2015年1月5日月曜日

韓国の原発裁判で勝利したイ・ジンソプさんの資料



韓国のイ・ジンソプさん家族は古里原発を被告とする原発裁判をはじめ、妻のパク・クムソンの甲状腺ガンは古里原発に原因があるという、地域住民の疾病と原発との因果関係を認める勝利判決を勝ちとりました。その影響は、早速、韓国の他の原発立地地域での280名を超える集団訴訟につながりました。

イ・ジンソプさん親子を日本に招聘し、彼の講演会を大阪(1月28日)、福井(1月29,30日)、東京(1月31日)、福岡(2月1日)を持つことを決定いたしました。

改めて、韓国在住の高野さんが資料として翻訳してくれたものをみなさんにご紹介いたします。準備書面、判決文、この韓国で「健康権」とマスコミで紹介された闘いの意味、そしてその勝利に連なり、原発立地地域で新たな集団訴訟を決意した人たちの記者会見資料を掲載いたします。日本の原発立地地域での新たな闘いとして日本でも展開できるのか、ご検討いただければと願いします。


イ・ジンソプ裁判準備書面(2014年9月12日)

1.被告主張要旨
   被告は、①この事件発電所運営のために発生した放射線量は、原子力安全法令及関連通知規定された法的限度値十分下回っており、転中に、発周辺住民健康影響えるほどの放射能などの有害物質排出さしたことはなく、②原告らの居住地は、この事件発電所運営による放射能影響くない地域なので、原告らの損害賠償責任められないと主張している。

2.原告のパククムソンの状腺がん発症放射線排出因果関係
 イ.この事件発電所放射線排出
  被告は、2012提出した答弁書で「この事件発電所(コリ)辺地域住民年間被ばく線量」にする提示し、この事件発電所周辺地域住民たる水準ではあるが、放射線被曝されたは、自認した(9弁論時)。また、「発従事者および辺地域住民学調査研究」という論文42ジによると、以下のように住民放射線被曝した確認される。

図:地域別年度別住民ばく線量全身分布単位mSv/ yr
地域

年度
コリ 
ウォルソン 
ヨングァン 
ウルチン 
被ばく量1) 
被ばく量1)
被ばく量1)
被ばく量1)) 
被ばく量1)
被ばく量1)) 
被ばく量1) 1) 
被ばく量1)
1990
0.00374
0.00168
0.00021
0.00038
1991
1992
0.00502
0.00202
0.00046
0.00090
1993
0.00788
0.00182
0.00020
0.00134
1994
0.00691
0.00271
0.01520
0.00149
1995
0.00686
0.00690
0.00424
0.00420
0.00183
0.00180
0.00124
0.00120
1996
0.00136
0.00140
0.00270
0.00270
0.00164
0.00190
0.00271
0.00170
1997
0.00240
0.00240
0.00300
0.00030
*1998
0.00327
0.00210
0.00280
0.00170
0.00085
0.00070
0.00125
0.00090
*1999
0.00821
0.00490
0.00371
0.00230
0.00174
0.00110
0.00162
0.00100
*2000
0.00627
0.00360
0.00302
0.00350
0.00415
0.00270
0.00257
0.00130
*2001
0.00061
0.00640
0.00060
0.00440
0.00027
0.00160
0.00085
0.00230
2002
0.00278
0.00270
0.00784
0.00690
0.00677
0.00680
0.01880
0.01670
2003
0.00214
0.00210
0.00679
0.00600
0.00619
0.00600
0.00366
0.00360
2004
0.00541
0.00520
0.00517
0.00460
0.00581
0.00600
0.00251
0.00240
2005
0.00415
0.00512
0.00332
0.00285
0.00291
0.00301
0.00349
0.00338
2006
0.00688
0.00664
0.00389
0.00348
0.00383
0.00485
0.00170
0.00165
2007
0.01580
0.01510
0.00678
0.00579
0.00632
0.00604
0.00210
0.00209
2008
0.00474
0.00460
0.00962
0.00831
0.01090
0.00957
0.00196
0.00190

そして、上記論文は、発周辺地域との距離5近距離対照地域530㎞に設定している(55ジ)。

グループコード
地域
原発からの距離
A
原発周辺地域
5km 以内
B
近距離対照地域
5km-30km
C
遠距離対照地域
30km 以外

原告らのこの事件発電所周辺居住


   原告らは、199120から19934まで慶南ヤンサンジャンアンジョワチョン17存在したがあり、これは、この事件発電所3.9kmれたところである。

また、原告らは、釜山キジャンイルグァンサムソン33-19アパトに199724から10年以上長期間居住しており、この事件発電所とは距離8.5kmである。


ハ.東南圏原子力医学院実照会応答2012.12.12.
20121212日東南圏原子力医学院実照会応答によると、コリ発周辺居住する住民対象無料がん検診実施したが、検診対象者971のうち、がん発見者33であり、上記発見者33のうち状腺癌12発表した。




一方国立がんセンタのがん発生率タによると、2010平均癌発生率は、人口10万人たり405.1で、上記のがん検診対象者10万人とした場合、がんの発見3,398.5なので、これは平均癌発生率べて8.38倍高結果である。

.発従事者および辺地域住民学調査研究

   発従事者および辺地域住民学調査研究」によると、発周辺居住する女性場合状腺がん発生率2.5倍以上高くなっていると報告した。

状腺疾患
 状腺疾患った経験があるか、っている対象者める割合をみると、女性男性よりも比較的高様相せている。男性場合地域間有意ではなかったが、女性では疾患既往歴のある対象者割合辺地域有意様相せている。
(216ページ)

