2016年1月4日月曜日

慰安婦問題合意の背景の考察ーー「一国平和主義」の克服を目指して

従軍慰安婦問題の解決を図った日韓政府の合意は、韓国内の当事者であるハルモニたちのみならず、多くの市民運動体の反発の声が高まっています。北朝鮮の外務省報道官は「容認できない」との声明を公にしています。

慰安婦問題合意「容認できない」
北朝鮮外務省報道官は1日、旧日本軍の慰安婦問題に関する日韓合意について、「国際的な正義と被害者の正当な要求を無視した政治的な駆け引きの産物として絶対に容認できない」と批判した。朝鮮中央通信の質問に答えたとして、同通信が報じた。(朝日新聞 1月3日)

アメリカの市民運動の間でも今回の日韓の、当事者を抜きにした合意に対して強い抗議の声があがっています。abc News, Monday, December 28, 2015 11:37PM
'COMFORT WOMEN' AGREEMENT DRAWS CRITICISM FROM BAY AREA GROUP

残念ながら、そのような世界の動きに対して、日本でも反対の声をあげ国会前での抗議活動を計画している団体もありますが、朝日新聞をはじめ日本のマスコミ、および安倍を批判する市民運動において、「 この問題が「最終的かつ不可逆的に解決される」かどうかは、ひとえに今後の日本政府の対応にかかっている」というような、「合意」をした日本政府側の問題に抗議して変更を迫るという意識が脆弱であることが気になります。

この合意の背景を一度、整理してみました。
従軍慰安婦問題解決のための日韓の合意内容に対しての韓国をはじめ、内外での反対の声は今後、ますます高まるでしょう。当事者の意見、気持ちを無視した政治的な合意の背景にあるものはなんでしょうか。以下、その背景を羅列しました。世界と川崎は直結しているのです。
1.そもそも日米韓3ヶ国は、世界において原発体制の強化を謀る国々です。
2.この3ヶ国は、北朝鮮と中国を敵対視し、新たな冷戦を画策する国です。その画策の下で、戦争法案が強行されました。
3.日本国内においては、自公を中心に憲法改悪の動きが具体化されつつあります。
4.その右傾化した流れの中でヘイトスピーチが言論の自由の建前の下で黙認され、在日外国人への差別・抑圧が日常化されています。
5.安倍の登場は戦後の平和と民主主義の実態を反映するもので、明治以降の植民地支配の責任を不問にしてきた結果です。
6.同様に、川崎における多文化共生のスローガンの実態はなんであったのか、在得会の川崎「襲撃」への対抗にとどまらず、その実態を検証するべきでありましょう。在日朝鮮人に対する差別が構造化され、国籍条項による「当然の法理」を前提にした公務員の差別はその象徴です。
7.原発体制に抗う運動を進めるとき、川崎にある原発メーカー東芝への具体的な抗議は不可避です。インドと東芝の子会社であるウエスチン・ハウスとの6基の原発輸出の契約が発表されました。その製造を担当するのは、東芝であり、その拠点になるのは、東芝の川崎工場であり、その下請けです。
一国平和主義からの脱却は、地元の在日外国人への差別の直視と具体的な行動、世界の原発輸出の拠点になっている東芝川崎工場への抗議を進めることからはじまります。ご検討いただければさいわいです。

被害者不在の「妥結」は「解決」ではない

1228日、日韓外相は日本軍「慰安婦」問題について会談し、共同記者会見を開いた。その内容についての評価は、本来、被害者がどう受け止めたかによって判断されるべきであるが、私たちは昨年来、政府に、各国の被害者と支援者が集まった「アジア連帯会議」で採択した、解決のための「日本政府への提言」を提案し、日本軍「慰安婦」問題解決のために取り組んできた団体として、日韓外相会談の結果について以下のようにコメントする。

1, 今回の協議は終始一貫、被害者不在で進められた。それが本日の結果に如実に表れており、「最終的な解決」にするには、被害者にとってあまりにも課題の多いものとなった。とりわけ安全保障政策を重視する米国の圧力のもとで日韓政府が政治的に妥結し、最終的合意としてしまったことは、50年前の日韓基本条約の制定過程を彷彿とさせ、東アジアが現在もなお、米国の支配下にあることを痛感させるできごとであった。

