきた原発体制に抗うために、メーカー訴訟を始めました。

これからの日本のあり方を根底的に考えなおすためにも、アジアを明治維新以降一貫して文明開化、富国強兵を掲げ無視してきたつけがフクシマ事故をもたらしたと理解しなければならず、そのことをしっかりと見据えて、今後の私たちの国際連帯運動を進めるために、8・6の韓国人被爆者の式典には是非、参加しましょう。8月5~8日の日程を考えています。

NNAAと訴訟の会として田上さんをカナダのWSF大会に送りますが、私たちの主張、メーカー訴訟の闘いを欧米の人たちにアピールする絶好の機会だと確信します。連休明けに横浜での訪韓及び渡辺会長・木村本人訴訟団代表両名による宣言文の報告会を計画しています。みなさんと今後の国際連帯運動をどのように進めるのか、十分に話し合いたいと願いします。

またソウルでの戦略会議では、対東芝のBDSについての提案がありました。BDSとはBoycott, Divest, Saction(不買運動、投資引き上げ、制裁)を意味します。原子力村(モンスター)の象徴として、この15年間で64基の原発輸出を今年になって公表した(そのうち、6基はインドです。既に小会社のウエスチング・ハウスは契約済みとのことです)東芝をターゲットにしようということです。世界銀行などでは開発途上国の原発製造にはお金を貸さないことが決定されており、対東芝BDSを世界的な闘いにするためにも慎重に検討したいと思います。

  2015年11月14日土曜日
  東芝の不正問題、過酷事故の責任問題等について裁判長に質問書を提出しました
  http://oklos-che.blogspot.jp/2015/11/blog-post_14.html

  2016年2月24日水曜日
  東芝、15年間で64基の原発を川崎を中心に製造・輸出する計画
  http://oklos-che.blogspot.jp/2016/02/blog-post_24.html

帰国後、4月30日
選定当事者の佐藤和之さんからの私の報告を見てのメールがありました。
彼が参加した、2012年の(大邱ではなく)陜川非核平和大会に関する記事をリンクします。
http://www.labornetjp.org/news/2012/1340842553427staff01

佐藤さんのメールを見て私が韓国サイドに送ったメールです。
12年の韓洪九と徐京植教授が計画した非核平和大会はしっかりとした思想の上で準備されています。私たちが被爆者主催の式典をやるとしたらこれくらいの水準の思想を踏まえることが必要です。しかし時代の制約があるのでしょう、彼らに欠けているのは具体的なアクションプランと原発に関する認識です。私は教会のネットワークを活用して、原発投下のアメリカの責任、原発体制への国際的な闘いの象徴として東芝に対するBDSの提案が必要だと思います。

付録:FBで公開したもの
4月27日 
韓国の釜山、大邱、ソウルで1週間滞在しました。大きな成果がありました。帰国後、報告会をもちたいとおもいます。
まず、8月6日、大邱で広島、長崎の被爆者1世、2世たちが式典をもち、原発投下の犠牲者は日本人だけではない、韓国人被爆者は、日本の植民地支配、アメリカの人道上許されない行為の犠牲者であることを世界に向けて宣言する準備をしています。
日韓の宗教者(仏教徒、キリスト者)と市民に参加してもらおうと希望していましたので、私は全面的に協力したいと考えています。
みなさん、いかがでしょうか、一緒に参加しませんか。

4月26日 
ソウルで平和統一月曜祈祷会に出席しました。毎週月曜日に宗派を超えてクリスチャンが集っているそうです。
私は日本においては、原発は安全保障を掲げる国家戦略として原子力基本法に位置付けれた以上、原発は潜在的核兵器であり、戦力とみなされ、憲法違反であるということを説明しました。日韓が原発を輸出する行為は許されるべきではない、どうぞ、平和統一のためにもこのことを祈りの題目に加えていただきたいと話しました。さて、どうなることでしょうか。


4月24日 

韓国ソウル市内の仁寺洞Insa Dong
のゲストハウスの屋上から見えた景色です。
ゲストハウスは仁寺洞のど真ん中に位置し、食事、交通の便もよく、快適に過ごしました。なお、私と木村さんはツインベッドで、6万Won
(日本円で6000円でした。朝食付きです)。
昨晩また、路上ライブのシャンソンに聞き惚れました。





4月23日 
ソウルに来ています。昨晩は、Insa Dond での路上ライブを堪能しました。素晴らしいシャンソンで、フランス語の発音には驚きました。飛行機で聴きに来る価値あり。毎週金曜日8時からとか。
ご当人は本職はデザイナーだそうですが、遅く歌の魅力に取り憑かれ、ユーチューブで歌の練習に励んだそうです。一度、TVにも出たことがあるそうですが、ご本人は自分は自惚れていた、と新たな決意でレッスンに励んだそうです。



4月22日 
Taegu市で、慰安婦問題で韓国政府の無作為は憲法違反判決を勝ち取った崔鳳泰弁護士と会いました。アメリカ政府の原爆投下の責任を問う裁判を準備中だそうです。8月6日、韓国にいる、広島と長崎のヒバクシャたちが式典をおこなうそうです。原爆投下の犠牲者は日本人だけではありません。
70万人の犠牲者のうち7万人が朝鮮半島からつれて来られた朝鮮人でそのうち、4万人が死亡しています。朝鮮語で痛いとか、水をほしいと逝ったため放置され、病院に連れていってもらえなかったのです。
この問題の意味を今、改めて考える必要があります。いかがでしょうか。オバマ大統領にアメリカ政府への抗議を真っ先にすべきは日本の市民です。国際連帯しましょう。


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