図:地域の放射線関連がんの発生率と相対危険度(女性)
がんの部位
指標
周辺地域
対照地域
近距離
遠距離
放射線関連がん(全体)
発生率*
190.5
182.3
147.0
相対危険度
1.2(0.77-1.74)
1.1(0.69-1.68)
1.0
胃がん
発生率*
50.1
59.4
44.9
相対危険度
1.2(0.83-1.68)
1.3(0.89-1.79)
1.0
肺がん
発生率*
13.5
26.8
20.1
相対危険度
0.8(0.38-1.74)
1.4(0.64-2.83)
1.0
乳がん
発生率*
45.2
30.6
29.2
相対危険度
1.5(00.90-2.60)
1.1(0.60-1.99)
1.0
甲状腺がん
発生率*
61.4
43.6
26.6
相対危険度
2.5(1.43-4.38)
1.8(0.98-3.24)
1.0

二.2014630日の大韓職業環境医学会診療記録の鑑定回答

大韓職業環境医学会は、2014630日、原告パク・クムソンの甲状腺がんと被告の放射線被ばくとの間の関連性について、次のように鑑定結果を回答した。
○甲状腺がんの最も重要なリスク要因は、治療用の放射線被ばくと環境災害による放射線被ばくである。
○チェルノブイリ原発事故でも女性から甲状腺がんが有意に増加し、放射線被ばくと甲状腺がんは、容量 - 反応関係があることが報告された。
2007年3月1日〜20112月28日の間、国内で行われた「原発従事者および周辺地域住民の疫学調査研究」の結果報告書によると、遠隔対照地域に比べて原発周辺地域での女性の甲状腺がん発症リスクが2.5倍高く、原発周辺地域での放射線被ばくが甲状腺腺癌の増加の原因である可能性が高いとしている。

ホ.小結
   したがって、この事件発電所放射線排出原告パククムソンの状腺がんの発症とのには、当因果関係があり、この事件発生経緯原告、がんの手術とがんの可能性などの事情らして慰謝料2ウォンとめるのがである。

3.結論
  それならば、被告は、原告パククムソンに2ウォンと状腺がんの断日201213からこの事件請求趣旨変更書送達日まで5%の、その翌日からずべてをするまで20%の各割合による義務がある。



〔コリ原発、甲状腺がん認定判決資料〕判決文全文
プサン地方裁判所東部地裁第二民事部

判決
事件:2012地裁合議部100370損害賠償(キ)
原告
1.イ
2.パク
3.イ

原告の住所
プサン、キジャン郡
原告訴訟代理人弁護士
被告:国水力原子力株式会社
キョンジュファラン125
代表取締役:キムジョンシン
訴訟代理人政府法務公団担当弁護士
弁論終結:201412
判決宣告:20141017

主文
1.被告は、原告パクに15万円及びこれにする201213から20141017まで5%、その翌日から済日まで20%の各割合によるえ。
2.原告イ、イの請求および原告パクのりの請求をそれぞれ棄却する。
3.訴訟費用のうち、原告イ、イと被告とのじた部分は、上記原告らが負担し、パクと被告とのじた部分9/10は、原稿パクが、りは被告がそれぞれ負担する。

4.1は、仮執行することができる。

請求趣旨
被告は、原告イ、イ5000ウォンびこれにしてこの事件状送達翌日から済日まで20%の比率によるを、原告パクに2ウォンびこれにする201213からこの事件請求趣旨変更申請書送達日まで5%、その翌日から済日まで20%の各比率によるえ。

理由
1.基本事
イ.当事者関係
原告らは、プサン、キジャンギジャン居住する住民であり、被告は、プサン、キジャンジャンアンコリでコリ原子力発電所1号機(197829から)、2号機(1983月頃から)、3号機(1985月頃から稼動)、4号機(1986月頃から)、コリ1号機(2011月頃から)、コリ2号機(201112月頃から)など6原子力発電以下総称し「この事件発電所」とする)をする会社である。

ロ.原告パクの居住履
原告パクは199025慶南ヤンサン(1995ヤンサンがプサン、キジャン移管)イルグァンイチョン407-1に転入し、1993年頃まで近隣み、19931016ソンナム転入したが、199630びプサン、キジャンイチョン848(この事件発電所から7.689れている)に転入した現在まで、上記地域および近隣のサムソン、ドンブなどに居住してきた。

ハ.この事件発電所からの放射線放出
この事件発電所制限区域放射線管理区域および保全区域辺区域として、その区域境界からのばく放射線量原子力委員めるえるれがある場所をいう。原子力安全法施行令第2条第7境界での年間放射線被曝量は、のとおりである。

<コリ原子力発電所周辺地域住民年間被ばく線量境界区域基準> (単位mSv/年)
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
0.003
0.00552
0.00788
0.0069
0.00686
0.00136
0.00242
0.00208
0.00488
0.00361
0.00642
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011

0.00269
0.00207
0.00522
0.00512
0.00664
0.00512
0.00460
0.00226
0.00152
0.00171


ニ.原告パクの状腺がんの
1原告パクは2012ごろ、東南圏原子力医学院状腺がん(状腺悪性新生物)のけ、2012入院し、2012に、状腺全摘出および中心部のリンパ清掃手術けて201214退院した。
2原告パクは今後放射性同位元素治療けながら状腺ホルモン一生服用しなければならない状態である。

ホ.関連医学知識および統計
1状腺がんの
状腺がんの重要険要因は、治療による放射線被ばくと環境災害による放射線被ばくであり、ばく放射線量比例してリスクが増加することがられている。家族性症候群がある場合にも、状腺がんの発生確率い。チェルノブイリ発事故するのレポトによると、事故後女性からの状腺がんが有意増加したことが調査
れ、放射線被ばくと状腺がんが容量 - 応関係があることがらかにされた。

