2015年8月6日木曜日

メーカー訴訟被告弁護団の答弁書を読んでーこのままでは私たちの裁判は中味にはいれず入口でアウトです

3月28日の口頭弁論に向けてのぼりを作り裁判を祭り化して騒ぐ事態ではありません。一体、そのような能天気な原告は被告の答弁書を仔細に検証したのでしょうか。島弁護士はNo Nukes権のCDを売り出すので買ってほしいとメールを出していましたが、本当にメーカー訴訟を軽く考えているとしか思えません。そもそも日本の原発裁判を支えて来たはずの著名な弁護士たちは一体、島弁護団に名を連ねていて恥ずかしくないのでしょうか。

私のような素人が読んでも、今の訴状では具体的な審理まで入らず、入口のところで排斥されるでしょう。原賠法の集中責任が憲法違反という論の立て方はまあ、とりあえず論及を避けますが、100%勝ち目はありません。問題は弁護団がもっとも売り出したいNo Nukes権ですが、これも責任集中の範囲でしか展開できていないので、ウラン鉱山や核ゴミや、被曝2世の問題に関連させることはできません。

なによりもお粗末なのは、東電の無資力の捉え方です。支援機構法の分析もできていない私たちの訴状は、被告弁護団からは嘲笑の対象になっています。これですべてアウトですね。内容としてメーカー責任を問う裁判にならなくなりました。そういう審理にまで至らないのです。島弁護団の訴状は形だけです。心ある原告は私の意見を真剣に聞いてください。このままではなんのために裁判をはじめたのかわからなくなります。

そうするとメーカー訴訟を提起して弁護団を選出した訴訟の会のやるべきことは、玄関払いされない論を立てるしかありません。そういう準備書面を必死になって書くしかないのです。のぼりの準備をして盛り立てようというような状況ではありません。今の訴状はほとんど使わなくなります。そうするしかないのです。

これまで私と島弁護士との人間関係の問題、どっちもどっちだと言ってきた人たちは物事の本質に直面せざるをえなくなります。やはり、弁護団の言うことを聞かない原告は切り捨てるという考え方をする弁護士は、自分のレベルでの訴状しか書けない、メーカーを相手にしてとことん原告と話し合って自分たちの中味の検証をすることができなかかったわけです。外面だけの、気に入らない原告は排斥するだけの弁護士でしかなかったということです。

NPT体制や植民地主義はサヨク用語と言うレベルではこのメーカー訴訟は戦えません。原発体制は差別の上で成り立っているということがわからず、メーカー訴訟を利用して民族運動をやろうとすると思うような弁護士ではこのメーカー訴訟は担えないということなのでしょう。あとは私たちで勉強して準備書面を書くしかありません。みなさん、がんばりましょう!
いよいよここに来て、混乱の中から真実がくっきりと見えだしたように思います。

今朝、時差のせいか夜中に起き出し、被告の答弁書にざっと目を通しました。想定通りなどという弁護団の「負け惜しみ」の声がアメリカまで届いていましたが、3社の答弁書を読んだ印象では、わが弁護団の完敗です。私は訪米中にメールで皆さんに送りましたが、私が訴状を読んで「綱渡り的」とひかえめに批判した内容は被告弁護団によって完膚なきまでに批判され尽されています。
何よりも東電の無資産を理由にした「債権者代位権の行使」については残酷なまでに叩かれて(嘲笑われて)います。「今後についても、賠償の必要があるかぎりは、政府が援助することが法律(機構法ー崔)で定められているのであるから、これからも、損害賠償に応じることができるのは明らかである。そもそも、原告らが請求している「損害額」は、合計でもせいぜい41万円あまりであり、かかる損害金との関係において、東京電力が「無資力」であるという主張が成り立つ余地がないことは他言を要しない」。まさにその通りなのです。
No Nukes権も責任集中の原則にだけ焦点を当てた展開になっているため、弁護団が敗訴を前提に組立ててせめてこの部分だけでもとり上げてほしいと考えたのでしょうが、それも無理でしょう。憲法違反は理論の展開が荒すぎてまず100%負けます。このような訴状の実態、被告側の答弁書を知りながら、法廷に人を集めることを目的とする運動しか提示できないようでは、一体、何のために私たちは原告になったのか、運動の本質を再点検する必要があります。

カナダの世界的な反核学者のGordonEdwards氏からこのようなメールをいただきました。
Che, I am very impressed with the strong vision you have of a lawsuit against the makers of nuclear reactors. In fact this is the very thing they are most worried about and why they insist that the laws be written ("Nuclear Liability" legislation") to protect them from liability. So it is a good idea to highlight the injustice and fundamental lawlessness of the nuclear regime, in the sense that they demand a law that puts them outside of the law.
I will work on a list of organizations in Canada that may be open to your message(s) and send that list to you.
Best wishes., and bon voyage, safe travels...

拝啓
崔さん、私はあなたが原発メーカー訴訟に対し心に抱いている深い洞察力に強い感銘を受けています。実のところ、これはまさに原発メーカーが最も懸念しているところであり、だからこそ彼らは、責任逃れをするために、原子力損害賠償責任を明記(「原子力賠償責任の法制化」)した法律(翻訳者注:原子力損害賠償法を指すと思われる)を制定するよう主張したのです。ですから、原発メーカーが法律制定化を要求して自分たちを法の網の外に置いたという意味においては、その不正行為および原発体制の根本にある無法状態(無法ぶり)をあぶりだすのは、名案です。
私はこれから、あなたのメッセージを直ちに快く受け入れてくれるような在カナダ団体のリストを作成し、あなたにお送りいたしましょう。
では、ご成功を祈ります。良いご旅行を。そしてお気をつけて。蔦村的子訳

                                     敬具

いずれにしても私と朴現事務局長は弁護団の主導に従わないという理由で委任契約を解除されたために本人訴訟に突入し、島弁護団たちと対等な立場で法廷に立ちます。何人かの原告は弁護団を解任して私たちと歩みを共にするでしょう。

私たちはこのメーカー訴訟を提起したという大きな責任感と自負心をもって、弁護団の主張とは異なる主張を展開し原告の思いを裁判の場で伝えできるだけ裁判を長引かせたいと考えています。それが全世界から原告を集めた訴訟の会のやるべき本質的なことです。上ずった表面的な裁判ごっこでは相手にされないという現実をしっかりと直視すべきです
観念的な批判のためにの批判も何の役にもたちません。「故意」や「求償権」という弁護団の主張にころっと騙されているようでは、一体何のための前衛的な批判だったのでしょうか。弁護団と一緒にやらない、やりたくないという原告は一体、どうされるんでしょうか?まあご自分でお考え下さい。

みなさんのご支援、ご協力をお願いします。
私たちはロナルド・レーガン号事件の弁護氏であるCharles Bonners氏のアドバイスにあった、アメリカでの裁判を視野にいれながらこれからの戦いに全力を尽くします。

1 件のコメント:

  1. 科学技術翻訳者(私)の目からみると、原発は事故や故障に際しての製造者賠償責任という意味でも、製品(商品)を売買する契約(書)の面でも、日米原子力協定を根拠とした非開示文書が多数あり、また、国際慣行と国内法の優先順位(契約には必ず準拠法と裁判管轄権を明記することになっている)や、秘密指定条項が果たして法的に有効なものかどうか等、法的に争える要素は多分にあるはずです。単なる弁護士よりも、特許に詳しい弁護士、つまり弁理士の援助を仰ぐことをお勧めします。

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