2015年5月16日土曜日

原発メーカーの凋落が意味することー原発メーカー訴訟の混乱の根底にある問題


昨夜(5月15日)、東芝の社長が記者会見を開き、「現時点では、6月中に(平成27年3月期)決算を発表できる見通しは立っていない」と述べたそうです。不適切会計が起きた原因としては「予算達成目標の位置づけが高く、財務報告に関わる内部統制が必ずしも完全には機能していなかった」とありますが、これは明らかに、東芝の会社自体が経営悪化に苦しんでいるさまが見て取れます。

日本の三大メーカー(東芝、日立、三菱重工)の一つである東芝はその中でもダントツに原発に力を入れている会社です。ウェスチン・ハウスの買収からはじまり、ビル・ゲイツとの提携、中国への進出に活路を見出そうとしています。

2011年4月15日金曜日
東芝「原発は経営の柱」(日経)、原発「なお有力な選択肢」(朝日)―これは許せない
http://oklos-che.blogspot.jp/2011/04/blog-post_15.html

2011年12月8日木曜日
「ビル・ゲイツと中国が新型原子炉の実験」の意味すること
http://oklos-che.blogspot.jp/2011/12/blog-post_1505.html

すでに3・11福島以前から斜陽産業であった原子力産業の実態は、フランスのアレバの凋落に典型的に現れています。株価の値下がり、後継技術者育成の失敗、それに今年になって大規模な会社の縮小が話題になり、フランス政府の援助、中国資本の手助けなくては成り立たない状況にまで落ち込んでいます。

元東電原子力技術者で現熊本の医師である小野俊一さんのブログ「院長の独り言」を参照ください。そこには日経の引用を含め詳しく、原子力メーカーの凋落の実情が記されています。

2015年05月11日
1272.倒産寸前のアレバ、大赤字の三菱、決算出せない東芝
http://onodekita.sblo.jp/article/129316767.html

問題は民間会社のあり方を議論してもらちがあかないのです。日本は国策民営化であり、原子力発電を日本のベースロードとして進めるというエネルギー政策が厳然として存在しています。それは日本の国策であり、その過ち、恣意的な操作を反原発の運動側も、マスコミも批判しません。

原発問題の本質を衝く熊本さんとの学習会で学んだこと
http://oklos-che.blogspot.jp/2015/05/ymca-httpoklos-che.html

その根のところに、2012年に原子力基本法が改正され、そこに「我が国の安全保障に資する」という表現が加えられました。そこに日本の核兵器への依存を絶対化する安全保障政策が見られます。そのために原子力基本法に「安全保障」という単語が加えられたのです。原子力兵器と原子力発電(原発)は表裏一体です。原子力の平和利用とは、核保有国の核独占を認めるNPT体制を正当化し、核による他国支配のために核兵器の生産に結びつく原発は不可欠だということを謳っているのです。それは、核兵器の縮小を議論する核保有国が脱原発に言及しないNPT体制の実態を
見れば明らかです。

その状況下で、いくら裁判で司法の独立を強調しても限界があります。問題は河合弁護士(『世界』5月号参照)がいくら主観主義的に裁判の勝利を目指し司法の独立を強調しても、そこには限界があるという事実を認めるべきです。それを認めず自らの信念を絶対化するところから、弁護士が原発メーカー裁判の中心になるという傲慢な姿勢がでるのです。裁判を決意し弁護士に法定代理人になることを依頼した原告を自分たちの「主導」に従わないから委任契約を解除する(=代理人の辞任)という、日本の集団訴訟において例のないことをやろうとするのです。


2015年3月3日火曜日

日本の原発裁判の代表的人物である河合弁護士の発言の紹介

http://oklos-che.blogspot.jp/2015/03/blog-post.html

2015年5月11日月曜日

原発メーカー訴訟の「混乱」の解決に向けて

http://oklos-che.blogspot.jp/2015/05/blog-post_11.html

原発メーカーの凋落が意味することー原発メーカー訴訟の混乱の根底にある問題とな何か、それは、経済的な合理性がなくとも、採算性がいくら悪くとも、原発の再稼働、輸出をやめない真の理由を裁判の場で明らかにしようとする原告を「排除」し、精神的損害を訴えた世界39ヶ国2000人を超える海外の原告を含めた4000人の原告の怒りを事故の問題に限定し、事故後の悲惨な実情と事故を生んだ原発体制という世界のNPT体制の構造を明らかにしない裁判を弁護団は進めようとしているということです。

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