2学調査結果
ソウル学医学研究院原子力影響・疫学研究所で2011教育科学技術部提出した「発従事者および辺地域住学調査研究」の結果によると、原子力発電所からの距離いほど、状腺がんの発生率減少しており、原子力発電所周辺地域原子力発電所から5)の女性住民状腺がんの発生率は、遠距離対照地域原子力発電所から30以上離れた地域)の女性住民2.5にのぼることがかった。

3)キジャン健康診結果
東南圏原子力医学院とプサン、キジャン共同で、2010月頃から201312月頃まで「キジャン郡民健康増進事業」の一環としてキジャン郡民4910対象に、総合健康検診実施したが、上記期間中にがん検診けたキジャン郡民計3031のうち、状腺がんのけた住民41だった。一方、ソウル学病院江南センタ検出率大腸がん、がん、前立腺がんなどのすべての種類む)は1.06%、サムスンソウル病院1.04%である。

[認定根拠]争いのない事実、甲第1乃至478​​12号証、乙第1号証(付属番号があるものは、各種番号を含む)の各記載、この裁判所の大韓職業環境学会長への診療記録鑑定嘱託結果、この裁判所の東南圏原子力医学院への各事実照会回答の結果、弁論全体の趣旨

2.原稿パクの請求についての
イ.当事者主張
1原告パクの主張
原告パクはこの事件発電所周辺20年以上居住しながら、被告するこの事件発電所から放出される放射線にさらされ、それにより状腺がんのけたことにより、この事件発電所からの放射線放出状腺がんとのには因果関係があるので、被告は、この事件発電所での放射線被ばくにより原稿パクがった損害賠償する責任があると主張し、被告して慰謝料2ウォンの支給める。

2被告主張
被告は、以下理由で、こ事件発電所から放出された放射線原稿パクの発病とのには因果関係がないと主張する。
①この事件発電所しながら、発生した放射線量は、関連法令告示規定された限度値下回るため、被告は、この事件発電所周辺地域住民健康影響えるほどの放射能排出していない。
原告パクが居住した地域(この事件発電所から7.689れている)は、発周辺地域住民学調査で、状腺がんの発生率との関関係した地域原子力発電所から5)にしないため、この事件発電所影響けない場所である。
発周辺住民学調査でも、状腺がん発症女性原子力発電所周辺居住期間発生率比例してしておらず、男性場合は、結果れておらず、状腺癌以外のがんの増加傾向められなかった。

ロ.
1損害賠償責任成立当否
一般的に、不法行による損害賠償請求事件加害行損害発生因果関係証明責任請求者である被害者負担するが、気汚染水質汚染による公害による損害賠償請求する訴訟では、企業排出した原因物質して間接的損害えることがく、公害問題については、現在学水準でも解明できない分野があるため、加害行損害発生との因果関係構成するつの自然科学的証明するということが非常困難であったり不可能場合い。
したがって、これらの公害訴訟被害者因果関係存在て、学的厳密証明要求するということは、公害による司法救実上拒否した結果になることがある一方で、加害企業技術的・経済的被害者よりはるかに原因調査容易場合いだけでなく、原因隠蔽するれがあるので、加害企業がどのような有害原因物質排出し、それが被害者到達して損害発生した場合加害者側ではそれが無害であることを証明できないり、責任れることはできないとるのが、会公正概念している(最高裁判所201212日宣告20098460884615,8462284639判決など参照)。
さらに、ある施設適法し、公用提供している場合にも、そこから発生する有害排出物により、第三者損害り、その有害程度会生活上通常受忍限度える場合違法であるとすることができる(最高裁判所200327宣告2001734判決など参照)。

この事件るにあたり、上記認定事および上記によってめられるのような事情、つまり
状腺がんの発生には、放射線被ばくが決定的要因として作用することがられている
被告は、プサン、キジャンジャンアン合計6原子力発電所しているが、原告パクはそれから10、または10れた地域20年近んでおり、放射線長期間さらされてきたとわれる
原告パククムソンの状腺がん発生には、この事件発電所放出された放射線以外原因があるとえる明確材料はない
④この事件発電所から放出された年間放射線量制限区域線量基準)は、原子力安全法施行令第2条第4別表1規定された年間有効線量限度1mSv)、原子力安全委員会告示第2012-2916条第2項第2規定された制限区域境界での年間有効線量0.25mSv)にばず、発周辺地域住民学調査結果状腺がんとはなり、がん、がん、がんは、原子力発電所からの距離発症率との明確関関係がないことが調査されているが、関連法令められた年間有効線量は、国民健康上危害防止するためにめられた最低限度基準として、人体ばくした場合安全担保することができる数値したものと断定することはできない
発周辺地域住民学調査結果近距離対照地域原子力発電所5以上30れた地域でも遠距離照地域べて1.8状腺癌発症率せており、原告パクが居住してきた地域が、この事件発電所放射線流出影響けない地域だとるのはしいこと、⑥のがんとはなり、状腺がんの場合原子力発電所からの距離発症率との関関係すことが調査された、⑦原告パクが侵害された利益は、身体健康関連するものであり、財産上利益その利益よりも重要であるだけでなく、公共必要性により、容易犠牲となってはならない法益であるなどにらして、原告パクがこの事件発電所付近居住しながら、期間、この事件発電所からたれた放射線にさらされ、それにより状腺がんのけたとるのがである。

したがって、この事件発電所する被告は、放射線放出により原告パクがった損害賠償する責任がある。

2損害賠償責任
状腺がんの一般的予後状腺がんは臓器がる場合でも、長期生存している場合い)、今後治療内容被告関連法令規定された年間有効放射線量えないように努力してきており、この事件発電所起因する住民健康侵害最小限えるため、毎年キジャン郡住民総合健康検診支援してきた原告パクがこれまで支出した治療費用原告パクがこれらの事情考慮して慰謝料請求しているとわれる、その他弁論された諸般事情らして、慰謝料1,500ウォンとめる。