2, 日本政府は、ようやく国家の責任を認めた。安倍政権がこれを認めたことは、四半世紀もの間、屈することなくたたかって来た日本軍「慰安婦」被害者と市民運動が勝ち取った成果である。しかし、責任を認めるには、どのような事実を認定しているのかが重要である。それは即ち「提言」に示した①軍が『慰安所』制度を立案、設置、管理、統制した主体であること、②女性たちが意に反して「慰安婦」にされ、慰安所で強制的な状況におかれたこと、③当時の国際法・国内法に違反した重大な人権侵害であったことを認めなければならないということだ。「軍の関与」を認めるにとどまった今回の発表では被害者を納得させることはできないであろう。

3, 韓国外相は「平和の碑」(少女像)について、「適切に解決されるよう努力する」と述べた。日本政府が、被害者の気持ちを逆なでする要求を韓国政府に突き付けた結果である。このような勝手な「合意」は、被害者を再び冒涜するものに他ならない。

4,さらに、教育や記憶の継承の措置についてはまったく触れず、国際社会において互いに批判・非難を控えると表明したことは、日韓両国が日本軍「慰安婦」問題を女性の人権問題として捉えていないことの証左であるとともに、被害者の名誉や尊厳の回復に反する発言であり、とうてい認めることはできない。

5, この問題が「最終的かつ不可逆的に解決される」かどうかは、ひとえに今後の日本政府の対応にかかっている。問題が解決されず、蒸し返されてきたのは、被害者が納得できる措置を日本政府がとらず安倍政権が「河野談話」の見直しを図るなど、政府として歴史の事実を否定する発言を繰り返してきたためであることを認識しなければならない。

6, 日本政府は、被害者不在の政府間の妥結では問題が解決しないことを認識し、以下のような措置をとらなければならない。
  総理大臣のお詫びと反省は、外相が代読、あるいは大統領に電話でお詫びするといった形ではなく、被害者が謝罪と受け止めることができる形で、改めて首相自身が公式に表明すること。
  日本国の責任や河野談話で認めた事実に反する発言を公人がした場合に、これに断固として反駁し、ヘイトスピーチに対しても断固とした態度をとること。
  名誉と尊厳の回復、心の傷を癒やすための事業には、被害者が何よりも求めている日本政府保有資料の全面公開、国内外でのさらなる資料調査、国内外の被害者および関係者へのヒヤリングを含む真相究明、および義務教育課程の教科書への記述を含む学校及び一般での教育をと。
  アジア・太平洋各地の被害者に対しても、国家の責任を認めて同様の措置をとること。
20151229

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

1 件のコメント:

  1. はじめまして。 初めてコメントをかかせていただきます。この文章の中で引用されている「日本軍「慰安婦」問題行動解決全国行動の声明ですが、この団体を韓国の市民団体と紹介されていますが、この団体は日本にある団体です。 私はカリフォルニア州のサンフランシスコをベースにし, 昨年夏に始められたComfort Women Justice Coalitionのメンバーです。 そのなかのあるメンバーから、間接的に日本にある上記の団体の上記の声明文の英語訳のプルーフ・リーディングをたのまれたので、この団体が日本にある団体であることを確かなこととしてお伝えできます。 英語訳は「女たちの戦争と平和資料館」のサイトに掲載されています。 また、日本語で出されているいくつかの声明文が、韓国の挺身隊問題協議会の日本語サイトに掲載されています。 こちらです。 https://www.womenandwar.net/contents/board/normal/normalList.nx?page_str_menu=4301 この中に、挺身隊問題協議会の声明の日本語訳が掲載されています。 また、Comfort Women Justice Coalitonのフェイスブックも作られています。 私たちが出している声明文などを掲載しています。参考までに。 水野 崇


    https://www.womenandwar.net/contents/board/normal/normalList.nx?page_str_menu=4301

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