ハ.小結論
したがって、被告は、原告パクに慰謝料1500ウォンびこれにする放射線放出による損害発生日以降として、原告めるところにより、201213から被告履行義務存在当否について異議えるのがなこの判決宣告日の20141017まで民法められた5%、その翌日から済日まで訴訟促進などにする特例法められた年間20%の各比率による遅延損害金義務がある。

3.原告イ、イの請求する
イ.原告らの主張
原告イは直腸癌を、原告イは先天性自閉症障害判定をそれぞれけ、イは被告がこの事件発電所する過程放出された放射線長期間さらされた結果であるとして、被告は、不法行による損害賠償として、上記原告らに、5,000ウォンの慰謝料義務があると主張した。

ロ.
しくると、上記認定事によれば、原告イ、イはこの事件発電所周辺んできており、原告イは、大腸がんのを、原告イは先天性自閉症障害けたが、一方この裁判所大韓職業環境医学会長への診療記録鑑定嘱託結果によると、大腸がんの発症要因としては、50歳以上赤身肉加工品多量摂取飲酒家族などがあり、従来研究では、放射線被ばくおよび直腸癌発生との容量 - 応関係は、成立していないことがらかな自閉症原因は、現在までに究明されておらず、11mSv以下放射線被ばくので、先天性自閉症発生増加するという研究はまだないなどにらしてみると、上記認定事原告提出しただけでは、上記原告らの上記各病この事件発電所放射線放出因果関係めるのには不足しており、がない。

したがって、上記原告らの損害賠償請求は、さらに調べる必要なく、理由がない。

4.結論
それならば、原告パクの請求は、上記認定範囲内理由があり、容認し、原告パクのりの請求と、原告イ、イの請求理由がなく、それぞれ棄却をし、主文り、判決する。

裁判長判事



イ・ジンソプ裁判まとめ
・裁判内容
被告である韓国水力原子力が運営するコリ原子力発電所(コリ1号機~4号機、新コリ1,2号機)の稼働中に放出される放射線と近隣住民の病気および障害に関する因果関係を争った。とくにa)イ・ジンソプ氏の妻パク・クムソン氏の甲状腺がん、b)イ・ジンソプ氏の直腸がん、c)イ・ジンソプ氏の息子イ・キュンド氏の自閉症についてその因果関係を争った。

・裁判判決
上記bについてはその因果関係を認め、被告に賠償を命じた。aおよびc関しては因果関係を認めず、訴えを退けた。

・裁判の経緯
1978月:コリ1号機稼動
1983月:コリ原発2号機
1985月:コリ原発3号機稼動
1986月:コリ原発4号機
1990年:パク・クムソン氏、コリ原発から約3.9km離れた慶尚南道プサン市キジャン郡イルグァン面イチョン里に居住開始(それまではソウル居住)
1991年:イ・ジンソプ氏、パク・クムソン氏と結婚しパク氏の家に移住。(1993年まで居住)
1992年:キュンド氏誕生。先天性自閉症と判明。
1993年10月~1996年:ソウル市に移住
1996年3月:プサン市キジャン郡イチョン里に移住。翌年、コリ原発から約8.5km離れたキジャン郡サムソン里へ移住し10年以上居住。
2007年:イ・ジンソプ氏の義母が胃がん判定
20112:コリ1号機
2011年3月:イ・ジンソプ氏、直腸がん判定
201112月:新コリ2号機
2012年2月:パク・クムソン氏、甲状腺がんの判定
2012年7月:プサン地方裁判所に提訴。その後2014年10月まで4~5回の審議。
2014年10月:第一審結審。パク・クムソン氏の甲状腺がんの因果関係を認定、原告一部勝訴。

<コリ原子力発電所周辺の地域住民の年間被ばく線量(境界区域基準)>
(単位:mSv/年)
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
0.003
0.00552
0.00788
0.0069
0.00686
0.00136
0.00242
0.00208
0.00488
0.00361
0.00642
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011

0.00269
0.00207
0.00522
0.00512
0.00664
0.00512
0.00460
0.00226
0.00152
0.00171


・関連の医学知識および統計
1状腺がんの
状腺がんの重要険要因は、治療による放射線被ばくと環境災害による放射線被ばくであり、ばく放射線量比例してリスクが増加することがられている。家族性症候群がある場合にも、状腺がんの発生確率い。チェルノブイリ発事故するのレポトによると、事故後女性からの状腺がんが有意増加したことが調査され、放射線被ばくと状腺がんが容量 - 応関係があることがらかにされた。

2学調査結果
ソウル学医学研究院原子力影響・疫学研究所で2011教育科学技術部提出した「発従事者および辺地域住民学調査研究」の結果によると、原子力発電所からの距離いほど、状腺がんの発生率減少しており、原子力発電所周辺地域原子力発電所から5)の女性住民状腺がんの発生率は、遠距離対照地域原子力発電所から30以上離れた地域)の女性住民2.5にのぼることがかった。

3)キジャン健康診結果
東南圏原子力医学院とプサン、キジャン共同で、2010月頃から201312月頃まで「キジャン郡民健康増進事業」の一環としてキジャン郡民4910対象に、総合健康検診実施したが、上記期間中にがん検診けたキジャン郡民計3031のうち、状腺がんのけた住民41だった。一方、ソウル学病院江南センタ検出率大腸がん、がん、前立腺がんなどのすべての種類む)は1.06%、サムスンソウル病院1.04%である。

・裁判所の判断
①甲状腺がんの発生には、放射線被ばくが決定的な要因として作用することが知られている
②被告は、プサン、キジャン郡ジャンアン邑で合計6機の原子力発電所を運営しているが、原告パクはそれから約10㎞以内、または10㎞余り離れた地域で20年近く住んでおり、放射線に長期間さらされてきたと思われる
原告パク・クムソンの甲状腺がん発生には、この事件の発電所で放出された放射線以外の原因があると思える明確な材料はない
④この事件の発電所から放出された年間放射線量(制限区域線量基準)は、原子力安全法施行令に規定された年間有効線量限度(1mSv)、原子力安全委員会告示に規定された制限区域の境界での年間有効線量(0.25mSv)に及ばないが、関連法令で定められた年間有効線量は、国民健康上の危害を防止するために定められた最低限度の基準として、人体が被ばくした場合、絶対に安全を担保することができる数値を表したものと断定することはできない
⑤原発周辺地域の住民の疫学調査の結果、近距離対照地域の原子力発電所で5㎞以上30㎞離れた地域でも遠距離対照地域に比べて1.8倍の高い甲状腺癌の発症率を見せており、原告パクが居住してきた地域が、この事件の発電所の放射線流出の影響を受けない地域だと見るのは難しい
⑥他のがんとは異なり、甲状腺がんの場合、原子力発電所からの距離と発症率との間の相関関係を示すことが調査された
⑦原告パクが侵害された利益は、身体の健康に関連するものであり、財産上の利益その他の利益よりも重要であるだけでなく、公共の必要性により、容易に犠牲となってはならない法益である

・裁判の評価(脱原発法律家の会キム・ヨンヒ弁護士の評価)

一般的民事訴訟では因果関係立証責任分配について、被害者である原告側証明をしなければならないというのが原則であるが、環境訴訟では因果関係立証についての判例は、確固として蓋然性理論うものである。

すなわち、公害による不法行における因果関係について、当該行為がなかったならば、結果発生していなかったであろうという程度蓋然性、つまり侵害行損害との因果関係存在する当程度可能性があるという証明をすればりるのであり、加害企業がどのような有害原因物質排出し、それが被害者・物到達して損害発生した場合加害者側からそれが無害であることを証明できないり、責任れることはできないとることが衡平概念しているということが判例確固たる態度である。
最高裁は韓国の過去の枯れ葉剤訴訟や大気汚染訴訟で、特異性疾患の場合、疫学調査の相関関係だけで因果関係が認められることができるという前提で、非特異性疾患の場合には、蓋然性を証明しなければならないと判示したが、甲状腺がんの場合、事実上特異性疾患と見ていると考えられる。

この事件の判決は、枯れ葉剤訴訟、大気汚染訴訟の判決で、非特異性疾患の場合、証明するよう要求した蓋然性のすべての要素が証明されたと判断し、疫学調査の結果だけで因果関係を認めたものではなく、個人が危険因子にさらされた時期と露出程度、発症時期、その危険因子にさらされる前の健康状態、生活習慣、疾病状態の状態の変化、家族歴など枯れ葉剤訴訟や大気汚染訴訟で最高裁判決が指摘した「蓋然性」のすべての構成要素をもれなく判断したものである。したがって、この事件の判決は、今後二審、三審でも、原告勝訴の判決が維持されると展望できる。




[地域の甲腺がん被害者共同訴訟申請記者見文]

水力原子力相手にかつてない大規模環境訴訟進行
水力原子力地域住民がん被害態調査健康影響調査せよ!

去る1017日、裁判所は、コリ原近隣に住んでいた住民の甲腺がん症被害について、韓水力原子力の責任を認定する判決(以下「イジンソプ訴訟」。本文ではイジンソプ氏の息子キュンド訴訟となっているが、者の判でイジンソプ訴訟とした)を下した。判決直後、反核プサン市民策委員(反核策委)と全の原地域策委員は、公式的に原地域甲腺がんの被害者を受付け、共同訴訟を進行すると表した。昨年11月末までに原地域に住んでいるか勤務し、甲腺がん症被害に遭った住民を象に原告の申請を受け、今日までに必要書類を受理した住民を原告とする損害賠償訴訟の訴をプサン地方裁判所東部法廷に提出する。

今回の原地域の甲腺がん被害者一次集訴訟の原告受付は1023日から1130日までの39日間にわたり進行された。原告資格は全の原地域、すなわち原から10㎞以5年以上居住したり、勤務しながら、甲腺がんの診を受けた住民に限り申請を受けた。さらに甲腺がんの診を受けた事者の家族の中で、配偶者と直系家族(親、子)も被害者家族として精神的、経済的な被害を慰謝料として請求、賠償を受けるべき原告として受け付けた。このように、1次集訴訟原告として加する員は、甲腺がん被害者がコリ原191人、ウォルソン原46人、ヨングァン原34人、ウルチン原30人の計301人であり、家族を含めた原告の1,336人と集計された。 300人以上の甲腺がん被害者が直接原告に加して、家族まで含めると13百人を超える原告が加した大規模な訴訟に大したものである。

まず、今回の共同訴訟は、韓初の稼動中の原から排出された放射性物質が周住民の甲腺がん被害に直接影響を及ぼしたというイジンソプ訴訟の判決によるものである。特にコリ原では、イジンソプ訴訟の1審判決後、プサン地域に集中したマスコミ報道と市民の心の大により原告に加した住民が他の地域に比べて相的に多かった。特に原告中には家族の中で2人以上が甲腺がんの診を受けた被害事例もあり、世帯数が少ない村で甲腺がんの被害が集中していることも確認された。

このように39日間で300人を超える甲腺がん被害者が自主的に訴訟に加したのは、予想をはるかに超える衝的な事であり、史上稀に見る出事である。原告募集事を知らないか、がん症事の公開を控えたれた被害者を勘案すれば、全の原地域の甲腺がん症者ははるかに多いと判される。それほど原住民の甲腺がん被害が深刻であることを反証するものである。さらに、今回の大規模な集訴訟の進行は、原の放射性物質と甲腺がんの相関関係を体的に証する事例として、訴訟自体がまたイジンソプ訴訟の控訴審の証となる重大な意味も持つ。

今回の1次共同訴訟に加する原告らは、主に最近10年以に甲腺がんの判定を受けた人で訴訟原告全体の95.5%を占めている。原告は、男性に比べて女性の割合が83.8%ではるかに高く、年4-50代が65.3%で多を占めている。これらの原告は、電所の近くで最低3年から最大72年間居住した人であり(近距離基準)、特定の村の原告は「一軒先にまた一軒甲腺がん患者がいる」と言えるくらいに特定の地域では、密集(キジャン郡サムソン里/イドン/ハクリ/ファジョン/ウォルネ/ジャチョン、ウルジュ郡シン里/シンアム/ジンハ)した形態を見せていた。これらの原告が密集して居住している町は、主に海岸沿いの海が低い村であった。また、被害者が居住している地域の人口あたりの割合も、特定の地域(キジャン郡ミョンリェ/モジョン/ハクリ/ウォンリ、蔚ウルジュ郡ハクリ)で高かった。今回の訴訟に加した人が、電所周10kmのすべての甲腺がんの被害者たちが加したものではないことを勘案すれば、このような事は、重要視しなければならない。

今回大規模集訴訟は、イジンソプ訴訟判決いて、これまで水力原子力)が主張してきた放射性物質住民健康被害であることがなることをめて証明している。したがって水力原子力は、訴訟対応げるのではなく、からでも態把握根本的策樹立さなければならない。すでにイジンソプ訴訟判決とそれに大規模共同訴訟確認されたように早期地域住民がん調査すべきである。これにより、地域住民がん正確被害規模把握しなければならない。さらに、から排出される液体放射性物質がんなどの症原因なのだから、地域付加的がん被害者しないよう、放射性物質安全管理じなければならない。

れになるに、水力原子力から住民安全確保し、健康ることにすことをねてす。

2014年12月16日

反核プサン市民策委員、キョンジュ環境運動連合、ヨングァン原子力電所の安全性確保のための共同行動、核から安全に住みたいと願うウルチン住民、核のない世界のための、ソウル大保健大院職業環境健康究室、環境保健市民センタ、環境運動連合

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韓国の高野です。(2015年1 月6日)

裁判関連の記事2つを追加で送ります。
これで裁判関連の資料は私が送るのは最後になります。

1、2014年10月30日の「シサイン」という雑誌の記事です。
疫学データがどのようなきっかけで作成され、それがどのように裁判に用いられたのかに
関して割とよくわかる記事です。ちなみにソウル大医学部の疫学調査は政府が委託しているので、
調査費はすべて政府です。研究費は当時で5億3400万ウォン。当時の科学技術部が
委託しました。
今の未来創造科学部、日本の文科省のような組織です。

2、2012年7月7日メディアオヌルの記事。
以前にも送った気がしますがもう一度送ります。
裁判の挑むイ・ジンソプさんの心境がわかるインタビュー記事です。

前回送ったものもあわせて、講演で配布する資料などにご活用ください。

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これからは医療費は原発に請求しなければならないね

父は直腸癌、母は甲状腺がん、息子は自閉症障害判定を受けた。ひょっとして家の近くにある原発のせいではないだろうか。訴訟を提起してから2年後の1017日、裁判所は一部勝訴で家族に軍配を上げた。       
2014年10月30日シサイン

訴訟を提起したきっかけは単純だった。疑問からだった。プサン市キジャン郡ギジャン邑に住むイ・ジンソプ氏は家族を襲った病魔が原子力発電所からではないかと疑った。イ氏は、コリ1号機、2号機から7.7㎞以内(近距離地域)に居住する。コリ1号機は1978年に稼働を開始した国内第一号の原子力発電所である(2007年に設計寿命が終了したが、政府は20176月までに寿命延長を決定した。コリ12号機のほか、コリ34号機、新コリ123号機などが近くで稼動中)。

イ氏は、1990年にキジャン郡が故郷の奥さんパク・クムソン氏と出会い、2年後に息子のキュンド氏を生んだ。息子は1級自閉症障害の判定を受けた。イ氏は、2011年直腸癌の診断を受け、夫人パク氏は、2012年に甲状腺がんを発症した。手術で甲状腺を切除したパクさんは、放射性同位元素の治療を受けながら、生涯甲状腺ホルモン剤を服用しなければならない。近くに住むパク氏の母も2009年に胃がんの手術を受けた。

イ氏は、20127月、韓国水力原子力(韓水原)を相手に家族の病気に対する損害賠償請求訴訟を起こした。原発近隣に住んでいる住民が起こした第1号の訴訟だった。 2年間の訴訟の末、1017日にイ氏は、奇跡のような勝利を収めた。イ氏は「勝訴の可能性を推測すらできなかった」と述べた。

プサン東部地裁民事2部(判事長チェ・ホシク)は「韓水原はイ氏の夫人パク・クムソン氏に1500万ウォンの慰謝料を支給せよ」と判決した。原子力発電所と近隣住民の甲状腺がん発症に関係があるという裁判所の初判決が出たのだ。裁判所は「公害訴訟で被害者に因果関係を科学的に証明するよう要求することは、公害による司法救済を事実上拒否する結果になりうる」と述べた。それとともに裁判所は「加害企業が無害であることを立証できない限り、責任を免れることはできない」という最高裁の判例を引用して立証責任を韓水原に課した。

このような判決が出たのには韓水原の安易さが少なからず影響を及ぼした。公判は4回開かれた。イ氏の弁護人は、「民主社会のための弁護士会」(民弁)所属ソ・ウンギョン弁護士が引き受けた。公益訴訟というわけだ。韓水原の代理人は、政府の法律公団所属弁護士二人が務めた。公判の過程で、韓水原側が安易に対応したのは、信用していたものがあったからである。裁判所も引用した「原発従事者および周辺地域住民の疫学調査研究」がそれである。 199112月〜20112月に36000人余りを対象にコホート調査(特定の要因にさらされている集団とさらされていない集団の追跡調査)をしたものだが、政府が発注し、ソウル大医学院の原子力影響疫学研究所(ソウル大医学研究所)が行った。

原発周辺住民を対象にした疫学調査は、国内では1990年に初めて開始された。 1989年にあるメディアにヨングァン原発の警備員の妻が無脳症の赤ちゃんを2度も死産または流産したという報道がなされた。原発の安全性を巡り論争が拡大すると、当時、原発の運営を担当していた韓国電力がソウル大病院に住民の健康実態調査を依頼した。韓国電力は調査の結果、住民の発病と原発からの放射線の間には関連がないと発表した。しかしその後も安全性に対する住民の不安は収まらなかった。それにより政府が発注したコホート調査が本格的に始まったのだ。

ソウル大学医学研究所は、原発の周辺地域(5㎞以内)、近距離対照地域(530㎞)、遠距離対照地域(30㎞以上)を設定し、満20歳以上の住民を調査対象とした。研究チームは「原発周辺地域のすべての部位のがんだけでなく放射線関連がん(胃、肝臓、肺、骨、乳房、甲状腺、多発性骨髄腫、白血病)の発症リスクが対照地域に比べて、男女ともに統計的に有意な差はなかった」と結論した。また「原発からの放射線と周辺地域住民のがん発症のリスクの間に、因果関係があることを示唆する証拠もない」と発表した。

しかしこの報告書には、結論とは異なり、解釈の余地があるいくつかの手がかりが隠れされていた。 2011年に報告書が初めて公開されたときから学者たちの間で論争が起こった。現在、原子力安全委員会の非常任委員を務めているキム・イクチュン教授(東国大医学部)などは、政府の原資料の公開を要求した。当時の教科部などが公開を拒否すると、国会を通じて原資料を入手した。ペク・ドミョンソウル大教授(保健大学院)とジュ·ヨンスハンリム大教授(医学部)などが再検討した。その結果をジュ教授が2012年に大韓職業環境医学会の春季定期学会で発表した。世界人口の年齢標準化発生率で計算してみたところ、遠距離甲状腺がんの発生率を1とすると、近距離に住む女性(パク・クムソン氏が居住する地域)は1.8倍、5㎞以内近くに住んでいる女性は2.5倍高い発生率が表れた。

原発関連の訴訟、堰を切ったようにあふれ出る可能性も

ソウル大学医学研究所も遠距離対照地域→近距離対照地域→周辺地域と移動しながら甲状腺がん発症リスクが増加する傾向を見せ、統計的に意味があることは報告書で示していた。しかしソウル大学医学研究所は、男性のケースでは、このような発症リスクに差はなく、原発近隣地域住民の間で起こっている甲状腺癌の過剰診療が原因の可能性があるとして、放射線被ばくと甲状腺がんとの因果関係は低いと結論付けた。一方、ジュ·ヨンス教授は、発症リスクの増加は、放射線以外に考えられる根拠がないと論文で反駁した。ジュ教授は、甲状腺がんのほか、原発の労働者は、一般の人々に比べて染色体異常が二倍以上多いなど、ソウル大学医学研究所とは違う結論を下した。

この論争を知ったソ・ウンギョン弁護士は、裁判所に大韓職業環境医学会の鑑定を要請した。裁判所の要請を受けた大韓職業環境医学会は、臨床委員会から意見を出すことにした。臨床委員会委員長を務めているイム・ジョンハンインハ教授(医学部)は「所属医師と議論を経て、裁判所に鑑定書を提出した。ソウル大報告書を見ても、原発周辺住民にも遠距離住民にも同水準の医療検診とコホート調査が行われた。調査方法が同じなので、甲状腺がん発症リスクが高いのは、放射線被ばくの可能性と見るのが科学的に合理的である」と説明した。大韓職業環境医学会は、イ氏の直腸がん発症やキュンド氏の自閉症発症は、原発との因果関係があるとは見るのは難しいが、パク氏の甲状腺がんは関連があると回答した。結果的に、裁判所はソウル大学医学研究所の報告書の結論ではなく、大韓職業環境医学会の鑑定結論を採択したわけである。


韓水原はすぐに控訴した。チェ・イェヨン環境保健市民センター所長は「1130日までに原発周辺の住民のうち、甲状腺がんを患っている人を集め、訴訟を起こす」と発表した。原発関連の訴訟が本格的に始まった。



  「原発周辺のがん患者が多い理由、調査したのか」

2012年7月7日 メディアオヌル
[インタビュー]全国を巡って原発問題を知らせる「キュンドパパ」イ・ジンソプさん「ガン検診の調査結果だけでも見せてほしい」

「息子のキュンドに発達障害があり、義母がガンにかかった時は、そんなこともあるのだと思いました。私ががんにかかった時もそうでした。その後、妻が甲状腺癌がかかった時は、私たち家族は本当に不幸だと思いました。しかし最近の研究結果では、原発近くに住んでいる女性は、他の所に住む人よりも甲状腺がんにかかる確率が2.5倍高いという結果が出たんですよ」

「キュンドと一緒に世界ウォーキング」で発達障害の問題を社会化させた「キュンドパパ」イ・ジンソプ(プサン障害者の親の会、キジャン・ヘウンデ支会長)さんが3日、政府を相手に訴訟を提起した。イ・ジンソプさんの自宅の近くにあるコリ(古里)原発のために一家3人がガンにかかり、キュンドさんが自閉症などの発達障害を患っているのだ。
イ・ジンソプさんの今回の訴訟は、原発周辺地域の住民が、原発からの放射能により、どのような形で、どれだけの被害を受けているのかが決まるという点で非常に重要な意味を持つ。イ・ギュンドさんはコリ原発の半径3km以内に生まれ、イ・ジンソプさん家族は、過去20年の間、コリ原発から半径5km内で暮らしてきた。今住んでいるところもコリ原発から6Kmと近い。

イジンソプさんは6日、「メディアオヌル」とのインタビューで、今回の訴訟について「私の不幸が問題なのではなく、(原発地域の)私たち地域住民が本当に安全に暮らせるのか調べてみたいと思った」とし「私は代表として重荷を背負ったわけで、今回の訴訟を通じて原発近くの住民の健康権が果たして原発により侵害されているかどうか確認してみようと訴訟にかけた」と話した。

イさんは「私たちは、原発には安全性がないという認識だが、国家は、安定性があるという」とし「責任を負おうという人は1人もいない」と批判した。また「総選挙当時、緑の党に環境活動家が多いので、色々話をしたところ、ちょうど緑の党も私のような人を探していたんですよ」とし「そうして訴訟に至った」と説明した。

したがって、今回の訴訟に対するイ氏の目標は「真実」だ。原発の近くに住むことは本当に問題がないかという疑問であり、老朽原発で注目され、停電事故で全国民を騒然とさせたものの、IAEAの調査結果をもとに再稼動したコリ1号機、新たに建設される予定の新コリ5~8号機が安全かどうかの疑問である。

特にイさんは「(コリ原発)周辺のがん患者が最近ぐっと多くなった」と述べた。原発の初期には大きな問題はなかったが、放射能が蓄積され、その影響が最近になって現れているという主張だ。彼は「私と妻が病院に行った時も、私たちの地域の住民がたくさんいた」とし「コリ原発の近くに住民がたくさん住んでいるわけでもないのに変だ」と話した。
イさんは「新コリ7~8号が建設される運びとなって、東南圏原子力医学院が、地域住民にがん検診を行ったことがある」とし「それは何万ウォンではなく、100万ウォン以上の詳細な検診だったが、そのデータをみせれくれればよい」と述べた。また「しかし原発では、このようなデータを示さないだろう」と話した。

イ・ジンソプさんは「韓国が福島のようにならないという保証をすることができるのか」とし「福島のケースでは半径50Km以内にはそれほどたくさん人は住んでいなかったが、コリ里原発は50km以内にプサンとウルサンの中心部も含まれる」と述べた。また「しかし自治体は、原発収入の1%が入ってくるので、何の動きも示さない」とし「健康の論理をお金に変えてもいいのか」と糾弾した。

イさんは、コリ原発1号機の再稼働と新コリ原発建設について「(コリ原発再稼働の検査のための)IAEA(査察団)が数時間滞在した後、異常なしという結論が出た」とし「果たしてIAEAが原子力事故の責任を取れる機関なのか分からない」と述べた。続いて「さらに、私たちにとっては1号機が問題なのではない」とし「韓国型原子炉と呼ばれる新コリ原発の安全性を保証することができないということが大きな問題で、私は地元の人間として恐ろしい」と話した。

「キュンドと世界ウォーキング」で関心を集めたイ・ジンソプさんは、今後もまたキュンドとともに旅立つ予定だ。そして今回は、全国の原発を探索する計画である。イさんは「10月に再び釜山から始まり、原発がある地域はすべて行くだろう」とし「コリ、ウォルソン(月城)、ヨンドク(盈徳)、三陟(サムチョク)、カンヌン(江陵)を通り、ソウルに行けば、キュンドと私は韓国全域をすべて歩いたことになる」と述べた。
「キュンドパパ」の投げた小石がパンドラの箱を開け、原発と人間の健康権に関わる関係が今回の訴訟を通じて明らかとなるか帰趨が注目される。

http://media.daum.net/society/others/newsview?newsid=20120707145715891


3 件のコメント:

  1. 環境ジャーナリストの川崎陽子と申しますが、貴重な情報に感謝いたします。ここに書かれた内容について詳しく教えていただきたいことがありますので、私のブログhttp://blog.goo.ne.jp/kimidoriaoi のどの記事でも構いませんので、コメント欄にEmailアドレスを書いていただけたら幸いです(記入内容は公開されません!)。ここに私のEmailアドレスを書くことは避けたいので、どうかよろしくお願いいたします。

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  2. 貴重な資料の公表ありがとうございます。私も2月8日に東京新聞が記事にしたイ・ジンソプさんの訴えに注目していました。そして、日本はなぜ低線量による被曝発症を認めることをしないのかについては、その要因の一つとして憲法より上位といわれている日米原子力協定にあると考えています。
    私は2007年に発生した中越沖地震後から3年近く柏崎刈羽原発で末端の下請け労働者として働いていましたが原発から退いた直後に派遣会社の定期健康診断により心疾患、難聴、高血圧などを理由に解雇(干され)されました。これは柏崎刈羽原発に入所する前の健康診断ではなかった症状です。そして、昨年の2月には心筋梗塞に襲われ現在においても心臓、肺、気道の薬はかかせない現状です。
    イ・ジンソプさんをはじめとした関係者の皆様のこうした活動に今後も注目し同時に心から声援をおくらせていただきます。

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  3. はじめまして。非常に貴重な情報の掲載、ご紹介ありがとうございます。「No Nukes Asia Actions – Korea NNAA-K(준) – 탈핵을 위한 국제공동행동을 만들어 내자! 정보의 공유화를!」とともに、全文に近く、引用させていただきました。許可をお願いいたします。
    『「甲状腺がんは、原発のせいだ」韓国 イ・ジンソプ裁判釜山判決』
    http://www.radiationexposuresociety.com/archives/6642


    内部被ばくを考える市民研究会 川根眞也

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